WarCraft III:Reign of Chaos

「Warcraft3」種族別詳細

Race#2:Night Elf

知られざる太古の種族が再び!

  WarCraftIIIで新たに追加された種族の一つ「Night Elf」は,闇夜での戦いを得意とする夜行性のエルフ族である。Warcraftの世界における最も古い種族である彼らは,いち早く魔法の研究とその秘密の解明に取り組んだことで知られており,またその強大な魔法の力を使うことにより長きに渡って繁栄を謳歌していた。しかし,向こう見ずな魔力の乱用は,やがて破滅的な戦争を呼び起こす結果となってしまい,自らの故郷も崩壊し海へと沈んでしまう。その後かろうじて絶滅を免れたNight Elf達は,過去の過ちを繰り返さないように魔法の使用を制限し,数千年に渡って聖なる山「Hyjal」の山頂に隠れ住んでいた。
 先進的な種族というあたり,Starcraftのプロトスを彷彿とさせるものがあるが,ストーリーに関する細かい設定などについてはまだまだ不明な点が多い。勝手な予想ではあるが,世界規模で巻き起こる戦争の状況を知り,過去の悲劇が繰り返されるという危機感を抱いて参戦してきた種族……という雰囲気なのだろうか。

 さて,ほかの"劣った種族"に対して不審の念を抱いているNight Elf達だが,彼らはあらゆる面で興味深い特性を持っている種族である。βテストの段階では実装されていない要素が散見できたものの,ざっと使ってみた感触では全ての種族の中でも最も使いやすく,また初心者向きの特性を多く持っている印象を受けた。実際,βテスターの中では最も人気が高く,「強い」との評判もあるようだ。

僕らはみんな生きている。建物だって生きている?

 この種族は,まず資源の採集方法からして非常にユニークだ。Night Elfでは「Tree of Life」と呼ばれる拠点施設を金鉱に寄生させ,木の根っこを使って直接金を吸い出す収集方式をとっている。労働者を作業に当たらせて金を採掘するほかの種族よりもはるかに効率がよく,また操作的にも非常に楽な点が大きな特徴といえるだろう。もう一つの資源である木材の収集も,木に作業ユニット「Wisp」を取り憑かせ,そこからエナジーを吸い取るような感じで集めるのだ。伐採して木材を運んだりするわけではないので,移動で生じるロスはほとんどないが,代わりに一回に獲得できる資源量が多種族の半分に設定されている。

 Tree of Lifeで生産することができるWispは,すべての建物の基となる精霊である。一定の資源を払うことでこのWispをいろいろな建物に変化させることができ,その建物を使って軍備や研究を進めていくことになるのだ。資源の収集方法では非常に高い効率を誇るNight Elfだが,施設を建設するたびにWispを一つ消費してしまうため,総合的な内政効率はそれほど良いものではない(つまり,ほかの種族に比べて建設コストがWisp分上乗せされるわけだ)

 また,建設可能な施設の中に"生きている"もの(特別な力を宿した巨木)が存在する点も,Night Elfの大きな特徴だといえるだろう。それらは,大地に根を生やしている間はユニットの生産や技術の開発など"施設としての役割"を担っているのだが,いざという時には大地から根を引き抜いて立ち上がることができ,戦闘に参加したり歩いて避難したりできる。移動速度が非常に遅いところが難点ではあるが,高い耐久力と攻撃力を持っているため,乱戦時における戦闘力はバカにできない。加えて,敵の攻撃により傷ついてしまった場合には近くに生えている木を食べてダメージを回復させることができるなど,面白い特殊技能も用意されている。

飛び道具をメインとした,扱いやすい部隊編成

 Night Elfの軍事的な特色は,遠距離攻撃が可能な使い勝手のよいユニットが多く揃っているところである。とくに最初に生産できる「Archer」は,あらゆる状況に対応できる最も使い勝手の良いユニットの一つ。ほかの種族の射撃ユニットと比べても群を抜く射程を持ち,序盤から終盤までいつでも主力たり得るユニットなのだ。
 加えて,Archerと同じく序盤に生産できる「Huntress」も,高い耐久力と機動力を誇りながら遠距離攻撃を得意としており,早期に大量の軍隊を揃えて行う一斉射撃戦法が,現状でのNight Elfの典型的な戦い方だといえるだろう。Huntressは,フクロウを飛ばして遠い敵地の様子を盗み見ることができる特殊能力「Scout」を覚えることもでき,その使い勝手の良さはArcherに勝るとも劣らない。
 またこの二つのユニットは,夜になると闇に紛れる能力を発揮する。待機している状態であれば自動的に"隠密状態"に切り替わり,敵からは見えなくなってしまうのである。この特性を上手く利用すれば,「待ち伏せから挟み撃ち」などの戦法が可能になるかもしれない。

 終盤では,巨大な鳥のような飛行ユニット「Hippogryph」や,破壊力満点のイナズマや建物をも溶かす腐食性のブレスを武器にする大型ユニット「Chimaera」の生産が可能になるが,ArcherとHuntressがあまりに使いやすい影響もあってか,マルチプレイではあまり見られることはなかった。
 Hippogryphは,「Hippogryph Taming」という技術を研究することで,その背中にArcherを乗せられるようになる。ただ,HippogryphにArcherを乗せると「Hippogryph Rider」という新たなユニットとして認識されるようになり,Archerを降ろすことはできなくなってしまう。

まだまだ謎の多い魔法系ユニット

 Night Elfの魔法ユニットは,対魔法使い専用ユニット「Dryad」と,動物に姿を変えて戦うこともできる支援系ユニット「Druid of the Claw」の二つのユニットが用意されており,両者とも「Ancient of Lore」という古い巨木から生み出すことができる。
 Dryadは,敵の魔法をうち消す「Dispel Magic」を使うことできるサポートユニットだ。ユニットの説明には"can become immune to spells"(魔法抵抗が得られる)と書いてあったが,その効果を確認することはできなかった。またDispel Magicは,敵にとってのよい魔法はうち消すが,味方に取ってよい魔法はうち消さない。つまり,魔法によって強化した効果が味方のDispel Magicで消されてしまう心配はないのだ。
 次にDruid of the Clawだが,味方の防御力を上昇させる「Barkskin」,熊に変化して敵に襲いかかる「Bear Form」の二つの能力を持っている。Bear Formを使って熊化すると攻撃力と体力が大幅に上昇し,有能な突撃ユニットとして扱うことができる。ただ,現在行なわれているβテストの段階では,いくつかの魔法が実装されていなかったためか,使用できない魔法もあるようだった。ユニットの真価を計るには,次なるバージョンを待つ必要がありそうだ。

 

総評

 序盤から生産できるArcherとHuntressの使い勝手のよさがとにかく印象的だ。これは,武装のアップグレードが共通のものとなっていて将来的な無駄が少ないなど,ユニットの性能以外の部分にも理由があるように思えたが,とにかく初心者向けの分かりやすい(戦い方が分かりやすい)種族なのではないだろうか。ぶっちゃけた話,かなり"お手軽"で"強い"雰囲気なのだ。ただ,スペルキャスターに攻撃的な能力が用意されていないため,終盤戦の押し合いにおいては多少劣る部分が目立つかもしれない。

■ヒーロー紹介

Demon Hunter

 半円形のブレードを装備した戦士で,軽やかな身のこなしが特徴的なヒーローだ。特殊能力の一つである「Evasion」を習得することで,敵の攻撃を最大30%回避することができる。最初に覚えるのはこの能力で決まりかもしれない。ほかにも,敵の魔力を吸い取る「Mana burn」や,自分の体に発生させた炎で周囲の敵にダメージを与える「Immolation」を覚えるが,これらはあまり使い勝手のよい能力ではないようだ。
 最終奥義は,自らをデーモンに変化させる「Metamorphosis」。デーモン化している間は飛躍的に能力が上昇し,また強力なファイアーボールを放てるようになる。

Keeper of the Grove

 半人半獣の戦士系ヒーローで,大いなる自然の力を借りた多種多様な攻撃を得意とする。特殊能力は,木の根を敵に絡みつけて攻撃する「Entangling Roots」,近くの木から兵士を作り出す「Force of Nature」,攻撃を食らうたびに敵に手傷を負わせる"棘のシールド"を周囲の味方に付与させる「Thorns Aura」の三つ。この三つの中ではForce of Natureの使い勝手がよく,大量に呼びされる「Tree man」は敵から見ると非常に邪魔なことこの上ない。
 また,レベル5以上で覚えられる最終奥義「Tranquility」は,恵みの雨を周囲に降らせることで,その範囲内の味方ユニットの体力を回復してくれる能力。これも非常に使いやすい。

Priestess of the Moon

 ホワイトタイガーに跨って戦場を駆ける女司祭。弓による遠距離攻撃を行なえるためヒーローの中では扱いやすく,最初に生産するヒーローの候補でもある。ArcherやHuntressと同じく闇夜に紛れる能力を持っているほか,特殊能力としては,近くの木にフクロウを留まらせて周囲の状況を観察させる「Sentinel」,魔法を使って矢に炎の属性を持たせる「Searing Arrows」,周囲の射撃ユニットに攻撃ボーナスを付与させる「Trueshot Aura」が用意されている。また,最終奥義として覚える「Starfall」は,指定した場所に流れ星(隕石)を落とす超強力な範囲魔法。一撃で敵を壊滅させてしまうほどの威力を秘めている,まさに究極の魔法だ。ただ,その詠唱コストやチャージに要する時間は恐ろしく多い。

 

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