1982年に劇場公開され,興行収入こそパッとしなかったものの,CGを駆使した映画の先駆者としてカルト的人気を誇るディズニー映画「Tron」。"主人公がコンピュータの世界に入り込む"という,(当時では)斬新な設定や,CGによる独創的な仮想空間の表現,そして映画「ブレードランナー」などを手がけたシド・ミード氏によるメカニカルデザインなど,"サイバーフェチ"にはたまらない要素がテンコ盛りな映画である。
そんな「Tron」も,2002年で制作20周年。今回のゲーム化が企画され「Tron 2.0」が誕生した。 本作は,映画の世界観や設定を完全に受け継いだ"続編"という位置付け。映画から約20年後の時代を描いたもので,主人公ジェットが父親の消息を求めてデジタル世界を冒険するというFPS作品だ。そのあたりのバックグラウンドに関しては「こちら」のプレビューに詳しいので,本記事と併せてチェックしてみてほしい。
本デモ版にはマルチプレイモードと一部のシングルプレイモード,そしてチュートリアルが収録されている。マルチプレイモードでは,本作特有の"ディスク"を使ったスポーツライクなFPS対戦,シングルプレイモードでは,シド・ミードがデザインした"ライトサイクル"と呼ばれるデジタルバイク(?)を駆使したパズル要素をもつレースゲームが楽しめる。
まずはマルチプレイモードについて。 デモ版に同梱済みのサーバーブラウザからホストに接続すれば,そこは見たこともないデジタル世界だ。 本作は,NOLF2なども塔載したグラフィックスエンジン「LithTech Jupiter」の改良版「Triton」を塔載しており,極めて美麗かつ特徴的なサイバー空間作りに成功している。とくにグロー効果(オブジェクトが自ら光を発しているかのように見せるテクスチャ効果)でカラー蛍光灯のごとく発光するオブジェクトに,強烈なインパクトを受ける人も多いだろう。"映画の雰囲気そのまま"というのも,当時のファンにとっては嬉しいところだ。
所属するチームとプレイヤーキャラクターのスキンを選択すれば,すぐに戦いが始まる。 プレイヤーの初期装備はディスク(三段階のグレードがあり,初めはDisc Primitiveと呼ぶ)で,これは投げるとフリスビーのように戻ってきたり,壁に反射したりする武器だ。デモ版に収録されたマップ「Disc Arena03:Corruptted Sector」は,ディスクを当てると消える五角形の透明板を積み重ねた"塔"のような作りで,プレイヤーはディスクを直接敵に当てる(3発ぐらいで倒せる),もしくはディスクを足場となる板に当てて消し,敵を地面に落とすことで勝利ポイントを稼ぐ。 面白いのは,透明板が2種類があるところだ。一方は,ディスクが当たるとすぐに消えるもの(これは一定時間で再出現する)で,他方はディスクが当たっても消えないが,マップの左右に一枚ずつ配置された緑と青の透明版を割ることで,マップ上の同色部分がすべて同時に消えるというもの。アクションだけでなく戦略性も求められるわけだ。 基本ルールが極めてシンプルなので,マルチプレイモードはスピード感抜群のスポーツシューティングに仕上がっている。
続いてシングルプレイモードの一つ「ライトサイクル」について。映画を見た人なら分かると思うが,そうあのかっこいい"ライトサイクル"による三人称視点のゲームモードだ。 これはレースゲームではなく,一種のパズルゲーム。ライトサイクル(自機)は基本的に光の残像を残しながら走りっぱなしで,敵車(またはその残像)に当たるか,自機が出す残像にあたれば負けというルール。有名なパズルアクション"スネーク"と要領は同じだ。こちらもマルチプレイモードと同様,サクサクと小気味良く遊べる"対戦ツール"タイプといえよう。
デモ版の公開直後ということで,ホストサーバーの不安定さやネットワークラグが少し気になるが,それでも一度はプレイしてみてほしい。"グラフィックスだけでも一見の価値あり"というのは定番文句だが,この作品こそ強く"まずは見てみる"ことをオススメしたい。 本作は元々"ゲームを題材にした映画をゲーム化したもの"なので,世界観の練り具合は保証付き。画面写真を見てピンときた人なら,試してみて損はないだろう。(Gueed)
TRON(R) Owned by Cooper Industries, Inc. and used by permission. (C)Disney
|