ネヴァーウィンター・ナイツ日本語版
「オーロラ・ツールセット」入門講座
最終回:先輩達の作品を研究せよ
Text by 大路政志
「オーロラ・ツールセット」入門講座も,今回で最終回。"入門者向け"という企画の性格上,あまり突っ込んだ内容には触れていないが,「簡単なモジュールならば誰にだって作れるんだ」ということだけは,きっと伝わったことと思う。
優れたモジュールを作るためには多大な労力と時間が必要だが,コツコツと努力を積み重ねていけば,本編モジュールに匹敵する作品を作ることも決して不可能ではないので,これからもぜひ「オーロラ・ツールセット」でのモジュール作成を楽しんでほしい。
さて,入門講座最終回となる今回は,セガのスタッフや一般のユーザーが作成(翻訳)したモジュールを紹介しようと思う。ここで紹介するモジュール群は,そのまま遊んでももちろん面白いのだが,「オーロラ・ツールセット」で中身を覗けば,「モジュール作成の教科書」としても活用できる。
モジュール作成の壁にぶち当たったり,初心者モジュール制作者からステップアップしたいときには,ほかのユーザーが作ったモジュールがどのように構成されているのかを「オーロラ・ツールセット」で調べてみよう。そこにはきっと,より優れた創造者となるための知識が隠されているはずだ。
病魔の坑道
ホビージャパンから発売中の「ダンジョンズ & ドラゴンズ プレイヤーズハンドブック」日本語版巻末に掲載されているサンプルシナリオを,セガのスタッフがモジュール化したもの。
東京や大阪で行われたイベントでも使用されたが,正式公開するにあたり若干の調整が施されている。難易度は1レベルキャラクター数人でのプレイに最適化されているが,物語,戦闘,宝探しといった要素がコンパクトにまとめられているので,初めてのマルチプレイに適している。ただし,元々DM(ダンジョンマスター)必須のモジュールなので,DM役が「DMクライアント」の操作にある程度慣れている必要があるだろう。
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DMの参加を前提としたモジュールなので,作りそのものはかなりシンプル。しかし,視覚効果やサウンドの使い方が上手なので,実際にプレイしたときに受ける臨場感はなかなかのもの。
1レベルキャラクター数人のパーティでもなんとかクリアできる程度のゲームバランスは,クリーチャーやエンカウンターのデータをチェックして参考にしたい |
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Contest
Of Champions
NWNに最初から導入されている対戦専用モジュール。フェアな対戦を実現するためレベル/アイテム制限が導入されているので,小品ながらなかなか楽しめる。モジュールの性質上,ある程度のプレイヤー数(最低4人?)が集まらないと遊びにくいが,チーム対戦ならではの白熱したバトルはぜひ多くのユーザーに遊んでもらいたい。
なお,すでにこのモジュールの日本語版が登場している。ダウンロードは,当サイト内の「こちら」からどうぞ。今だと日本語版が出たばかりだし,国内のファンサイトをチェックしていれば,参加者を募集するアナウンスがあるかもしれないぞ。
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最大4チームまで参加可能で,アリーナ(対戦エリア)も複数用意されている。
スタート地点にいる係員に話しかければルール確認などができるが,英語版だとやや分かりづらいかも。
ライトユーザーでも比較的参加しやすい対戦型モジュールなので,日本語版の登場はマルチプレイの活性化につながるだろう |
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Legend
of the Golden Axe II
海外でもトップクラスの規模を誇るNWN関連サイトNeverwinter
Vaultの「ここ」からダウンロードできる,典型的なハック&スラッシュ系モジュール。
英語版用モジュールだが,日本語版でもプレイ可能。モジュール名を見てピンとくる人も多いと思うが,セガの名作アクションゲーム「ゴールデンアックスII」をモジュール化した作品である。ステージ構成や出現モンスターはもちろん,食べると体力が回復する「MEAT」や,派手な攻撃魔法が使える3種の「魔法の本」なども忠実に再現されており,「ゴールデンアックス」を知っている人ならその再現性の高さに感心すること請け合い。比較的高レベルなキャラクターならばソロプレイも可能だが,できれば二人マルチで遊んでほしい(ドワーフファイター必須)。
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原作が横スクロールアクションだっただけに,マップは横長。敵キャラクターは基本的に固定で,倒すと各種魔法の書を落とすことがある。
マップとマップの合間に挿入されるinterMissionでは,キュアクリティカルウーンズの効果を秘める「MEAT」が入手可能。それら消費アイテムをうまく活用していけば,どんなクラスのキャラクターでもどうにか攻略できる難易度(それでもレベル10以上は必要だが)。
パワープレイが延々と続きがちなハック&スラッシュだが,元ネタがアクションゲームだけに展開にメリハリがあり,見習う点は多い |
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Diablo
II Act IV:Enter Hell(Zodiac氏作)の日本語版
ハック&スラッシュ型mod
その名の通り,「DiabloII」のActIVを題材としたハック&スラッシュ型モジュール。
こちらもNeverwinter
Vault内からダウンロードできる。特筆すべきは「タウンポータル」「ウェイポイント」が再現されている点で,前者は「タウンポータルの書」を使うことで,街へ帰還するためのポータルを作り出すことが可能になっている。後者も,ゲーム世界内に点在するウェイポイントを踏むことで,ウェイポイント経由の快適なエリア間移動が再現されている。
広大な面積を有するモジュールを作りたいなら,上記のような移動システムをしっかりと研究し,自然でストレスのないエリア間移動を用意したい。なお,前回紹介したNWCJ内に,このモジュールを日本語化したものが登録されているので,気になる人はそちらをチェックしてみよう。
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パッと見の再現性はさほどでもないが,随所に見られるモジュール作者Zodiac氏のこだわりからは,「Diablo」に対する愛をヒシヒシと感じる。
装備を変更することでクリーチャーのルックスを変える(DOOM
KNIGHTはリッチに剣を持たせることで,DIABLOはベイラーから剣を外すことで再現)というアイデアは,シンプルながら結構効果的。いつもと違ったタイプのクリーチャーを登場させて友達を驚かしたい人は,ぜひ参考にしてみよう |
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The
Halls of Advanced Training
同じくNeverwinter
Vault内からダウンロードできる,レベル調整&アイテム購入用モジュール。マップ内に用意されている各種施設(人物)を利用することで,キャラクターのレベル調整や装備の変更を簡単に行える。レベル調整に関してはレベルアップ/レベルダウンの両方が可能なので,頻繁にマルチプレイヤーゲームを楽しむプレイヤーにとっては,実に重宝する。
買い物に関しても,アイテムのジャンル毎に商人が配置されているので非常に利用しやすい("金貸し"も存在するのでお金に困ることもない)。キャラクターの強さや装備を競うのではなく,いかにロールプレイを楽しむかに重きの置かれたNWNにとって,このようなモジュールはある意味不可欠なものといえるだろう。
なお,このモジュールを日本語化したものがNWCJ内に登録されているので,英語が苦手だという人はそちらを使わうといいだろう。
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キャラメイク系モジュールはほかにもあるが,個人的には「The Halls of Advanced
Training」が最も使いやすかった。さまざまなモジュールでマルチプレイを楽しむうえでは必須ともいえるタイプのモジュールだ。
「いくらでもお金が出でくる宝箱」を実現するスクリプトは結構簡単なので,自分でこの手のモジュールを作成するときにはぜひ導入しておきたい |
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