第2回4Gレビューコンテスト結果発表&受賞作品を掲載 - 2003/10/06 21:07


 大変お待たせしてしまったが,2003年7月17日から8月31日にかけて募集した,「第2回 4Gレビューコンテスト」の結果を発表しよう。
 各レビューに対するコメントや総評の前に,まず結果を発表する。

<大賞>
該当者なし

<佳作>
「アメリカンコンクエスト」(レビュアー:Sluta)
→レビュー作品は,「こちら」

 佳作を2タイトル選出した前回にも増して厳しい結果に見えるかもしれないが,実際はその逆だ。審査員の全員が,声を揃えて「前回よりもレベルが高かった」と言っているのである。
 今回佳作1タイトルだけとなったのは,Sluta氏が書いた「アメリカンコンクエスト」のレビューが,一歩抜きん出ていたからにほかならない。このレビューが審査員からの多くの票を集めたため,そのほかのタイトルへの票がばらけ,このような結果になった。実際,今回受賞を逃したものの中には,前回の佳作と同レベル,もしくはそれ以上のレベルのレビューもいくつかあった。それについては,ページ下で個別にコメントしているので,そちらをご覧いただきたい。

 では,なぜSluta氏のレビューは大賞ではないのか? 実は,大賞を取るための条件は,ひと言で表せる。それは,「そのレビュアーが即戦力となるか」だ。Sluta氏は,今回の応募者の中で,最も即戦力に近いといえる。ただ,まだ成長の余地があるし,成長すれば,トップクラスのライターとなることも可能だろう。
 今回は佳作受賞タイトルにも審査員によるコメントを掲載したので,ぜひSluta氏は(もちろんほかの応募者も)参考にして,成長に役立てていただければ幸いだ。

 第1回から第2回にかけて確実にレベルが上がっているだけに,審査員達からも第3回レビューコンテストを望む声が高い。また開催時期は追ってNewsにするが(次は年末?),そのときには,大賞受賞作品が登場するのではないだろうか。


■■TAITAI■■
「アメリカンコンクエスト」(レビュアー:Sluta)

 ゲームの要素を過不足なく紹介していて,非常に好感が持てました。ただ文章がセンテンス(文)ごとに孤立している点に,若干のもったいなさを感じてしまったのも事実です。レビュー全体の構成がバラバラで"流れ"がないところは,せっかくいろいろな要素が盛り込んであるだけに惜しいと思います。
 つまり,話の組み立てとして,

「〜である」「〜である」「〜である」
と続くよりも,
「〜である」「だから〜で」「〜だ」

といった風に,骨組みをしっかり考えてあげたほうが,読者もテンポ良く読めるのではないでしょうか。単純なところからいえば,各見出しを順に読んでいって,テンポがいいか,ゲームの要素が端的に伝わるか,を考えてみるとよいでしょう。それだけでも,全体の構成を考えるキッカケになります。
 でかでかと表示される見出しの与えるインパクトは大きいので,可能な限り"分かりやすい",あるいは"気の利いた"見出しを考える努力をしてほしいと思います。
 とはいえ,全体的にはしっかりと書かれたレビューで,筆者個人としては非常に楽しく読めました。あとは上記のようなちょっとした"配慮"があれば,とっても素晴らしいと思います。

■■朝倉 哲也■■
「マフィア」(レビュアー:出原義久)

 第二回めとなる一般公募によるレビューコンテストで印象に残ったのが,この作品だ。
 「そのゲームを知らない人が読んで,どのようなゲームかが分かるか?」「ゲーム解説に終わっていないか?」「最後まで読む気になるか?」といったあたりを過不足なく満たしていると感じた。また,文章力といった観点からも「句読点をつける位置は適当か?」「てにをはの間違えがないか?」などの点について,とくに気にならずに最後まで読み通すことができ,標準は明らかに上回っていると判断した。
 ただし,もう一歩その先が欲しかったというのが正直な感想で,全体にちょっと平板な感じで,いわば全般に成績の良い優等生のような感じといったら良いだろうか。何か一つインパクトがあれば良かったのだが。

 なお文章はかなり良い感じだが,添付のScreenshotsには良い点数をあげられない。見て"面白い"と思える画面が一つも無かったからだ。
 私の場合,使用するScreenshotsを選択するときの基準としているのは,「構図の妙や,爆発や銃撃戦などの派手なシーン」「一目でどういうゲームかが分かるようなシーン」「掲載時にサイズを小さくしても映えるシーン」そして「本文に関連したシーン」だ。ぜひ次回はこのあたりも念頭において,Screenshotsの撮影を行ってほしい。
 見栄えのいいScreenshotsを撮影するコツは,一にも二にも"たくさん撮る"ことに尽きる。アクションゲームの場合,両手がキャラクター操作でふさがってしまうことも多いので,そのようなときは「HyperSnap」などのキャプチャーソフトのタイマー撮影機能を利用しよう。撮影の間隔を2秒から3秒程度に設定してプレイしていれば,数百枚の画像を簡単に撮影できる。あとはその中から,これぞというシーンを選び出せばOKだ。
 レビューを書こうという皆さんには,ぜひScreenshotsにもこだわってもらいたい。

■■Iwahama■■
「Lineage」(レビュアー:Serizawa)

 レビューは,小説ではない。名文を書く必要はないし,美辞麗句を並べる必要もない。大事なのは,読みやすい構成/読みやすい文体でゲームを紹介し,ゲームの魅力を十分引き出し,かつそのレビュー記事自体が魅力的であることだ。細かいレトリックは,そのあとの話である。
 正直にいえば,このレビューに若干の技術的なつたなさを感じた。具体的には,段落単位ではよくまとまっているが,段落と段落の流れがよくないところが挙げられる。一つの話題が終わると,また次の話題。その話題が終わると,また別の話題。それの繰り返しが,ちょっとぶっきらぼうに思えたのだ。
 しかし文章の技術なんてものは,何度も書いていれば,誰でも身に付くものだ。本レビューは間違いなく読みやすかったし,またLineage自体の魅力をうまく引き出すことによって,レビュー自体も魅力的なものになっている。端的にいえば,このレビューの著者には,センスを感じる。
 「LineageII」との関係など,今後について語った"まとめ"もうまい。この著者が"即戦力"と呼ばれるには,もう少し書き慣れる必要があるかもしれないが,本気でライターを目指せば,センスはあるのだから,かなりの実力者となるのではないだろうか。

■■Murayama■■
「ポスタル2」(レビュアー:Kira)

 文章を読んで,「ポスタル2」がどんなゲームなのか? が,すぐに理解できた点は好感触。ゲームの紹介,自分の意見などレビューとしての要素はきっちり入っており,キャッチについては,すでに自分のスタイルを確立させている様子。
 このレビューを執筆したKira氏は,前回のレビューコンテストでも「蒼い海のトリスティア 〜発明工房奮闘記〜」で高い評価を受けており,その文章/構成力は今回も健在である。私見ではあるが,氏の文章はそこらの職業ライターよりも好みの文章だ。
 というわけで次のお題……段落を構成するときに,各文末に同じ表現や似た言い回しが連続しないように注意してほしい。どうしても重なる表現になってしまいそうなときは,体言止めなどを使って文章をスパッと切るのも一つのテクニック。また各文末と同様に,各段落末についても同じ表現などを避けると,より読みやすい文章が構成できるはず。あとは,とにかく執筆時間の短縮と数をこなしていけば,よりよいものが書けるようになるのではないだろうか。前回はカワイイ系,今回はコアなタイトル,次は……実に楽しみである。

■■Kawamura■■
「アドバンスド大戦略IV」(レビュアー:河村有紀夫)

 本レビューは,一番最初に著者がボードゲームタイプの元祖シミュレーションゲームに通じており,コンピュータで再現されたウォーシミュレーションには疑問を抱いているという,自らのスタンスを明かすところから始まる。
 そのためボードゲームの世界では厳密に区別される"戦略級"と"戦術級"の要素が混在した「アドバンスド大戦略IV」は,果たしてヘビーゲーマーには受け入れられるのか? という,読者にとって興味深いテーマが発生。筆者が進化したゲームシステムに魅入られていく様子を交えつつ,「アドバンスド大戦略IV」という作品を切り開いていく。

 さすがボードゲームタイプのウォーシミュレーションに精通しているだけあり,的確な分析力で本作の魅力を見抜き,短い文章の中で簡潔にまとめている。この分析力に関しては「アドバンスド大戦略IV」のみならず,今回選考に残ったレビューのほぼすべてが申し分ないレベルに達しているように思えた。同一ジャンルの中において,個々の作品が持つ独自のテイストを抜き出している。
 今後の課題は,まさしく"物足りない"部分の肉付けだろう(これも最終選考に残った,ほぼすべてのレビューに共通する)。作品の特色や個性は上手に分析していても,基本的な最低限のゲーム内容が書かれていない。つまり読み手がある程度,その作品やシリーズ全体の傾向,ジャンルの歴史を知っていることが必須条件のレビューばかりとなっている。
 本レビューはそういった配慮も忘れていない部類に入るが,それでも基本情報の不足は否めない。説明過剰で長文すぎるレビューが「過ぎたるは及ばざるが如し」であるのは間違いないが,かといって短ければ短いほど無条件で評価が高まるというわけでもない。ぜひ,ゲームプレイ以外の地道な調べ物にも時間を割き,レビューとしての完成度を高めていただきたい。

■■Seal■■
「ウルティマ オンライン」(レビュアー:Noise)

 「ウルティマ オンライン」のレビューは,非常に惜しいといわざるを得ない。"生"のプレイヤー視点からの具体的な事例をちりばめて,項目ごとにまとめて書かれている部分と,昨今のMMORPG事情から,UOのウィークポイントを正確に認識して伝えている部分の2点は評価できるポイントだ。
 しかし,レビュー中に挙げられている事例が多くなりすぎていて,話の焦点が微妙にずれているのが残念だった。もう少し,コンパクトにまとめていくと「レビュアーが何を言いたいのか」が明確になると思う。
 またUOが,コミュニケーション,家,ベンダー,PvPの四つの要素のみで語られているので,それらに魅力を感じる人には生の声が反映されたよいレビューとなるが,それ以外の人には普通のレビューのように思えてしまうだろう。ゲームシステム全体の部分が簡潔にでも言及されていれば,ゲームレビューとしての完成度が高まるのではないだろうか。


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