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ユリウス カエサル 回顧録

シナリオ:「全ガリア部族」

 

斥候の知らせ

 紀元前57年。
 ガリア諸部族の中でもとりわけ勇猛なゲルマン人達が,我々ローマ人の駆逐を画策しているとの知らせを受け,私……ユリウス・カエサルは,これを討伐せんと北方に軍に進めた。
 ゲルマン人のネルヴィ族によって侵略された同胞の土地を奪い返し,ひいてはローマに敵対する勢力を討ち滅ぼすのが私の任務となる。

 駐屯地に軍を集結させてしばらくしたあと,斥候による知らせが入った。なんでもネルヴィ族の戦士達が,砦のそばを流れる川を渡るところまで接近しているという
 敵の数は圧倒的だ。いかに訓練の行き届いた我がローマの兵士達でも,まともに戦っては勝ち目はあるまい。私は,すぐさま指揮下の兵士達に防衛態勢を取らせ,駐屯地となっている砦を死守する方針を決めた。現在こちらに向かっている第十軍団の到着を待ち,それから一気に攻勢に移る作戦だ

 砦の戦術的利点をうまく使って戦えば,兵力の数的不利を補えるだろう。

 

敵の人海戦術を迎え撃て

 敵の第一陣が攻撃を開始した。死をも恐れぬ戦士達が砦の門を目がけて突撃し,雲梯(城を攻めるときに使うはしご)を使って壁を乗り越えようとしている
 私は,こまめに敵の雲梯の破壊を命じながら,射手による応戦を指示した。砦の内側に入り込まれないかぎり,我々は戦術的優位な立場にある。これを生かさない手はない
 逆をいえば,現在の我々の優位とは,その一点にしかない。なんとしても敵の侵入を防がなければならないのだ。
 
 しかしながら,敵の第二陣,第三陣を迎え撃つにあたり,ただ砦の内側に籠もっているわけにもいかなくなってしまった。敵が破城槌や投石機などの攻城兵器を多く投入し始め,射手による攻撃では分が悪くなってしまったのである。
 私は騎兵隊による遊撃部隊を組織し,敵の攻城兵器や射手を素早く撃破していく作戦を命じた。私のこの作戦は功を奏し,敵の攻勢を一時的に中断させることに成功した。

 とはいえ,敵の激しい攻撃によって,我が部隊は激しく消耗している。医師達が兵士の治療を行う時間が稼げたのは幸いだが,この砦もそう長くは持たないかもしれない。

 

掃討戦を行いながら

 兵力の大半を失い,状況が刻一刻と苦しくなる中,待ち望んでいた知らせが届いた。敵の背後に,第十軍団の精鋭達が到着したのだ。兵士達の顔が,絶望から歓喜へと変わった。とうとう攻勢に出るときだ。

 私は残った兵力のすべてを引き連れ,第十軍団と合流すべく砦をあとにした。敵は強引な攻撃によって酷く消耗している。一気に敵の軍団を壊滅させ,そのまま奴らの拠点を破壊してしまうチャンスと見たからだ
 案の定,敵軍は混乱の中にあり,敵が布陣していた川の向こうの草原には,攻城兵器が孤立して立ち往生していた。第十軍団によって敵の主力は壊滅状態にあり,もはや敵の野戦戦闘力は存在しない。私は勝利の手応えを感じながら,さらに軍を進めていった。

 ネルヴィ族のベルギー人達はこうして撃破した。しかし,これでガリアが完全に支配下に入ったわけではない。敵部族の村を焼き討ちにしながら,私は次なる戦いの準備へと思考を巡らせていた。