イギリス発の本格派オンライン専用RPG
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| この白い建物の裏側にある3階建ての建物に,Warhammer Online社とClimax Nottigham社の共同オフィスがある。この向かいには古い教会があって,観光客で賑わっていた |
日本でこそ知名度は低いが,「Warhammer Fantasy RolePlaying」(以下,Warhammer)といえば「Dungeons
& Dragons」と双璧をなすほど世界中で愛され,長い歴史を誇るテーブルトークRPGである。とくにゲーム中で大量に使用するフィギュアは,1983年に第1版が発売されて以来何千種と作られており,固定ファンの購買欲を刺激し続けている。最近では,ホビーとして父親から子供達に受け継がれるケースも多いという。
Warhammerは現在のところルールブックが第6版までリリースされており,日本や韓国などのアジア地域でも翻訳されている。そのほか1980年代には舞台を中世的なファンタジー世界から未来に移した「Warhammer
40,000」も登場しており,さらに欧米では関連小説やコミックも続々と登場しているのだ。
このボードゲームのシリーズを手掛けているのが,イギリス中部のノッティンガムに社屋を構えるGame Workshop社だ。ノッティンガムは6世紀から栄えるイギリス国内でも有数の工業都市なのだが,特産品はそれほどないのか,本作は「ノッティンガムが生み出した,ロビン・フッド以来の輸出品」と形容されるほどである。
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| 「ブラッドレター」と呼ばれるモンスターで,何世代にも渡る戦闘で体中に血の色が染みつき,アーマーさえも体の1部に同化してしまっている。これでもデーモンの低級戦士だ |
イギリスはもとよりヨーロッパの多くの国はオンライン専用ゲームの開発に乗り遅れており,かろうじて知名度の高いソフトといえばノルウェーのFuncom社が手掛ける「Anarchy
Online」と,ドイツのReakktor社による「Neocron」あたりだろうか。イギリスではCodemasters社が2003年夏に「Dragon
Empires」のリリースを予定しているものの,ゲーム制作に長けたイギリス陣営としては,少々物足りない感じがする。
これは,お国の事情も大きく関係しているのかもしれない。北欧はともかく,古い街並みで覆われたイギリスやフランスは,ブロードバンドのインフラ整備にとまどっている様子だ。ブリティッシュテレコム社の資金力や政府の補助体制に大きな問題を抱えており,ブロードバンドに接続できる環境のない地域が未だにイギリス全土の3分の1に及んでいて,高速通信の恩恵を受けるユーザーは,一般消費者とビジネスを合わせても100万件を超えるほどしかいない。ADSLサービスも,携帯電話の利用で満足しているユーザー層を取り込めない状態だ。
しかし最近ではアメリカからAmerica On-line社のような大資本が介入するなどの攻勢にもあっており,ようやく月額30ポンド(約6000円)ほどの価格まで落ちてきたようだが,それでも世界的な水準で見ると安いとはいえない価格帯である。イギリスへ行ったことのある人なら,アナログでさえばかにならないほどの料金を強いられた経験があるハズだ。
そんな状況のイギリスでオンライン専用ソフトを開発しようというのだから,「Warhammer
Online」開発者達はよほどゲームが好きなのか,成功する自信があるのだろう。もちろんイギリス国外でのサービスやサポートも念頭においているだろうし,世界を驚かす斬新なアイデアや高い技術力に支えられたゲームを開発しようという気構えもあるのではないだろうか。今回Warhammer
Onlineの取材を行ったのも,そういう興味があったからである。
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