「カウンターストライク ネオ」とは一体どんなゲームか?

 JR蒲田駅の西口から徒歩1分。東急プラザアネックスの2階にレッドゾーンはある。薄暗い店内の中に青白く光る筐体が立ち並び,雰囲気的には,軽いアトラクション施設といったおもむき。ゲームのBGMや銃声などのサウンドが店内に鳴り響く様子は,ネットカフェというよりもゲームセンターに近い感覚だ。

 ナムコの開発した「カウンターストライク ネオ」は,「Half-Life:Counter-Strike」のゲームシステムを基本に,メニュー/音声の日本語化や設定の簡略化,加えて初心者用のチュートリアルモードを搭載した,いわば日本市場向けのカスタムバージョン。本作にPCゲーム的な感覚はなく,アーケードゲームのような筐体に"ネオ"は導入されている。
 インタフェースこそマウスとキーボードだが(というか,ここは変えようがない),アトラクション施設的な雰囲気を意識した筐体のデザインや,基本的な操作方法を記したインストラクションカードが用意されているなど,数々のアーケードゲームを手掛けてきたナムコらしい工夫が随所に見られる点はさすがの一言。従来のネットカフェなどでは,多少なりともユーザー任せというか,勝手に遊んでください,と言わんばかりの雰囲気を感じてしまったものだが,このあたりの配慮は,ゲームセンターで培ったナムコのノウハウをうかがうことができる。

 店員の指示のもと,CSNEOの筐体の座席に座ってみると,眼前のモニタには,見慣れぬ「Counter-Strike NEO」のメニュー画面。冷静に考えると別段驚くような部分ではないのだが,それがあまりに国産ゲームライクな代物だったため,通常のCounter-Strikeに慣れ親しんでいた筆者は,まずその画面に驚きを禁じ得なかった
 メニューやオプションの項目を一通り眺めたあと,案内してくれた店員と一緒にチュートリアルモードを開始。チュートリアルは,ルパン三世の銭形警部役でお馴染みの納屋悟郎氏(声優)扮する鬼教官の指示の下,移動や射撃などの基本操作を練習していく形である。
 確認できたチュートリアルモードは,「基本移動」「応用動作」「武器取扱」「人質任務」の四つ。聞くところによると,さらにもう一つ5個めのチュートリアルモードがあるが,現在はまだ実装されていないとのことだった。

 CSNEOの凄いところは,対戦用のマップを含めて,キャラクターのスキン,世界設定やストーリーまで,すべてオリジナルのものが用意されている点だろう。今のご時世,テロリストがどうのこうのというのはさすがにまずかろうということで,そのあたりの設定を"日本用"に作り直したのだという。
 マップのテクスチャやキャラクターのスキンはかなりのクオリティで,久しぶりにCounter-Strikeを遊んだ筆者などは,マップを見て「あれ,こんなに綺麗な画面だったっけ」と思ってしまったほど。中には,いろいろな"仕掛け"が用意されたマップもあり,その作り込み,完成度はかなりのレベルである
 この点について,レッドゾーンのスタッフリーダーである平林智之氏に話を聞いてみると,なんでも,CSNEOのマップのデザイン(レベルデザイン)は,ナムコ内部の開発を使ったのではないという話だった。日本国内で元々のCounter-Strikeのレベルデザインを行っていたファン数名を引き抜き,マップの制作に当たったというのだ。海外では,元ゲーマーのレベルデザイナーなどはそう珍しい話ではない(むしろ有名デザイナーの何人かは,筋金入りのゲーマーだったりする)が,日本では非常に珍しいケースだろう。
 ゲームをただ遊んでいるだけでは制作サイドに回ることは出来ないけれども,一部のゲーマーが,ゲーム自体について非常に詳しい知識を持っているのもまた事実。レベルデザインもそうだが,そういうゲーマー的な視点が必要な分野では,新たな視点での人材登用が求められるてくるはずだ。平林氏曰く「今後,レッドゾーンをキッカケにレベルデザインの重要性などが日本でも認知されるといいですね」とのことだったが,筆者もまったく賛成である。

 またユニークなのは,対戦をサポートするレッドゾーンの細かいシステムの数々だ。CSNEOでの対人戦は部隊戦と傭兵戦に分かれており,部隊戦はいわゆるチーム戦,傭兵戦はデスマッチを意味している。面白いのはチーム戦を行うときのシステムで,例えば友達同士で来店して,チーム戦をしたいと思った場合,その情報をサーバーに登録しておくことで,ユーザー間の交渉などをせずにチーム戦を楽しめるようになっている。
 正直,店舗内でほかのユーザーに「対戦しましょう」などといちいち声をかけるのは,あまり現実味がないというか,すこぶる面倒だ。例えば,ゲームセンターの格闘ゲームにもしそんな手順を必要だったしたら,間違いなく誰も遊ばなかっただろう。事前交渉無しで,コインを入れるだけで手軽に対戦を申し込める,そのシステムがあったればこそ,格闘ゲームの"対戦という遊び方"は定着したのだ。
 そういう意味では,レッドゾーンがこのような部分に配慮しているのは非常に素晴らいことであり,難しいネットゲームをより簡単に遊ばせるこういった仕組みが,ぜひとも定着してほしいと思う次第である。

 

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