[E3 2004#059]名著を原作に持つSFアクションアドベンチャー「Advent Rising」 - 2004/05/15 11:52


 Majesco Entertainmentのブースで,映画化の話題を中心にメキメキ知名度を上げてきた「BloodRayne 2」を押しのけてドッシリと大スクリーンを占有していたのが,SFアクションアドベンチャー「Advent Rising」だ。

 Advent Risingは,SF作家として有名なオーソン・スコット・カードの名著「Ender's Game」(邦題「エンダーのゲーム」)のプロットをベースにした作品だ。ちなみにEnders's Gameは,同氏が生み出した壮大な"エンダーシリーズ"(ほかに「死者の代弁者」「ゼノサイド」「エンダーの子どもたち」「エンダーズ・シャドウ」がある)のプロローグに当たる作品。筆者は別に権威主義ではないけれど,米国SF界で最も有名なヒューゴー賞を始め,多くの賞を受賞しているハズレなし(少なめ?)の作家なので,個人的にオススメだ。

 さて肝心のゲームは,基本三人称視点のシングルプレイ専用アクションゲーム。Ender's Gameの主人公が異性人の侵略に対抗する特殊能力を身に付けた少年であるのと同じく,本作の主人公も両手から特殊能力を発動する男性キャラクター。人類最後の砦となる「Gideon Wyeth」という業を請負い,人間を根絶せんとするエイリアンと血みどろの戦いを繰り広げることになる。
 グラフィックスコアはUnrealエンジン,そこへ一般的に同エンジンと相性が良いとされているKarma社の物理エンジンを搭載するというある意味堅実な構成で,地上戦,無重力空間戦など,SFらしいシチュエーションでの戦闘を巧みに表現しているタイトルである。



 これまでに何度かスクリーンショットやムービーが公開されているので,読者の人も"乗り物がある"や"特殊能力がある"といった情報はすでに仕入れていることだろう。ここではデモ機のPC版を実際に触ったインプレッションをお届けしたい。

 最も気になる主人公の"特殊能力"は,戦闘中にいつでも選択/発動できるものとなっており,E3版に実装されていたのは「Shield」「Speed」「Push/Pull」の三つ。Shieldは文字通り敵の攻撃を無力化する能力で,Speedはいわゆるダッシュ(派手なパーティクルと共に自らの体をエネルギーで包み敵にぶつける)。Push/Pullは敵を押す/引く(もちろんそんな生易しいものじゃないけど)などしてはじき飛ばすものだ。使用することで消費,そして時間と共に回復するパワーゲージと含めて,これらの使用感は「スターウォーズ:ジェダイナイト」シリーズのフォースを想像すると分かりやすいだろう。
 さらにこれらの能力にはすべてオルタネイトの発動パターンが用意されていて,例えば"Speed"のオルタネイト側を発動すると,通常とはまったく逆,つまり敵のスピードが下がる(バレットタイムの状態)といった能力も扱える。今回のE3版でアクティブになっていたのは上記の三つのみだが,それでもオルタネイトを合わせて6パターン,これらを銃撃戦の最中に選択/使用するのだがら,自動的にかなり戦略的な思考を要求されることになる。
 ビジュアルが派手,しかもバレットタイムをふんだんに取り入れているという軟派な要素満載の作品だが,一度触ると先入観が一気に吹き飛ぶほどゲームとしてカチッと作り込まれているのだ。
 とはいえ本作のウリは,近年のトレンドともいえる"インフレ的な派手さ"といっても過言ではなく,所詮は人間サイズの主人公が二世帯住宅クラスの敵を薙ぎ倒していく爽快感は,コンシューマライクですらある。主人公がパワーを発動するごとに周り空間がグニャリと歪むなど,結構ありそうで意外と少ない演出だったりして新鮮だ。

 現在の開発状況は,PC版が60%,Xbox版が50%とかなり低めで,当初2004年第1四半期と予定されていた発売日も"未定"に逆戻り。ただMajesco Entertainmentの本作にかける意気込みは,ブース中央をぐるりと囲むAlien Ware製のデモPCや,大音響で筆者の頭痛のタネでもあった大型スクリーンによるデモンストレーションでも明らかだ。
 由緒正しい(?)シナリオに,ヴィヴィットなビジュアルと独特のサイキック・イメージを当てはめたセンスの光る一本なので,SFファンならぜひ動向を追っておこう。(Gueed)

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Advent Rising (c)2003 Majesco Games, Inc. All rights reserved. Developed by GlyphX Games. Microsoft, Xbox and the Xbox logos are either registered trademarks or trademarks of Microsoft Corporation in the U.S. and/or in other countries and are used under license from Microsoft.


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