2003年に"PC RPG Game of the Year"や "2002 Game Award"などのゲーム賞を受賞し,ある意味シングルプレイRPGシーンを席巻したといえる「Divine Divinity」(以下,DD。邦題は「ディヴァイン・ディヴィニティ」としてネットビレッジが発売中)。2004年6月11日には,MYSTIX STUDIOSから,DDの外伝的作品である「BEYOND DIVINITY 完全日本語版」(以下,BD)がリリースされており,今回,そのBDの英語デモ版に続いて,待望のローカライズ済み日本語デモ版が登場した。
本作は,過去のLarianの発表では"DDの正統な続編"ではなく"完全新作"となっていたが,使用されているエンジンはDDがベース,世界観もDDを踏襲している。当初は「Riftrunner」という名で知られていたが,DDとの関係性をより明確にするため,タイトル名が「Divine Divinity Another Story -Beyond Divinity-」となり,そして最終的に「BEYOND DIVINITIY」に落ち着いたようだ(Riftという単語がすでに商標登録されていたため……,という噂もある)。
さて前述のように,本作のベースはDDエンジン。開発陣曰く"自社のエンジンフレームワークを生かし,今回はゲームプレイに開発の重点を置く」とのことで,今回はDDの資産を最大限に生かして,パーティプレイの実装やランダムのマップ/クエストジェネレータといった部分を練り込んだようだ。
本作のストーリーは,主人公とデスナイト(前作にも,敵や召喚キャラクターとして登場した)との魂が結合し,命を共有してしまうことに端を発する。互いの命が繋がっているため,片方が死ぬともう一方も死んでしまうという業を背負ってしまったわけだ。
これはゲーム中でも同じで,初期のパーティメンバーであるデスナイトが死ぬと,主人公キャラクターも死んでしまう。逆も然りだ。
さてゲームを開始すると,まずはキャラメイキング。
キャラクターの職業は,前作と同じWARRIOR/SURVIVOR/WIZARDと,あとはステータスを好きなように設定できる「CUSTOM」が用意されている。
またキャラクターモデルが3Dになった今回からは,ズームイン/アウトが可能になったので,体格や髪型,髪の色までカスタマイズの幅はかなり広がった(相変わらず,顔の趣味はアチラ寄りだが)。
実際にゲームを始めてみると,キャラクターの容姿以外,のマップの雰囲気や登場キャラクターの話しかたまで,すべてがDDと同じという点に気づくだろう。
そこで困ったのは,インタフェースの使い勝手まですっかり継承してしまってる点だ。落ちているアイテムや敵をクリックするのに難儀したり,なにもかもごたまぜのインベントリーがあったりと,操作にコツと馴れを要求してくるのは相変わらずだ。
じゃあ3Dになったキャラクターはどうなの?というと,これがまた見事に"3Dにした意味は?"と問いたくなる仕様。元々マップが2Dで描かれているのでグリグリ回転するなどとは期待していなかったが,基本的には拡大できるだけとちょっぴり寂しい。
……と,ほぼDDと同じ不満を感じるにも関わらず,本デモ版を"オススメ"してしまうのがDDプレイヤーの性だろうか。
前作ではある意味"同人的"に開発陣の趣味が盛り込まれ,海外特有のユーモアやジョークが満載だったが,それは本作にも脈々と受け継がれている。本デモ版でも,
デスナイト:「これがなんの肉か分かるか?」
主人公: 「(モグモグ),味はブタみたいだね」
デスナイト:「違う。これはインプの肉だ」
といったような会話が随所に散りばめられているのだ。こういうネタを楽しめないと,本作を楽しむ素養がないと判断できるかもしれない。
本作は,音楽/2Dの描き込まれたグラフィックス/登場キャラクターの個性とウィットに富んだ会話/アイテム探し,をトータルで楽しめる人専用の,まさに"超硬派なシングルプレイRPG"なのだ。
さて,今回リリースされた日本語デモ版は,以前リリースされた英語デモ版の約2倍のファイルサイズ。驚いてMYSTIX STUDIOSに問い合わせたところ,なんと本デモ版は,製品版本編の五つあるActのうち,序盤のAct1を丸々収録しているようなのだ。
実際にプレイしてみると,たしかに英語デモ版の最終地点であるクモの闘技場から,さらに先へ進むことができた。
MYSTIXによると,残念ながらBattlefield(戦場)まではさすがに収録していないとのこと。とはいえ,少なくともNPCとの取り引きや,本作のウリの一つでもある,召喚人形を使ってのパーティメンバー増加といったAct1のフィーチャーは丸ごと体験できてしまう。。本作に触れるのが初めてなら,ゆうに数時間をかけてじっくりと遊び込めるであろう,実に大判振る舞いな内容なのだ。
おそらく本家開発元Larian Studiosの気まぐれさから,製品版リリースから遅れること3か月弱というタイミングでの日本語デモ版登場になったと推測されるが,正直言ってこのデモ版は相当オイシイ。製品版をプレイした筆者の感覚では,「BDはAct2から面白くなる」という印象なので,体験版でAct1のクエストをひと通りクリアしておいて製品版へ――,という流れを作るには打ってつけだ。
そもそも体験版の日本化自体に非常に価値があるので,本作ならではのキャラクターのウィットに富んだ会話を聞きつつ,ぜひプレイしてみてほしい。(Gueed)
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