== 第一回 ==

マジック:ザ・ギャザリングって,結局何?

クイズに答えてマジック:ザ・ギャザリング入門セットをもらおう!

Text by 真木孝一郎

 トレーディングカードゲームという言葉を聞いたことがない人でも,きっと"トランプ"なら遊んだことがあると思います。ポーカー,7並べ,神経衰弱,ババ抜き……わずか53種類のカードにも関わらず,友人と恋人と,仲間と家族と楽しい一時を過ごした経験をきっとお持ちでしょう。

 ここで少しだけ想像してみて下さい。
 もし,そのカードが数千種類あったとしたら?

■トレーディングカードゲーム

 「マジック:ザ・ギャザリング」を詳しく紹介する前に,まずはトレーディングカードゲームについて簡単な説明をしておきましょう。英語で書くと"Trading Card Game",あえて日本語にするなら,"交換・収集可能なカードゲーム"とでもいいましょうか。集めてよし,遊んでよし,交換してよし,楽しみ方は人それぞれです。

 そんなトレーディングカードゲームの,元祖にして王道,そして総帥で至高神なのが,ここで紹介する「マジック:ザ・ギャザリング」なのです。日本でも,アニメやマンガをモチーフにしたトレーディングカードゲームはいくつか存在しますが,その奥深さとゲームとしての面白さは,とうてい"マジック"の敵ではないといってもよいでしょう。

■すべてはマジック:ザ・ギャザリングから始まった

 トレーディングカードゲームの歴史は,1993年8月にアメリカで始まりました(そう,意外と新しいのです)。リチャード・ガーフィールドが「アルファ版」と呼ばれるマジック:ザ・ギャザリングの第一版(全295枚)を開発すると,画期的かつ驚異的に斬新なゲーム性で一気に大ブレイク。以後10年間拡張され続け,現在では8500枚ほどになった"マジック"の歴史は始まったのです。これら次々と追加されるカード群が,コレクションとしての価値だけでなくゲームに大いなる深みを与えており,それと同時にルールの整備も順調に進み,いまでも世界中の多くの人々を魅了し続けています。

 ところでこの"マジック",いってしまえば単なる「紙のカード」なのですが,それが幸いしたのか世界に広がるのも早く,その人気は衰えを知りません。現在では9か国語に翻訳されたマジック:ザ・ギャザリングは60カ国で発売され,600万人ものプレイヤーに遊ばれていることからも分かるのではないでしょうか。もちろん日本語版もあり,株式会社ホビージャパンから発売されています。

 最近は,日本だけではなく世界でさまざまなトレーディングカードゲームが発売されていますが,そのすべては「マジック:ザ・ギャザリング」から始まったのです。そして,そのフラグシップを担っているのも,やはり「マジック:ザ・ギャザリング」なのです。

■ゲームの概略

 ……と,紹介だけ煽りに煽っても仕方ないので,ゲームの遊び方を紹介しましょう。
 最初にプレイしている様子を見るとすごく難しそうですが,実はルールそれ自体はすごく簡単。基本は二人対戦で,互いがそれぞれの技術と努力と魂と尊厳を賭けて作り上げた「デッキ」を武器に戦います。デッキとは,膨大なカードの中から好きなカードを選んで組み合わせたカードの塊。野球選手全員の中から選抜したドリームチームみたいなものと考えると分かりやすいでしょうか。

 それぞれのプレイヤーは始めに20のライフ(生命力)を持っています。カードの1枚1枚に刻まれた,クリーチャー(モンスターのようなものです)やさまざまな攻撃・防御呪文を駆使しながら,先に相手のライフを0にしたプレイヤーが勝ちです

 このシンプルなルールの中で行われる,無限の自由度を持った戦いが"マジック"の魅力ですが,ここでちょっとだけ,あなたの頼もしい武器であり友となるカードにはどんなものがあるのかを見てみることにしましょう。

■カードの種類

 数千枚もあるマジック:ザ・ギャザリングのカードは,大きく六種類に分けられます。

 (1)土地カード

 ほかの五種類のカードを使用するために必要な「マナ」(=魔力)を生み出すのが土地カードです。ある意味,ゲームを進めるにあたって最も重要なカードです。なにせマナがないと,配下となるクリーチャーは出せないし,攻撃呪文も防御呪文も使えないのですから!
 "基本地形"と呼ばれる五種類の土地が有り,生み出される「マナ」はその種類によって異なります。これらは一目でどれがどれだか分かるように,土地カードの下側にマナシンボルと呼ばれるマークが大きく描かれています。

《平地/Plains》,白マナ を生み出す 《島/Island》,青マナ を生み出す
《山/Mountain》,赤マナ を生み出す 《沼/Swamp》,黒マナ を生み出す
《森/Forest》,緑マナ を生み出す    
 カードごとに必要とするマナの色と数が異なるので,その条件を満たすようにマナ(つまり土地カード)を用意する必要があるわけです。

 

 (2)クリーチャー

 あなたの部下となって,殴り蹴り暴れてくれるのが"クリーチャー"です。カードの右上には,呼び出すのに必要なコストが表示されています。この《刃の翼ロリックス/Rorix Bladewing》の場合は 3。

  は先に説明した通り,《山/Mountain》から生み出されるマナ。また,最初の3は,種類はなんでもよいので必要なマナの数を表しています。《山/Mountain》からだろうと《沼/Swamp》からだろうとマナであれば何でもOK。つまり,《刃の翼ロリックス/Rorix Bladewing》の召喚には,《山/Mountain》を三枚と好きな土地カード三枚の合計六枚が必要となるわけです。

 カードの一番右下に書かれている二つの数字が,クリーチャーのパワー(=攻撃力)とタフネス(=体力)を示しています。左側の数字がパワー,右側の数字がタフネス。大きければ大きいほど,強くて頼もしくて素敵なカードだというわけです。

 そして戦いのときには関係がないことが多いですが,中央に書かれているのがクリーチャーの種族と,このカードがどのカードセットに含まれているかを表すマークです。《刃の翼ロリックス/Rorix Bladewing》の場合は,種族がDragon Legend (伝説のドラゴン)で,オンスロートというカードセットのカードであることが解ります。ちなみに,このマークが金色で表示されているのが分かると思いますが,これはカードのレアリティ(珍しさ)を示しています。

レアリティ レアリティ
レア 最も珍しいカード
アンコモン ちょっと珍しめ
コモン 基本っす

 種族名の下の四角部分に書かれているのが,クリーチャーの能力。クリーチャーが何か特別な能力を持っている場合はここに記述されます。《刃の翼ロリックス/Rorix Bladewing》の場合は,斜体で長い文章が書かれているような気がしますが,これはフレーバーテキストと呼ばれる逸話とかセリフとか特にゲームには関係の無い文章ですので,ゲーム中はあまり気にする必要はありません。しかし内容はかなり凝ったものになっているので,たまに読んで見てください。そのキャラクターの性格やマジック:ザ・ギャザリングの背景世界に関してのドラマなどが載っています。

 いくつかのクリーチャーのカードの例を掲載しておきます。色も効果もさまざまなのが分かっていただけるでしょうか。

 

 (3)ソーサリー

 自分のターンにしか使えない呪文です。しかも使い切りですが,その分使ったときの効果も大きいのがソーサリーの特徴です。カードの中央左側に「ソーサリー」と書いてあるカードがこれです。
 クリーチャーと同じように,左上にはカードの名前が,右上にはカードを使用するコストが書かれています。ここでちょっとおさらいしてみましょう。この《神の怒り/Wrath of God》を使うためにはどんな土地が必要でしょうか?

 そうです, を出すために《平地/Plains》が2枚,加えて好きな種類の土地が2枚です。

 ちなみに,サンプルとして表示したカード《神の怒り/Wrath of God》は敵味方を問わず,すべてのクリーチャーを葬ってしまう超強力呪文。古今東西全世界津々浦で頑張っているクリーチャーのファンを絶望のどん底に叩き込んでいる,憎きカードです。

 いくつかのソーサリーのカードの例を掲載しておきます。色も効果もさまざまなのが分かっていただけるでしょうか。

 

 (4)インスタント

 この「インスタント」は,"マジック"というカードゲームの特徴の一つではないでしょうか。なんと,自分のターンだけではなく相手のターン中でも使える,融通性に優れたカードなのです。使い捨てなのはソーサリーと同様。中央左側に「インスタント」と書かれています。

 インスタントに代表される,いつでも使える呪文や効果。これが,「マジック:ザ・ギャザリング」というカードゲームを異様なまでに面白く奥深く,そしてちょっぴり複雑にしている要因だといってもいいでしょう。このシステムに慣れるまでは少し難しく思えるかもしれませんが,一度ものにしてしまえば,もうこれなしのゲームには戻れないぐらいのメリハリあるゲーム展開を演出してくれます。

 ここで紹介している《対抗呪文/Counterspell》は,最も基本的なインスタント呪文の一つ。対戦相手の呪文(クリーチャー召喚もソーサリーも,そしてインスタントさえも!)「その呪文は使えません」と無効にする,ある意味最強の呪文です。どんなに強いクリーチャーも呪文も,これを出されるとまったく使えません。
 この単純にして超強力な効果は,常に"マジック"の世界を戦々恐々とさせます。

 いくつかのインスタントのカードの例を掲載しておきます。色も効果もさまざまなのが分かっていただけるでしょうか。

 

 (5)エンチャント

 対戦の場に出せば,使い放題もしくは延々と効果を発揮し続けるのが,この「エンチャント」。エンチャントには,何かのカードに追加で付けるタイプのものと,独立して場に出すものとがあります。

 前者の例が,エンチャント(クリーチャー),これは,クリーチャーのパワーを上昇させたり,特殊な能力を付加させたりします。後者の例はエンチャント(場)と書かれたカード。例えばここにサンプルで載せた《栄光の頌歌/Glorious Anthem》は,自分のクリーチャーのパワー・タフネスだけを増強する強力カード。

 エンチャントにはマジック:ザ・ギャザリングのルール自体をいきなり変更するようなものも多く,面白いカードが揃っています。

 いくつかのエンチャントのカードの例を掲載しておきます。色も効果もさまざまなのが分かっていただけるでしょうか。

 

 (6)アーティファクト

 魔術の力が封入された魔導の器。「アーティファクト」と呼ばれるこの器具の性格は,エンチャントに似ています。しかしただ一つ大きく異なっているのが,アーティファクトは必要なマナの種類を選ばないことでしょうか(つまり,使うときの制限が少ないということです)。
 制限が少ないだけあってエンチャントに比べると効果が薄めだったりすることが多いですが,ごくまれに強力無比なアーティファクトが誕生して,"マジック"の世界を大混乱の渦に巻き込みます。

 さてここでサンプルを見てみましょう。《ジェイムデー秘本/Jayemdae Tome》の下側部分,テキスト欄には,ちょっと見慣れないマークが書かれています。

 これは,「タップ」のマーク。タップとは通常縦向きに置いてあるカードを横向きにすること。では,このタップが何を示しているかというと,《ジェイムデー秘本/Jayemdae Tome》には,好きなマナを四つ使ってタップすることによって,カードが一枚引けちゃうよ,という能力があることを示しているわけです。
 カードはすべての行動の基本である大事な資産。それを能動的に自分だけ増やせるとあっては弱いはずがありません。

 いくつかのアーティファクトのカードの例を掲載しておきます。色も効果もさまざまなのが分かっていただけるでしょうか。

 

■次回予告

 面白いだけではなく美しい,カッコ良いだけではなく奥深い,この「マジック:ザ・ギャザリング」の世界。次回は,遊び方についてより一歩掘り下げた詳しい説明をお届けしたいと思います。

Magic: The Gathering is registered trademarks of Wizards of the Coast, Inc. (c)Wizards.