2004年6月のXbox版発売後,オンラインプレイを中心に人気を博したミリタリーストラテジー,「フルスペクトラムウォーリアー 日本語版」(原題「Full Spectrum Warrior」)のデモ版が登場。FPSライクな見ためとは裏腹に,AI制御の分隊を指揮して局地的な戦闘が楽しめるとして,一部では熱狂的なファンを生んだタイトルだ。
ちなみに今回リリースされたデモ版は,なんとすでに日本語に対応している。メディアクエストからの今秋のリリースが決定しているとはいえ,発表されたのがつい先日なだけに,コピーライトに"Distributed in Japan by Kids Station Inc"とキチンと刻印されいるのに驚かされる。ミリタリーファン,ストラテジーファン,またタクティカルアクション「レインボーシックス」のプランニングフェースなどが好きだったなんていう人にまでオススメできる,良質のデモ版だ。
前述の通り,プレイヤーは,分隊長として最大8人(分隊アルファーとブラボーの2チームを率いる)の兵士に指示を出しながら,地域を制圧したり,また負傷兵の救護をしたりといったミッションに挑む。本作はもともとアメリカ陸軍の連隊で実施している訓練プログラムをゲームに落とし込んだもので,武器の使用方法から複数チームでの行軍方法,また軍隊などで実際に使用されているコールサインなどを忠実に再現しているのが特徴だ。
実際にプレイしてみると,その看板に偽りがないであろうことはすぐに分かる。
アルファ(A)とブラボー(B)のそれぞれのチームは,チームリーダー/マシンガン兵/グレネードランチャー兵/ライフル兵(固有名詞は,製品版リリース時に変更される可能性あり)といった4人構成となっており,プレイヤーがシチュエーションを判断してそれぞれに指令を出すという仕組み。ただしアクション性は極力抑えられているため,兵士をうまく使いこなすというより,各チームの進入経路や角度,一方が制圧射撃をしているうちに一方が敵の側面に回るといった具合に,ストラテジックに攻略していける。
もちろん単純な射撃による戦闘だけでなく,グレネードやグレネードランチャーを使用した一点突破や,戦車など,歩兵では到底太刀打ちできない敵に対しては,チームリーダーが持つGPS付き指令パッド「サテライトナビ」などで,航空砲撃支援なども要請できたりする。目的地に移動するためにいかなる手段もとれるという自由度の高さも,本作の醍醐味であり,リプレイ性の高い秘訣だろう。
一方,グラフィックスに関しては,Xboxからの移植作品という理由もあってか,最新のDirectX 9.0cを要求してくるものの,それほどシェーダプログラムをごりごり使用している感はない。逆にその点が必要スペックをグッと下げる結果になっていて,現在でいえば一世代前程度のPCで十分に動作,最新のPCならサクサクとタスクを切り替えられるぐらいに軽い。
それでもクオリティが低いかといえば決してそんなことはなく,兵士の影や市街地が多めのマップを微細に描くことによって,高級感は高められている。グレアで淡く光る空の描写などはその典型例で,不自然に青く晴れ渡った空なんかよりは数段雰囲気がいい。技術先行型で,動作スペックをむやみに引き上げがちな最新タイトルには,ぜひ見習ってほしい点だ。
本デモ版には,日本語で進められるチュートリアルと,製品版から序盤のチャプター1が丸々収録されており,300MBというファイルサイズに見合ったボリュームでかなり長く遊び込むことができる。難易度も軍曹/上級曹長/実践と三段階が用意されているので,製品版リリースまでにじっくりと試してみるといいだろう。
ミッションフェースとイベントシーンの合間はシームレスに接続,また悲壮感の漂うう戦争映画のようなBGMのおかげで,没入度も高い。AI兵士の「帰ったらXboxで戦うぞ」なんていう軽口なども楽しみがら,ぜひ遊んでみてほしい。(Gueed)
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