Counter-Strike:Condition ZeroとHALO:Combat Evolved for PC
さらに会場で公表された2作品が,Ritual Entertainment社が開発する超人気FPSの正式な続編「Counter-Strike:Condition
Zero」と,Xboxで人気を博した「Halo:Combat Evolved」のPC移植版である。Haloは,「Half-Life」のアドオンパックを手掛けたこともあるGearbox
Entertainment社によって開発されており,残念ながらムービーやデモなどのビジュアルは公開されなかったものの,様々な情報を聞き出すことができた。
Counter-Strike:Condition Zero
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| Counter-Strikeの対戦模様を真剣に視察しているところを撮影させてもらった,Ritual Entertainment社のスティーブ・ニックス氏。後ろで待機しているチームは,左が今回優勝したTeam
3D,右側がスウェーデンの強豪Schroet Kommando(SKE.se)である。どちらもマネージャーがつくほどのプロっぷりだ |
リリースされてから4年が経つというのに,今だにその人気が衰えない「Counter-Strike」。現在でも,一時に8万人という規模のプレイヤーがアクセスしてプレイしており,後発の「Medal
of Honor」や「Battlefield 1942」でもかなわない。ソフトが無料でMODを容易にするツールが豊富なことなど,その成功の要因はさまざまだが,とりあえずValve
Entertainment社の延命作戦は功を奏していると考えられる。その戦略の一環となるのが,シングルプレイヤーモードに重点を置いた「Counter-Strike:Condition
Zero」の開発なのである。
多くの読者がご存知のように,元々Counter-Strikeは,ベトナム系カナダ人のハッカーグループに所属するミン・リー(Mihn Le)という大学生によって「Half-Life」用MODとしてリリースされたことに端を発する。やがてその権利がValve
Entertainment社によって買われ,Gearbox Entertainment社によって開発が進んでいるとされていた。
ところがGearbox社は2002年7月当時,「Halo」など35人のメンバーで最大五つのプロジェクトを抱え込んでいた時期と重なってしまったために,全社の合意のもとで第3の開発チーム,Ritual
Entertainment社に委ねられたのである。Ritual Entertainment社は,現在Activision社から発売される予定の「Star
Trek:Elite Force 2」と,このCondition Zeroの作成に,総勢60人体制で挑んでいるのだと,レベルデザイナーとしては有名なLevelordは筆者に語っている。
Condition Zeroのリリースは,現在2003年の第2四半期の予定になっている。Counter-Strike自体は,2003年1月中にも大きなアップデートとなるVersion1.6がリリースされ,新しいマップやアサルトライフルに加え,ライオットシールドが追加されることにより,ゲームプレイさえも変化するとされている。Vr1.6は,Valve
Entertainment社の開発した新しいサーバープログラムV-GUI 2.0をサポートしており,サーバーの選択やゲームへの参加方法なども,より斬新なものへと生まれ変わるそうだ。オープンエンドのβテストが,1月7日に開始される予定だ。
Condition Zeroも,このVer.1.6の雰囲気に合わせたウィンドウズのようなプルダウン形式のようなメニュー選択が実装される。用意されたミッションは20種類で,それぞれが単体で独立したエピソードを持っている。ミッションによって,コロンビアの麻薬王の本拠地に奇襲をかけたり,カリフォルニアの片田舎にある麻薬精製工場に押し入ったり,さらには韓国もしくは香港(?)へ潜入したりと,まったくつながりのないストーリーが展開されていのである。面白いのは,ミッションによってアメリカのSEAL,ソ連のスペツナズ,イギリスのSAS,ドイツのGSG-9,そしてフランスのGIGNと,プレイヤーが操作する特殊部隊がミッションによって異なっていることだ。
Ritual Entertainment社のCEOスティーブ・ニックス(Steve Nix)氏は,Condition Zeroはゲームプレイが命なのだと説明する。Counter-StrikeをBOTで遊んでいるというだけのゲームにはせず,シングルプレイヤーゲームとしてプレイしがいのあるものにしようという考えだ。このため,ブロートーチを使って通常は進入できないドアの止め金を焼き切ったり,潜望鏡を使って見えづらい場所を確認したりと,ステルス的なゲームを意識した展開が満載されているようだ。
敵や味方として登場するBOTの思考ルーチンは,Half-Lifeで開発されたAIが使用されるのだが,5年の古さは余り感じさせないだろう。Condition-Zeroを購入した人に限り5種の特殊部隊のテクスチャが選択できるだけでなく,インターネットで入手可能なマルチプレイヤーマップに,BOTを入れてプレイすることも可能になる。これは,余り馴染みのないマップを下調べするのに役に立ちそうだ。
32ビットカラーをサポートしたテクスチャが細かく,キャラクターモデルも1600ポリゴン程度に増やされているので,見た目がかなり一新されたゲームになっているような雰囲気。これが,Quake
2をベースにしたものだとは考え難い。運転しながらの射撃や物陰に隠れて射撃するときなど,これまでのCounter-Strikeにはなかったアニメーションも追加されている。テロリストではプレイできないが,ガスマスクやモロトフカクテル,RPG(対戦車砲)など,Condition
Zero専用の武器も20種類追加される予定だ。
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| テクスチャやアニメーションが一新され,1996年に制作されたゲームエンジンをベースにしているとは思えないほどのグラフィックスだ。Fileplanetでは,CPLに合わせてCondition
Zeroのムービーデモも公開されている |
HALO:Combat Evolved for PC
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| PC版のHaloについて,ファンたちに仕様の説明を行うランディ・ピッチフォード氏。この会合は,ファンからの要望を聞くことで,開発に役立てようという趣旨のもとで行われた |
Gearbox Entertainment社が開発する「Halo:Combat Evolved」のPC版は,残念ながら実際に動いているデモは確認できなかったものの,Gearbox社社長のランディ・ピッチフォード(Randy
Pitchford)氏によると,かなり順調に開発されているという。Haloは,シアトルで行われたゲーム大会では1万400人を集めるほどの人気を博しており,2002年11月中旬に始まったマイクロソフト社のオンラインサービスXbox
Live!のフラッグシップとなっている。
ところがピッチフォード氏によると,PC向けの移植の話が来たのは2002年の6月のことであり,彼自身プロジェクトがまったく進行していなかったことには驚いたという。その理由は,Haloにはプログラム上の大きな問題があるためで,Dreamcast用のHalf-Lifeや「Tony
Hawks Pro Skater 3」など豊富な移植を手掛けてきたGearboxに白羽の矢が立ったというわけなのだ。
その問題とは,元々HaloはXboxのオンラインシステムを意識し,LANネットワークでのゲームだけを考慮したネットワークエンジンが採用されていることだ。これは,いうなればDOOM世代のソフトをインターネットでプレイするようなシンクロナスな状態でのマルチプレイしかオファーされておらず,中規模人数での対戦には向いていない仕様なのである。HaloのようなFPSゲームをPCで成功させるには,インターネットを介した対戦モードがなくてはならず,それをGearboxがイチから作り出す必要があったわけだ。さらには,キーボードとマウスでのプレイへとコントローラを調節することも大切だ。
現在のところ,開発は40〜50%が終了した程度に過ぎないらしいが,好評だったキャンペーン性のストーリーは,Xbox版とまったく同じものになる。ただ,マルチプレイヤーモードではある程度自由に企画できる部分もあるようで,マルチプレイヤー専用マップは当然のこと,どうやら武器や乗り物も増やす方向らしい。とはいえ,それもかなり時間的な制約に捕らわれている模様で,「Tribes
2」のような飛行機やBOTの登場,ボイスチャットの利用,ゲームモードの種類など何を優先して開発するかは,ファンの要望を最優先して開発を進めていくことになりそうだ。決まっているのは,マルチプレイヤーモードでは32人以上での対戦や協力プレイがサポートされ,MODツールをリリースすることでゲームコミュニティへのアピールを増やす(予定)とのこと。
グラフィックス面ではDirectX 9.0 APIをサポートすることになり,GeForce FXと連携することで,Xbox版では見られなかったピクセル/バーテックスシェーディング効果も付けられている。解像度も1600×1200ドットでプレイできるので,美しいグラフィックスは保証されたようなものだろう。ピッチフォード氏によると,GeForce2
MXを最低基準の3Dアクセラレータと想定しているということだった。なお現在のところHaloのPC版は,2003年の中旬だけとしかリリースデートが固定されていない。
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