The great Rally!−
LEG00

ラリーは最も身近なモータースポーツだ!


© Photo by Darryl & Susanne Peroni - Autoshot e-mail:dperoni@webace.com.au

 砂煙,クラッシュ,ジャンプ……"ラリー"というモータースポーツは,世界イチ面白い競技だと思う。ただ速いだけでは勝てず,"自然"と"コース"と"運"と"腕"と,そのすべてを味方につけねばならない。
 モータースポーツとしての認知度はF1に劣るが,実はラリーのPCゲームというのは,なかなかに多彩に揃っているのだ。「メジャーマイナー」であるラリーそのものに対しての説明を加えつつ,諸君をズルズルとPCラリーゲームに引きずり込む連載が,いまStart!


Mobil1 Rally CHAMPIONSHIP セガラリー2 Rally Masters Colin McRae Rally
Cool ScreenShots


●ラリードライブで緊迫の疑似体験●

 押井守(劇場アニメ「甲殻機動隊」の監督)はインタビューで,
「想像でしかないものとか誰も見たことのないことを映画の中でやるっていうのは,実はあんまり説得力がないんですよね。映画っていうのは,見たことのあるものから出発して,どれだけリアリティがあるのかだと思うんです」 と言っている。ゲームにだって,もちろんそれはあてはまるはず。

 自分の車でドリフトを決めたことがない人でも 雨の日の峠でタイヤがズルッと滑ったとか,雪道で車が流れてしまった程度の体験はあるはず。「ないならオーバースピードでカーブを曲がってみよう」 とでも言いたいところだが,危ないので絶対やらないでください。:p
 その体験の一歩先にあるものとしてラリーゲームをとらえると,もの凄いリアリティを持って我々に迫ってくる。剣と魔法の世界もいいが,現実のほんの一歩先の緊迫した世界の疑似体験ラリーゲームの面白さは,そこに凝縮されているのだ。
●自分でも乗れるピュアスポーツ●
それがラリーカー

 日本では,インプレッサ,ランサー,プジョー206といったトップWRカーのベース車が街中を走り廻り,意を決すれば,誰でも手に入れられる環境にある。コンビニで売ってるWRCのビデオを3本(別に1本でもいいけど,ターマック [舗装道路],グラベル [砂利道],スノー [雪道]といった表情の違うステージを見るのが筋かな)見たあとにそれらの車に遭遇すれば,その車を見る目が今までと全然違っていることに気がつくだろう。
 無骨に見えるランサーがマルボロの赤白カラーで駆け抜け,地味なインプレッサも青と黄色に彩られ,輝いて見えるようになる。 自分のPCの中でそれらを体験できるとなれば,楽しくないハズがない。 特にここ1〜2年,ラリーゲームは良作に恵まれている。 タイトルごとに切り口が違っているのでその特徴を解説しつつ,読者諸君を深みに引きずり込もうと思う。

Mobil 1 Rally CHAMPIONSHIP セガラリー2 Rally Masters Colin McRae Rally



Mobil1 Rally CHAMPIONSHIP
■価格:8800円
■問い合わせ先:イマジニア 電0333438900
http://www.imagineer.co.jp/pc/
■動作環境:Windows 95/98,Pentium/233MHz以上(推奨PentiumII/300MHz以上),メモリ32MB以上(64MB以上推奨),空きHDD容量20MB以上(300MB以上推奨)

© 1999-2000 Actualize Ltd (formerly known as Europress Software Ltd) and Magnetic Fields (Software Design) Ltd.


 '96年「Network Q RAC Rally」 '97年「インターナショナルラリーチャンピオンシップ」 '99年「Mobil 1 Rally CHAMPIONSHIP」と続く3部作。舞台などが違うものの,一連のシリーズとして進化してきたタイトル。PCの環境は4年もすれば激変する。グラフィックは3D機能が強化され,サウンドも臨場感を求めて進化している。しかし,この3本の根底にあるゲームのスタンスは変わっていない。

 狭いコースを走り,車を傷めながらゴールを目指し,サービスパークで修理を施し,また次のステージも過酷なコースを走り続ける……。速く走ることを追い求めるほかのタイトルとは一線を画し, 速く走りつつマシンを壊さないようにするという,相反した条件の中で戦わなければならない。いや,「壊れたマシンでどこまで闘えるのか」と言い換えたほうがいいかもしれない。損傷がひどくて走れなくなるのは当たり前,サービスパークでの修理が不十分で,途中失格にまでなったりする。ゲームなのに!

 そういう意味で,このタイトルはラリーの行程全体が見渡せていないと楽しさがわかりづらいと思う。2速ギアをロストしたりステアリングが不調になったりすると,前を走るマシンとの差がどれだけなのか考える余裕などなくなってくる。自分のマシンをゴールまで持たせるので精一杯。サービスパークの修理時間では壊れた箇所の半分も修復できず,我慢の走行は次のステージも続く。
 ステージ自体も,ほかのタイトルに比べると異様に長い。1ステージで10〜15分走るのもザラなのは,実際のラリーの走行時間に準じていることが分かると納得できるだろう。ゲームとしての"ラリー"(楽しい部分のみを切り取ったということ)をするのではなく,これは実際にラリーに参加していると考えてプレイすると,見えてくるモノがたくさんあるのだ。



セガラリー2
■価格:7800円
■問い合わせ先:セガ・エンタープライゼス 電0473806441
http://www.segarally.com/
■動作環境:Windows 95/98,Pentium/200MHz以上(推奨PentiumII/300MHz以上),メモリ32MB以上(64MB以上推奨),空きHDD容量90MB以上(650MB以上推奨)

© SEGA ENTERPRISES,LTD.,1998,1999,2000


 ある意味もっとも特殊な位置付けにあるのが「セガラリー2」。ご存じのようにアーケード版を祖とし,ドリームキャスト発売当初のキラータイトルの一つとして移植されたもの。それをベースにPC版が作られているため,知名度は異様に高い。PCゲーマーならずとも知っているだろう。
 アーケードの宿命として,100円でいかにプレイヤーを引き込むかが重要になっている。誰にでも容易に"ドリフト"というコンセプトが感じられ,賛否両論があるのも事実。ホバークラフトでも運転してるんじゃないか? という酷評があるのは,限界領域での挙動と低速域での挙動のメリハリがないことのように感じるが,リプレイではそれも逆に作用してカッコよく見える。車のポリゴンをしっかりと作り込み,テクスチャでいい加減にごまかしていないという点では,グラフィックスは今でも最高峰の出来。

 メーカーサイトでランキング登録を実施して盛り上げたりと,営業努力(?)も欠かさない。このあたり,ほかのPCゲームメーカーにも見習ってほしいところだ。アーケード版,ドリームキャスト版のノウハウがそのまま持ち込めるなどの特徴もある。
 個々のマシン解説はCarGraphic調を狙って古谷徹が担当し,オマケのセリフで「セガラリー3でお会いしましょう」と言っているが,その情報はいまだ片鱗も見ることすらできない。


Rally Masters
■価格:8800円
■問い合わせ先:マイクロマウス 電0333768061
http://www.micromouse.co.jp/
■動作環境:Windows 95/98,Pentium/233MHz以上(推奨PentiumII/266MHz以上),メモリ32MB以上(64MB以上推奨),空きHDD容量約300MB以上

Copyright © 2000 Infogrames Entertainment S.A. All Rights Reserved.



 WRCのシーズンが終わったあとに,Race of Championsというイベントが開催されるのをご存じだろうか? あまり大きな報道になることは少ないので知らない人も多いかも。
 簡単に説明すると,WRCのSSSで使われる2列のコースを同じ車両で走行してタイムを競う,オールスター戦のようなものだ。参加ドライバーも有名どころばかりで, コリン・マクレー(現フォード)がランサーに乗ったりするのは興味深い。

 そのRace of Championsを題材にしたゲームが「ラリーマスターズ」。マシンの駆動方式が如実に挙動に現れるのが特徴で,FF,FR,4WD,MRの違いをモロに実感できる逸品。
 オンライン対戦にも力を入れている開発元のDigital Illusionは,サーバーを別立てのWindowsマシンにし,対戦人数を増やすことに成功している。通常3〜4人のところを7〜8人の対戦も可能にしたのは,この方式にしたことの恩恵だ。ネットワークRPGなどと違い,打ち合わせや会話が必要最小限で済むので,外人との対戦も気軽に楽しむことができる。同じくクルマ好きの友人を誘い込めば,盛り上がること必至である。



Colin McRae Rally
■価格:9800円
■問い合わせ先:イマジニア 電0333438900
http://www.imagineer.co.jp/pc/
■動作環境:Windows 95/98,Pentium/166MHz以上(推奨Pentium/200MHz以上),メモリ16MB以上(32MB以上推奨),空きHDD容量20MB以上(500MB以上推奨)

Copyright The Codemasters Software Company Limited and Codemasters Limited 1998-2000. All Rights Reserved. "Codemasters" ® and the Codemasters Logo are trademarks owned by Codemasters Limited. Developed by Codemasters and distributed exclusively under license by Imagineer Co. Ltd. "Colin McRaeTM" and the Colin McRae signature device are registered trademarks of Colin McRae. All Rights Reserved. "Colin McRae TM" and all copyrights, trade marks, designs and images of car manufacturers and/or on car liveries featured in relation to this game are being used by Codemasters under license. This game is NOT licensed by or associated with the FIA or any related company.


 もっとも影響力が大きかったのが,この「コーリン・マクレー ラリー」。このタイトルの発売直後は,開発元Codemastersの知名度がそれほどでなかったことと日本に代理店がなかった(知らされていなかった)ため,輸入版を手にした一部のプレイヤーと,デモ版をプレイしたプレイヤーたちから口コミで広がっていった。
 間口は広く,しかも奥が深い。ドリフトなんかは簡単にできる。ヘアピンでは,サイドブレーキを引けばアッという間にテールが流れてくれる。しかし,"速いタイム"を出すのは容易ではない。

 ドバッと横滑りして大きくカウンターをあてていたのを小さくするだけで,ちょっとだけタイムが良くなる。こういう部分がとても気持ちいい。続いて,タイヤの選択も変えてみる。さらにタイムが縮まる。ほかに何がいけないんだろう? コース取り? アクセルワーク? さまざまな疑問が沸いてきて,試しては失敗し,また試行錯誤を繰り返す。それが楽しい。

 そんな名作も,もう発売から2年が経とうとしている。新作の「コーリン・マクレー ラリー2」は,発売日の延期が度重なって2000年11月に落ち着いたようだが,僕らの期待はますます大きくなり,フォーカスに乗れる日を楽しみにしている。Codemastersは絶対にハズさないのを知っているから。


 ここまで読んでくれたあなたは,ラリーゲームに興味を覚えたかもしれない,いやそうに違いない。そうでなくては困る (^^;
 タイトルによって切り口がまったく違うのは,F1に代表されるサーキット競技のように決まった周回コースを走るわけではないし,競技も朝から晩まで3日間走りまくる過酷な競技のせいだ。いくらHDDが増えてPCゲームが進歩しても,"ラリー(WRC)"のすべてを描き切ることはできないのだ。

 そんなわけで,サブページの「ラリーのイロハ」では, WRCがどういう流れになっているのかを,用語解説なども交えつつ 簡単に知ってもらおう。 なんとはなしに「ラリーって砂漠を走るもの」 とか思っていた人, 全然違うんですよ。
 そこさえ読めば,ラリー全体の流れというものが, なんとなく分かってもらえるはず。次回は,もう少しゲーム寄りにして, デバイスの話などをする予定だ。

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