Crazy Taxi 3 High RollerText by UHAUHA
クレイジーな奴等がパワーアップして帰ってきた黄色いオープンキャブ(タクシー)を駆り,お客を目的地まで運ぶドライブアクションゲーム"クレイジータクシー"(以下,クレタク)。タイトルどおりゲーム全体がクレイジーで,客を乗せたら目的地に向かってタクシーをブッ飛ばすだけ。道路交通法なんて糞食らえ,信号なんて守らない(そもそもない),ノンビリ歩いている人々や障害物を蹴散らそうが,対向車にぶつかろうがまったくお咎めなし。目標はただ一つ,目的地に一刻も早く着くことだ。コンシューマ,アーケードで人気のクレタクは,PC版としては2002年にも一度リリースされていて,最新作「Crazy Taxi 3 High Roller」(以下,クレタク3)も,いよいよPC版として登場した。 本作はXbox版からの移植で,1280×960ドットまでの高解像度に対応。BGMは一新されているが,ビートの利いたイカしたノリは健在だ。 イカした(イカれた)運転で目的地までぶっ飛ばせ!
ドライバーは,歴代ドライバーを含めた総勢12人が集結。どれもオープンなイエローキャブで,タクシーによる特性の違いがあるので一通り使ってみるといいだろう。 街角に立ってタクシーを待つ客の周りには,目的地までの距離に応じて色の違う枠が表示されている。緑の枠が一番遠く,赤が近場だ。当然遠くまで送り届ければそれだけ大きな収入となる。 走行中は,とことんクールに運転すること。クールな運転とは,つまりイカれた運転のことだ。対向車線や建物の上を走ろうが,公園を突っ切ろうが,海の中を走ろうが,公衆電話をなぎ倒そうがお構いなし。とにかく好き放題に走り,目的地を目指そう。
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| ミニゲームCRAZY Xではジャンプドリフトやドリフトキャンセルなどさまざまなテクニックが必要だ |
ゲームの舞台となるステージ(街)について触れておこう。どれも広大で細かいところまで作り込まれているので,一見の価値ありだ。
青空が気持ちいいウエストコーストは,アメリカ西海岸をモチーフにした,初代クレタクのステージ。クレイジーホップを使用することを考えてリメイクされている。
ウエストコースト名物"シスコ坂"では,道路脇にある建物の屋根の上を走れるようになっているし,また高速道路からビル街への別ルートが作られていて,クレタクを飽きるほどプレイした人もまた新しい気持ちでプレイできるようになっている。
スモールアップルは,美しい夜のニューヨークをイメージした,クレタク2のステージ。ウエストコースト同様に,面白さが増すようにリメイクされている。
道が複雑に入り組んでいるうえに狭いところが多く,道を間違えると大きなタイムロスとなる。ただショートカットポイントが多く,これをうまく利用できるかがキモ。地下鉄だろうが公園だろうが,通れるところは突っ走ろう。おそらく一番難度の高いステージだ。
グリッターオアシスは,ラスベガスそっくりの新ステージ。
ネオンの美しいエンターテイメントの街,グランドキャニオン,レッドロックキャニオン,フーバーダムなどネバダ州の一角をそのまま再現したようなステージで,華やかな街を抜け,砂漠を走り,渓谷部に入るといった風景の移り変わりを楽しめる。渓谷部では頂上から谷底へダイブし,谷底から頂上を目指してクレイジーホップを使いながら駆け上るといった,ほかのステージにはない高低差が魅力だ。
これらのステージには,Kentucky Fried Chicken(ケンタッキー・フライド・チキン),TOWER RECORDS,GAP,HMVなど誰もが知っている有名ショップから,名前だけは聞いたことがあるといったマイナーショップまで,いくつかの実在する店が実名で登場する。
また各ステージに登場する団体客には,野球選手,マッチョマン,チアリーダー,うさぎのマスコットなどユニークなキャラクターたちが登場する。タクシー乗車時や降車時のアクションにも注目してほしい。
| 登場ドライバー一覧 | |
| ウエストコースト | Axel,B.D.Joe,Gena,Gus |
| スモールアップル | Slash,Iceman,Cinnamon,Hot-D |
| グリッターオアシス | Angel,Bixbite,Mrs.Venus,Zax |
"CRAZY X"というゲームモードは,クレタク定番のミニゲーム集。レベルごとに分けられた,合計25種類のミニゲームが存在する。
ジャンプ台からジャンプして飛距離を競う"CRAZY JUMP",迫りくる車やトラック,バスをかわしてゴールを目指す"CRAZY
FOOTBALL",動くプレートの上を走り抜ける"CRAZY HOPPER",さらには両側に何もない細い道をクレイジーホップやクレイジードリフトジャンプを使って走るゲームや,ウエストコーストを1周するゲームなど,ミニゲームはバラエティ豊か。
レベル1こそ比較的簡単にクリアできるが,レベル2からはさまざまなテクニックを駆使しないとクリアすることすら難しく,ミニゲームとはいえナメてかかると痛い目に遭うだろう。
各レベルをクリアすると,ゲームをより面白くするさまざまな隠し要素が出現するので,ぜひ全クリア目指して挑戦したいところ。どれも数分でプレイできるうえ,単純なので何度も挑戦したくなるはずだ。
"REPLAY"モードでは,CRAZY Xクリア時に保存したリプレイ映像を見ることができる。また時間(3分,5分,10分)を決めてプレイし,終了後に六つの視点で自分の走りを観て楽しめるリプレイゲームも用意されている。
クレタクにもリプレイ機能が搭載されたのは嬉しいところだ。リプレイデータは保存しておくことも可能なので,イカした走りができたときはサクッと保存して,あとで楽しむのもいいだろう。
| ネタバレCRAZY X隠し要素 | |
| レベル1 | 道路,目的地ポイントが記されたステージマップが見られるようになる |
| レベル2 | 自転車,乳母車,木馬の隠しカーが使えるようになる |
| レベル3 | 各ステージで客の配置の違うANOTHER DAYモードをプレイできるようになる |
| レベルS | 各ステージですべてのドライバーが使えるようになる |
クレタクには,ギアとステアリング操作で行う数々のテクニックがある。これらを使いこなせるようになると,一段とクレタクの面白さが味わえるはずだ。
使用頻度の一番多いのが,"クレイジーダッシュ"。ギアをDに入れ(Dに入った状態でもOK),タイミング良くアクセルを踏むと急発進する。走行中に繰り返し使うことで最高速を超えた状態(リミッターカット)で走行可能なので,目的地までの時間短縮に大きく貢献するはずだ。
関連テクニックとして,ギアをDからRに入れることでバックで急発進する"クレイジーバックダッシュ",クレイジーダッシュ中にギアをRに入れてブレーキを踏むと急停車できる"クレイジーストップ"がある。
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| 目的地に到着すると運賃が精算される。客の指定時間より早く到着するとタイムボーナスがもらえる |
直角カーブやヘアピンなど,急旋回が必要なときに使えるのが"クレイジードリフト"。走行中(D)にギアをR,Dと瞬間的に切り替えて,ステアリングを切ってタクシーをドリフトさせる。客を乗せていればチップがもらえるが,一般車と接触したり,コントロールを失ったりすることも多いので使いどころが難しい。
走行中にギアをRに入れた状態でステアリングを切ると,ドリフトしたあとバック走行となる"クレイジーバックドリフト"が発動する。180度向きを変えたいときに便利だ。
テクニックとはちょっと違うが,タクシーがジャンプする"クレイジーホップ"は,ボタンを押すだけで出せる手軽な技。ボタンを押している時間により高さを調節でき,前方から走ってくる一般車を飛び越したり,柵を飛び越してショートカットしたりと,使いどころはたくさんある。
ジャンプすればチップがもらえるし,下り坂やジャンプ台を併用したロングジャンプの浮遊感は最高なので,余裕のあるときは跳ね回っておきたい。
クレイジードリフト中にクレイジーダッシュを入力すると,ドリフトが止まってクレイジーダッシュを開始する"ドリフトキャンセル"が発動する。
さらに,着地に合わせてクレイジードリフトで向きを変えてからクレイジーホップでジャンプする"ドリフトホップ",クレイジーホップで跳ねた状態でクレイジーダッシュを使うことで前進できる"クイレジーホップダッシュ"など,基本テクニックを組み合わせた複合テクニックも使用できる。
もちろんこれらのテクニックを使わなくてもクレタク3は楽しめるが,使えばスコアに大きく影響が出てくる。とくにCRAZY Xでは必須となるため,マスターしておくことをお勧めする。
また今作から,クレイジーダッシュなどを発動するとタイヤから出る炎や,速度感を味わえるモーションブラーなどのエフェクトが追加され,見た目の派手さにも磨きがかかっている。とくに炎のエフェクトは,連続してクレイジーダッシュを出す場合にタイミングがつかみやすいなんて効果もある。見た目と操作性の向上,まさに一石二鳥といったところだ。
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| 水色の枠が停車位置。止め方によっては客が逃げてタイムロスとなってしまう | 客の指定時間までに到着できなければ,客は怒ってタクシーから飛び降りてしまう | ネオンきらめくグリッターオアシスの街。最近流行のモーションブラーで夜の街の雰囲気は抜群 |
目的は"単純明快",それでいてプレイすれば"豪快" "爽快" "ハチャメチャ"という言葉がピッタリ。どの要素も特出すればゲームバランスが崩れてしまうところだが,そこはさすがセガ&Hitmaker。すべての要素が見事に調和され,老若男女の誰がプレイしても「面白い!」と思えるゲームバランスに仕上げられている。
今回のクレタク3は歴代クレタクがプレイできる太っ腹な内容になっており,まだクレタクの世界を知らない人にもお勧めだ。PC版クレタクをプレイした人も,リニューアルされたウエストコーストをクレイジージャンプを使って走り回れば,新鮮な気持ちでプレイできるだろうし,二つの新コースで腕試しというのもいいだろう。
一度プレイすれば,ノリノリのBGMが流れた瞬間アドレナリン出まくりでクレタクの世界に突入してしまう。この面白さを味わわなければ絶対に損だ。
まずは「こちら」のクレタク3体験版を,騙されたと思ってプレイしてみてはいかがだろうか。プレイ後に,きっとお店に走ることになるだろう。そのときはくれぐれも安全運転でお願いしたい……。
最後に独り言を。クレタク3を遊んでいたら,ふと,これでマルチプレイができたら面白いんじゃないかと思った。
レースをするのではなく,同じマップに複数のプレイヤーが入ってプレイする。例えば客を乗せて走っていると前方の建物の上を飛び越えていく同業者が見えたり,前からクレイジードリフトなどで立ち上がってくる同業者と遭遇したり,時には車をぶつけあったり,客を横取りしたり取られたり……。こんなクレタクならではのマルチプレイは楽しそうだ。
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| 団体客はユニークなキャラクターばかり。乗車時や降車時のアクションは注意して見てみよう | 信号はないがほかの車には信号が見えるらしく(?),きちんと停車したりする | なぜか海や川の中にも客がいる。服を着てるがシュノーケルも装着……あまり深く考えてはダメ |
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| タクシーの上でアフロコンビが喜びのウェーブで大興奮 | バスケット選手を送り届けたら,降りぎわにバスケットボールをパスされた図。よほど嬉しかったとみえる | 目的地に向け無理してジャンプしてみたが届きそうにない。……クールじゃないかな |
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| ミニゲーム"CRAZY FOOTBALL"。迫ってくる車の群れをかわしてタッチダウン(ゴール)する。白線を越えたら失敗だ | CRAZY Xという名前の由来が分かるショット。レベル2からかなり手強くなるので心して挑戦してもらいたい | CRAZY Xのレベル1をクリアすると,各ステージのマップが見られるようになる |
| ■メーカー:セガ Original Game (C) SEGA (C) Hitmaker
/ SEGA, 2002, 2003 |
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