[E3 2004#011]空中戦もフィーチャーした「CoD:United Offensive」 - 2004/05/13 17:29

Call of Duty:United Offensive
空中戦もフィーチャーした人気タクティカルアクション拡張版

 「Call of Duty」は,「Battlefield 1942」や「Medal of Honor:Allied Assault」に続く第二次世界大戦ものFPSとして評判となり,発売後も期待通りのヒットを飛ばしたタイトルだ。
 「QuakeIII Arena」のゲームエンジンによる非常にスムースなマルチプレイヤーモードも評価され,先頃行われた"ゲーム界のアカデミー賞"ことAIASのゲーム賞でも大賞を受賞している。PCゲームのセールスも,「Battlefield:Vietnam」の登場まで4か月以上に渡って首位をキープしていたので,アメリカはメディアや同業者,ファンのすべてから愛されたことになる。
 このCall of Dutyの開発を手がけたのは,元々Medal of Honorの2015社にいた開発部隊が新たに作ったInfinity Ward社だ。「プレイヤーは激戦の中の一兵士に過ぎないという,戦争のスケールの大きさと無常を表現したい」といった,一人の兵士をヒーローとして描くMedal of Honorとは違ったコンセプトを持ったゲームだけあり,周囲の仲間達が飛び交う銃弾に倒れていく中で奮闘するという,本当に戦場にいるかのような断末魔的な臨場感がしっかり描かれた。

 その初めての拡張パックとなる「Call of Duty:United Offensive」が,同じくQuakeIIIエンジンで「Return to Castle Wolfenstein」を開発したGray Matter Studios社によって開発中だ。今回,シニアプロデューサーのロブ・アルヴィー(Rob Alvey)氏によってデモが行われたが,2004年秋のリリースを目標に2003年9月から開発が行われたばかりという割には,かなりの部分が出来上がっているように見えた。
 United Offensiveでも,プレイヤーはアメリカ軍,イギリス軍,ロシア軍の兵士となって,ヨーロッパ各地の前線でドイツ軍を追い詰めていく模様が描かれているのは変わりない。それぞれのキャンペーンの主人公は一新され,それぞれに序章,中盤,最終章となるマップが用意されている。今回公表されたデモで見られたのは,ドイツ軍とロシア軍による史上最大のタンク戦とも呼ばれた「クルスクの戦い」のひとコマと,イギリス軍キャンペーンの序章による空戦シーンの二つだ。

 クルスクの戦いでは,まず空襲中の村のトレンチに向かってジープで移動する場面から始まる。同乗者が心配そうな顔をしていたり,周囲の味方のジープがロケット弾で爆破されたりするのは,前作と似たような雰囲気だ。周囲には爆撃による黒煙が立ち上り,土埃や砂利が頭に降りかかってくるようなパワーアップされた爆破効果がすさまじい。パーティクル効果を洗練させたとのことで,このような爆破や煙,火炎などでグラフィックス周りが向上しているのが分かる。
 ロシア訛りで叫ぶ上官の待つ場所から徒歩でトレンチや防空壕を抜け,雨が降る中を進んでいくと,タンクの攻撃にバックアップされたドイツ兵が,ワラワラと突撃してくるようになる。仲間も多く,しばらくは5人以上のロシア兵が周囲で戦っており,この戦闘はかなり長い間に渡って続く。そうするうちに,頭上を旋回していた戦闘機が被弾し,プレイヤー達のいるトレンチの目前に墜落。これを機に,キャプテンの指令で進んできた道を戻ることになる。
 占拠されていた防空壕を抜けると,元のトレンチにはドイツ兵が溢れており,今回から初めて登場した火炎放射器でプレイヤーや味方のNPCが攻撃されるが,ここで殺害した敵兵から火炎放射器を奪い取って応戦。砲台を取り戻してマシンガンを乱射することになる。しかしそれでも敵の断続的な突撃は続き,背後から銃器で殴られるたびに,砲台から離れて付近を一掃する状態になる。この後は,再度タンク戦の行われた場所に行って敵のタンクに装着されたダイナマイトを起動するため,突入していくのだ。
 このミッションで気づいたのだが,今回から手榴弾は,起動後に一定時間プレイヤーの手元に留めて"Cook-off"という状態にできる。ギリギリまで待って敵方向に投げないと,敵が投げ返して来たりするのだ。これで,時間や距離などのタイミングを体得しなければならなくなり,とくにマルチプレイヤーモードでの手榴弾の使い方の上手さや慣れが顕著になると予想される。

 タンクの行進そのものはオリジナル作品でも用意されていたが,今回新しく制作されたのが空中戦で,Gray Matter Studios自慢の作だという。敵地への爆撃を試みてイギリス軍の爆撃機が編隊を組んで進んでいく中,突如ドイツのメッサーシュミットがまるで洪水のように押し寄せてくるというシチュエーションである。場所はイタリア上空のようだ。
 この爆撃機は,NPCパイロットにコントロールされているか,もしくは単に直線的に進んでいるだけ。しかし,序盤でいきなり被弾を受け,プレイヤーと共に乗り込んでいた一人のマシンガナーが爆死。9時方向(機体左)に大きな穴があく。3時方向(機体右)は別のNPCが守っているが,プレイヤーはその外の3方向に取り付けられたマシンガンを駆使して,さまざまな角度から襲いかかるドイツ戦闘機を追撃しなければならないのである。
 「後方から敵が来る!」だとか,「3時方向より敵の猛攻! 前方のマシンガンから撃て!」というような指示がパイロットから飛んでくるので,そのたびに機内を移動しなければならない。黒い点が見えたかと思うと,猛スピードでイギリス空軍の編隊に向かって狙撃してくる。被弾によって空中爆破する敵戦闘機や,攻撃によって操縦不能状態となり隣りの機体に接触してしまう味方の爆撃機などが壮絶だ。
 画面左に表示されているのが機体の部分ごとに分かれたゲージで,すでに両翼は赤色に変わった末期状態。グラフィックスも変化し,一部の骨組みも剥き出しになっているほどである。プレイヤーも被弾するようで,機内の救急パックで応急処置もしなければならない。何十機も追撃したあと,ようやく静かになったと思ったらオブジェクトが更新され,攻撃で制御できなくなった爆弾投下口を手動で開けて爆弾を落とし,地上にいくつものキノコ雲ができるのを確認してミッションが終了となった。

 今回は,この二つしか紹介されなかったが,アメリカ軍用のキャンペーンでは第101空挺師団の一員としてベルギー地方の激戦として有名な「バルジの戦い」で,悪天候で救援が来ない状態でバストーニュを守り抜いた戦闘に参加することになる。臨場感の高さは,今回紹介された二つのミッション以上かもしれない。
 すでに定評のあるマルチプレイヤーモードでは抜本的な変更はないが,新モードとして各ポイントを占領していくDominationと,Tank BattleというFPSジャンルを超越してしまうようなゲームモードが加わった。また,シングルプレイヤー用キャンペーンに追加されている火炎放射器,サッチェル(接着式爆弾),バズーカ,手動式のマシンガンなども利用できるようになるとのことだ。
 拡張パックとしては充実した要素が散りばめられたCall of Duty:United Offensiveは,Activisionより2004年秋頃に発売の予定となっている。(奥谷海人)

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