American ConquestText by 奥谷海人 かの有名な「Cossacksシリーズ」の開発元から,最新のRTSが登場する。ヨーロッパの中世を2世紀に渡ってプレイするCossacksは,一見地味なソフトながらも数千単位のユニットを動かすバトルシーンの醍醐味や,ネットワークプレイのサポートの良さが光り,大きな人気を獲得している。新作「American Conquest」は,これまで以上に巨大で壮大なゲームとなりそうだ。 Cossacksの流れを汲む物量系リアルタイム戦略ゲーム ヨーロッパ,そして日本でも大きな人気を獲得した「Cossacks」シリーズは,RTSの一般常識を覆し,数千体に及ぶユニットが乱れ合うゲームとして話題になった。ヨーロッパでの発売を担うCDV
Software社によると,シリーズオリジナル作品の「Cossacks:European Wars」だけでも50万本が発売されていて,その後リリースされた二つの拡張パックも,ドイツを中心に好調な売れ行きを見せているという。 America Conquestはそのタイトルが意味するように,帝国主義が開花した時代の,アメリカ大陸での植民地政策を描いている。クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸の存在をヨーロッパに伝えた1492年から始まり,ジョージ・ワシントンらの先導でアメリカ合衆国の独立が確実なものになった1813年までの,300年以上に及ぶ戦乱がテーマだ。 ちなみに,ウワサでは「Cossacks 2」の開発も進められているようで,ナポレオンの登場による全ヨーロッパの騒乱を新しいゲームエンジンで描くものになるらしい。American Conquestは,それまでにCossacksファンの押さえきれない欲望を満たしておくための作品といえなくもなく,"Cossacks Ver.1.5"としての位置付けとなっている。しかし,気のない商業的な目的で制作が進められているわけでもなく,血を血で洗う帝国主義と新世界の出会いを描いた傑作となり得る気配さえ漂っている。 同時に表示されるユニットは1万6000体!American Conquestは,基本的にはリアルタイム戦略シミュレーション(RTS)の枠に沿ったゲームプレイを維持しているが,同じように多くのユニットが激突する「Medieval:Total War」のように戦略面に特化したものではなく,基地を作り,食料やユニットを生産していくというマネージメント要素も含まれている。しかしこのシリーズの特徴は,なんと言ってもユニットの物量作戦であることには違いなく,最大で1万6000体というユニットが,画面に溢れかえるのだ。Cossacksは8000体だったので,American Conquestはちょうど2倍のスケールにグレードアップ(?)したということだ。 ユニットの生産はほかの戦略ゲームとは少し違っていて,住宅施設で生産された農民ユニットを,Ageシリーズでいうところの"町の中心"に相当する砦や神殿で訓練し,タイプの異なる兵士ユニットへと徴用していくという仕組みだ。住宅から砦までウェイポイントを設定しておくと,食料生産が続く限りは半無限に兵士ユニットを作れる。この流れは非常に速く,数分もすれば100人を超える部隊に膨れ上がっているだろう。このあたりは非常に簡略化されていて,特定の生産ボタンとCtrlキーを併用すれば自動的にユニットが生産され続けたり,Shiftキーとの併用なら1度に5ユニットずつ生産されるなど,資源がある限りはかなりのスピードで作業が進んでいく。 部隊の中核をなすのが司令官ユニットで,彼らが軍団の長となって,1ゲームにつき最大で15部隊を作成することができる。もちろん各部隊にオフィサーを立てる必要はないが,司令官はフォーメーションを組める能力を持っているので,戦闘を有利に運ぶことが可能になるだろう。もっともフォーメーションは3種類しかなく,防御用のスクウェア(方形),攻撃用のライン(並列),移動用のランク(縦列)が用意されている。これは,プレイヤーがユニットのコマンドに気を取られ過ぎないようにするための処置だろう。今回からは,兵士ユニットを建物に篭城させて防御率をアップさせることができるだけでなく,農民ユニットが敵の捕虜になるのを防ぐことも可能になった。 銃や大砲の爆音に戦々恐々とする兵士ユニットまで,ディテールに富んだ表現が見事 シングルプレイヤーモード用に用意されたキャンペーンは8種類で,その中に50に及ぶミッションがある。しかもそのほとんどは,どの国家ででもプレイできるようになっている。コロンブスが最初に上陸した島での砦固めや,スペインの征服者ピサロによるインカ帝国への侵略,さらにはアパッチ砦でのシュー族との戦いといった新世界の植民地化にまつわる物語はもちろん,フランスの七年戦争期のフランスの拡大政策,さらにはアメリカ独立戦争後までに至る大きな歴史が,双方の視点から体験できるのだ。 American Conquestでは,戦闘を潜り抜けたユニットが経験値を積み上げ,特殊な能力(射撃距離の長さなど)も与えられるという凝りようだ。弓兵や銃器系のユニットは,至近戦ではナイフで応酬するなど,アニメーションもディテールに富んでいる。モラル値はCossacks以上に重要になっており,戦闘途中に銃声を聞いて逃げ出すアステカ兵や,逆に原住民の奇声に怖気づくアメリカ兵も出てくることになる。司令官や旗手の存在は,従軍する兵士たちのモラルに大きな影響を与えるというのはいうまでもないだろう。戦闘中には,時折ユニットからメッセージが出てくるようにもなっており,「もう帰りたいよう」というような泣き言や,「こんなの朝飯前だぜ」というような余裕のコメントで,各部隊の士気の高さを見分ることができる。 American Conquestは,ヨーロッパではCDV Software社によって販売され,ドイツでは11月15日,その他の国では2003年の第1四半期中にリリースされる見込みだ。まだ日本での正式発売のリリースはないが,GSC Game World社のオフィシャルサイトでは,日本での発売予定も明記されているところが気になる。おそらくはCossacksがらみでくるのではないだろうか。すでにシングルプレイと対戦モードの一部で遊べるデモもリリースされており,当サイトの「ここ」でダウンロードできるので,興味のある人は試してみると良いだろう。 Copyright c 2000-2002 CDV Entertainment AG, GSC
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