エジプトの古代民族を指揮するファラオとなって,ナイル川の肥沃地帯を開拓し巨大な文明を築き上げていく箱庭シミュレーション,「Children of the Nile」のデモ版が登場。本作は,「ファラオ 〜古代エジプト建国シミュレーション」(イマジニア/2001年)の開発メンバーが在籍するTilted Mill Entertainment社の最新作。パラメータの状態と細かいグラフィックスのみで世界を判断するという,箱庭ならではのとっつきの悪さはもちろんあるが,マニュアルも完備していることだし,ぜひ英語辞書片手に挑戦してみてほしい。
本作は,以前「Immortal Cities:Children of The Nile」の名で開発されていた箱庭シミュレーションだ。プレイヤーは,古代エジプトの君主として知られるファラオ(Pharaoh)となり,文明を形成する人間達に採取,狩猟,農業の方法,また教育や宗教といった文化的活動の指針を与え,都市の発展を目指すことになる。もちろん箱庭ゲームなので,都市のデザインも併せて楽しむことができる。
この実にオーソドックスなゲーム設計の中で,"キャラクターの生活"をじっくりとトラッキング(追跡/観察)できるというのが,本作の大きな特徴である。
実は都市を構成する市民には一人一人名前が付けられており(なんと変更も可),同社自慢のAIで個々の意志を持って行動する。そしてその農家や使用人,またこの世界の主であるファラオも観察対象として登場し,アリの群れを見るような遠めの俯瞰視点や,筋肉の陰影までが見えるほどの近接視点での観察が可能となっている。
とはいえ,こういった視覚的効果は「RollerCoaster Tycoon 3」などを始め,比較的新しめのタイトルが高いクオリティでこぞって搭載しているトレンドの機能であり,現段階では特筆には値しない。グラフィックスも多少荒削りでビジュアルのインパクトは少なめ。ゆったりとしたBGMを聞きながら,大河と砂漠の文明を徐々に発展させていくカタルシスに浸れるかどうかで,このタイトルの好き嫌いは大きく分かれそうだ。
本デモ版には,狩猟や穀物の採取,簡単な市場の形成と,医療/教育施設を根付かせるまでの,チュートリアルを兼ねた2レベル(Down of Civilization/ Enlightenment)が収録されている。
ファラオの住まうPalaceを中心に,FarmerやServantといったPeasants,Shopkeeperが占めるMiddle Class,そしてEliteという,身分の高低を理解しながら配置して街を発展させていく本作は,箱庭初心者には少し難度が高め。逆にいえば,じっくりとチュートリアルに取り組んで数時間をゆうに遊び込める作品なので,PDFのマニュアルとにらめっこしながら,ぜひプレイしてみるべし。(Gueed)
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