[TGS2003 #14]ATIブースPart1 カプコンは「エンパイアーズ 〜近代の夜明け〜」を出展 - 2003/09/27 07:53

 今回のゲームショーでカプコンが出展していたPC向けタイトルは,壮大な人類史を題材にした歴史RTS「エンパイアーズ 〜近代の夜明け〜」一つのみ。ただ驚いたことに出展されていたエンパイアーズは,すでに日本語化されているバージョンであり,ブースで発表されている発売日も,なにげに強気の2003年秋との表示。英語版の発売日も定まらぬうちに気の早い話だと思い,実際にカプコンのスタッフに話を聞いてみると,英語版の開発とほぼ並行してローカライズを行っている形らしく,細かい微修正(表現をより格好良くしたりする)を除いては,日本語化作業のほとんどが既に終了しているという話だった。
 ただ英語版自体がまだマスターになっていない状況なので,2003年秋というのは若干微妙なラインなのだとか。ただ少なくとも,英語版にそう遅れることなく日本語版を発売していきたい考えのようで,そのあたりは(現状)まず安心してもよさそうな雰囲気である。

 さて,作品自体の紹介も併せて行っておこう。
 エンパイアーズが人類史を題材にしたRTS。プレイヤーは全9か国用意されている国家の中から一つを選び,資源を集めながら軍備を増強し,敵対する勢力の打倒を目指していく。
 前作に当たる"エンパイア・アース"が,石器時代からロボットが闊歩する近未来までと,ある意味壮大すぎる時代設定を売りにしていた作品ではあったが,今回では,それを中世から第二次世界大戦までと大幅にシェイプアップ。より短時間で手軽に遊べるようにという配慮からだという話ではあるが,ゲームバランスの調整の難しさなども含めると,時代設定の絞り込みはむしろ然るべき処置といった気もする。ただ時代範囲を絞り込む半面,文明ごとの個性をより強化していたり,進化システムにちょっとしたアレンジを加えていたりと,ゲームが単純かつ単調になってしまないためのさまざまなアイデアが,妥協することなく所々に用意しており,世界的な大ヒット作である「Age of Empires」のゲームデザイナーRick Goodman氏が手掛ける,本作の拘りと自負を伺うことができる。
 肝心の"進化システムにアレンジ"という部分を説明すると,本作では登場する文明が"九つ"となってはいるのだが,ゲーム初期(中世)の時代に選べる文明は,中国,イングランド,朝鮮,フランク王国の4種だけ。残りの五つはというと,時代を進化させていく際に"ゲーム中に選ぶ"形となるのだ。つまり,例えばイングランドだと,途中で大英帝国,アメリカ,ドイツのいずれかに分岐し,それが朝鮮の場合だと,ロシア,アメリカ,フランスのどれかに進化(?)することになる。なんで朝鮮がアメリカやフランスになるんだ,と突っ込みたい気持ちもないわけではないが,多少はゲームバランス面での配慮を優先したという側面があるのではないだろうか。
 というのも,今回は文明の個性が非常に強化されており,例えば中国だとユニットの人口リミットが圧迫されにくいとか,フランク王国だと建物が自動的に建設されたりとか,かなり特殊な文明ボーナスが用意されている。新システムによる時代進化における文明の取捨選択が,ゲームの勝敗に露骨に影響してしまうことは,想像に難くない。本作が対戦ゲームとしても広く遊ばれるであろうことを考えると,このような"バランス重視"の方向性は,個人的には歓迎すべき要素なのではないかと感じる。
 ただ時代考証的な見地から多少苦言を言うならば,この時代設定で朝鮮があって日本がないというのは,非常におかしいと言わざるを得ない。中世〜ルネサンスあたりはともかくとして,帝国主義時代〜第一次大戦期の日本は,弱小国ながらも世界史的に非常に活動が激しかった時期であり,日露戦争で勝利し,ロシア帝政崩壊の引き金ともなった存在である。これは所詮は日本人としての感慨なのかもしれないが,むちゃくちゃさ加減といい,いろいろな意味で熱かった当時の日本を,もう少し評価してほしかった。
 ただアジア地区の文明で日本ではなく朝鮮が入っているのは,オンラインゲームが盛んな韓国市場を見越しての配慮だという話もあり(もっとも有力だが),それならば仕方がないというか,対戦ゲームが盛んなお隣韓国の勢いが,多少羨ましくも思えてしまうものだ。

 無駄な話を挟んでしまった。ともかく本作は,歴史ゲームファンならびにRTSファンに注目してほしい一本。英語版ではあるが,当サイトの「こちら」に体験版も掲載されているので,興味が沸いた人はダウンロードしてみるとよいだろう。(TAITAI)

(注)ゲーム画面は開発中のものです。


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