クローズドβテストに約6万件もの応募が殺到した「テイルズウィーバー」は,親しみやすい2Dタイプグラフィックスに小気味良いアクション性を内包する注目のMMORPG。非常に高い前評判で好スタートを切った本作だが,オープンβテストの開始が予定より大きくずれ込むなど,運営体制の面で不安が感じられたのも事実だろう。オープンβテストの開始(2004年2月25日予定)が迫る中,今後の日本での展開を中心に,ネクソンジャパンに直接話を聞いてみた。
 オープンβテストが遅れた理由や,多数の国での展開を視野に入れた開発元SOFTMAXの運営体制見直し,ユーザーコミュニティへのアプローチなどなど,いろいろな話を聞くことができた。

Text by TAITAI

David K.Lee氏:
  ニューヨークで弁護士をしていた経歴を持つ,ネクソンジャパンの代表取締役社長
James Kim氏:
  アメリカのNortwestern University工学部卒業。NEXON KoreaのCFO(Chief Financial Officer)で,現在,テイルズウィーバーのプロジェクトリーダーを務める

4Gamer(以下,4G):
 まず始めに,日本でβテストを行ってみての"感触"をお聞かせ下さい。

James Kim(以下,Kim):
 やはり,日本では良質のコンシューマゲームが多く遊ばれてることもあって,ユーザーのゲームに対する目が非常に肥えていると感じます。日本のユーザーに遊んでもらうためには,バランス面やシナリオなどを含めて,より高いレベル……つまりコンシューマのゲームに負けないレベルにまで高めていかなければならないと再確認しました

4G:
 日本でも2月25日からオープンβテストが開始されますが,何かしら"日本独自"の展開などは考えているのでしょうか?

Kim:
 クローズドβテストを通じて,代理店であるネクソンジャパンからはもちろん,日本のユーザーの皆さんから多くの意見を頂きました。日本で展開していくにあたって,やはり日本独特のスペシャルアイテムですとか,韓国などとは違った展開が必要になってくるという点は認識しています

4G:
 失礼ながら,テイルズウィーバーの韓国での状況は思わしくありませんよね。例えば,他の韓国産のMMORPGですと,本家韓国でどんどんバージョンアップがされていって,それを追う形で多国語版がバージョンアップされるという流れがありますよね。日本のユーザーとしては,韓国での進捗状況が思わしくない中でも,今後しっかり日本語版がバージョンアップし,シナリオの追加がされていくのかどうかが気になっていると思うのですが?

Kim:
 ご指摘の通り,韓国での展開が思わしくないのは事実です。ただこれは,ゲーム自体がつまらないから……というよりは,我々の運営体制部分(開発も含めた)に問題があったと考えていて,ここ最近,その辺りの改善に力を注いできたという経緯があるんですよ。

4G:
 運営体制に問題があったとのことですが,例えば日本でも,予定されていたオープンβテストが開始されなかったという問題がありましたよね。それは何か大きな理由があってのことだったのでしょうか?

Kim:
 オープンβテストの遅れに関しては,本当に申し訳なく感じておりますし,ユーザーの皆さんには深くお詫びしたいと思います。遅れてしまった理由に関してですが,やはり先ほども申しました"運営/開発体制の強化"に手間取ってしまったというのがあります
 日本でクローズβテストを行っている間,日本だけではなく,台湾などを含めた本当に多くのユーザーからフィードバックを頂きました。そして同時に,それにお応えしていく……つまりグローバルに受け入れられる作品を作るためには,"運営/開発側の体制の強化"は絶対に必要だという認識を深めていきました。

4G:
 ということは,日本のオープンβテストの遅れに関しては,SOFTMAX側の体制改善が大きな理由だったのですか?

Kim:
 より品質の高い作品を提供していくためには,これは避けられない部分だと考えました。開発側と運営側の連絡の方法……細かいところから言いますと,各パートナー間で連絡を取り合う時には誰を窓口にするだとか,そういう部分から徹底的にです。
 ユーザーの皆さんにご迷惑をお掛けしてしまったのは重ねてお詫びしたいと思いますが,今では強力な運営体制を築けたと考えていますので,今後の展開については期待してほしいと思います。これはちょっとまだお見せ出来ないのですが,テイルズウィーバーの展開を書き記した"ロードマップ"も出来上がっていて,体制としては万全の構えです。

4G:
 なるほど。期待しています。
 ……とはいえ,テイルズウィーバーの日本での状況を見てみますと,大手のファンサイトが閉鎖してしまっていたりだとか,かなり危機的な状況にあるのではないかと思います。その点に関する挽回策といいますか,ユーザーさん(コミュニティ)へのサポートなどは考えているのでしょうか?

David K.Lee(以下,Lee):
 これはSOFTMAXではなく,日本の運営元であるネクソンジャパンが解答すべきですね。
ユーザーサイドのコミュニティが発展していかないと,MMORPGというのは展開が厳しいのは事実だと思います。我々ネクソンジャパンとしても,そのあたりのユーザーサポートは積極的にしていかなければならないなと。そこは"宿題"だと考えています。
 具体策についてですが,やはりユーザーサポートという部分では,公式サイトの充実は欠かせない思っています。初心者向きのガイドですとか,イベントなども含めて,もう少し"ゲームが優しくなる"ようにしていきたいと思いますね。

4G:
 コミュニティの発展といえば,例えば,韓国なら「リネージュ」,北米ならば「EverQuest」などといったゲームの場合,メーカーが大手のファンサイトにゲームのデータを提供したりするなどして,積極的にユーザーに働きかけているところもありますよね。日本ではそういった展開は予定されているのでしょうか?

Kim:
 韓国でのテイルズウィーバーの展開でいえば,そういったユーザーとの意見交換は積極的にしておりました。例えば,20人ほどのオピニオンリーダー的なユーザーを招待して,生の意見を聞いてみたりだとか,ユーザー側の意見の重要さというのは肌で感じる部分ですね。

Lee:
 日本についてですが,いわゆるオピニオンリーダーへの支援というか,ユーザーへのサポートというのはオープンβテストの始めからやっていきたいと考えています。日本はまだまだMMORPGが浸透しているとは言えませんし,多くの人にテイルズウィーバーを遊んでもらうためには,サポートは欠かせないなと。

4G:
 そういえば,オープンβテストは具体的にいつまでやる予定なのでしょうか? また目標としてどれくらいの参加人数を見込んでいるのでしょうか?

Lee:
 具体的にいつまで……というのは,正直決めていません。というのも,まずはユーザーさんに納得してもらえるクオリティにしなければならないと思うからです。サーバーの運営体制の強化はもちろんですが,開発側と連携して,早いテンポでのチャプター追加,不満点の早期改善など,とにかくゲームの質の向上に注力していきたいと考えています。
 オープンβの時期でいえば,「ユーザーさんが納得するまで」ということになりますね。

4G:
 日本では4月頃にチャプター2が導入されるとのことですが。

Lee:
 ええ,韓国での例もあるのですが,ユーザーが興味を失ってしまわないためには,早いテンポでチャプターなり新要素なりを追加していかなくては駄目だと思うんです。最低でも2か月に1回のペースでチャプターの導入をしていきたいなと。日本のオンラインゲーム市場は,厳しいとよく言われますが,ある意味では"楽"なのではないかなと考えています。というのも,日本のユーザーさんというのは,ゲームの文化が根付いているだけあって,良い作品に対しての反応は非常に素早いですからね。
 現在,βテストというと,マーケティング活動的な意味合いが強いところも多いですが,私としては,本来の"テスト"という部分を重視していきたいですね。ユーザーの意見を取り入れて,作品の質を高くする,まずはそれが一番大切だと考えています。

4G:
 なるほど。今後の展開に期待しています。
 本日はありがとうございました。

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