第2回 戦闘ヘリの戦術

 ヘリコプターはいうまでもなく航空機の一種だが,戦場で高度を上げて飛ぶことは少ない。なぜなら,固定翼機(ヘリコプター=回転翼機に対して通常の飛行機をこう呼ぶ)に比べてはるかに飛行速度が遅く,高度もさほど上がらないため,中途半端な高度で飛べばたちまち対空兵器の的になってしまうからだ。
 ではどのように活動しているのか? 戦場では,ヘリコプターは地を這うように飛ぶ。地上の起伏,谷間や断崖,樹木や建物などあらゆる遮蔽物を利用し,身を隠しながら前進する。これが戦闘ヘリの移動スタイルだ。優れた戦闘ヘリコプターのパイロットたるためには,戦闘機パイロットのようにものを考えてはいけない。戦車長のように考え歩兵のように行動することが求められるのだ。

匍匐(ほふく)飛行
 最も危険な空域――最前線――での戦闘ヘリは,まさに地上すれすれ,地表から木々の梢までの間のわずかな空間を飛ぶ。文字通り地表を這うように飛ぶということで,この飛行パターンは匍匐飛行(Nap Of the Earth=NOE飛行)と呼ばれる。遮蔽物にいちいち身を隠しながら前進するため移動速度はゆっくりとしたものになるが,姿を見せずに近づいてくるその存在は,敵にとって実に嫌なものだ。
 航空機でありながらほとんど陸戦兵器のように行動するヘリコプターだが,ほかの陸戦兵器と最も異なるのは,必要とあれば垂直に切り立った断崖絶壁でも登ることが出来る点だろう。"地形障害"がなんら障害にならないヘリコプターは,それまでの陸戦の常識が通じない陸戦兵器なのだ。最新の戦闘ヘリではローターの発する騒音も軽減されており,隠密性も高まってきている。敵に気づかれずに忍び寄り,突然遮蔽物の上から顔を覗かせミサイルを発射。反撃を受ける前に再び遮蔽物に身を隠してしまう。これこそが戦闘ヘリコプターの得意とする戦闘パターンであり,ほかの陸戦兵器から天敵のように恐れられる理由だ。

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地形にそって匍匐飛行する2機のホーカム

空中戦
クリックすると拡大します  他の陸戦兵器に対しては優位にある戦闘ヘリだが,高空を高速で飛ぶ固定翼機との戦闘ではどちらに分があるのだろうか。航空機同士の戦闘では,より高空を高速で飛ぶ機体に分があるというのがセオリーであり,その法則に則ればヘリコプターなど一蹴されてしまいそうだ。だが,実際のところジェット戦闘機と戦闘ヘリとの戦闘はお互いの特性が違いすぎてまったく噛み合わない。ジェット戦闘機にとって戦闘ヘリは地上の遮蔽物に身を隠してしまうと照準が難しく,機銃などでゆっくりと照準するにはジェットでは速度が速すぎる。また戦闘ヘリにとってもジェット機は速過ぎてその対空ミサイルをもってしてもなかなか撃墜することはできない。従って一方が不意を突かれたようなケース以外ではお互いなかなか決着がつかないのである。
 よって,戦闘ヘリコプターにとって最も脅威となる相手とは戦闘ヘリ自身となる。自分と同じ特性,性能,武器を持ち互角の戦いを挑んでくる相手。現実の戦場ではまだ戦闘ヘリ同士の戦闘というのはほとんど報告を聞かない。その戦術はもっぱら模擬戦での研究から生まれてきたものだ。だが,戦闘ヘリパイロットにとっては最も腕を試される機会だろう。

 というわけで,次回はいよいよ東西の最新戦闘ヘリ,コマンチとホーカムのハードウェアに迫ろう。

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