第一回:概要/ファーストインプレッション

まずはファーストインプレッション

 シリーズ物の続編ということもあり,基本的なゲームシステムはこれまでとほとんど変わらない。資源を集めながら"時代"を進化させ,ユニットの生産やテクノロジーの開発を行っていくというスタイルだ。時代の進化には膨大な資源が必要となるが,時代を進化させればより強力なユニットを作ることができなど,ただ軍隊を戦わせるだけではなく「いつ進化するか?」という駆け引きが,本シリーズの最大の魅力の一つといえる。そして,その駆け引きは最新作となるAoMでも全く変わらない。
 ただ今作では,時代が進化するごとに,さまざまな効果をもたらす「ゴッドパワー」を使えるようになっていくため,進化の駆け引きの度合いがよりシビアになった印象を受ける。というのも,一撃必殺的な威力を発揮するゴッドパワーも存在するからである。しかしながら,今回はゲーム開始時から塔(最初は視界確保のみの哨舎)が町の中心の近くに配置されるなど,防衛的な要素をかなり重視した設計になっており,安易な速攻や突撃であっさりゲームが終わってしまうことがないように工夫が施されているなど,ゲームバランスに関する配慮はしっかり考えられている様子だ。加えてインタフェースを含めた操作性も,前作のそれをさらに練り込んだものへと昇華されており,より遊びやすくなっている点は嬉しい部分といえる。

開始前に主神を,
時代ごとに副神を決めていく独自の新システム

 AoMにおける"文明"のシステムはいささか複雑だ。これまでの情報のおさらいも含めて,いま一度ここで紹介しておきたい。

 本作ではギリシャ,エジプト,北欧の3種の文化圏が用意されており,まずその文化圏によって施設の系統やユニットの系統が大きく分けられている。例えば,ギリシャだと資源の回収施設が木,金,食糧で仕分けられているのに対して,エジプトだと食糧と木/金の二つでまとめられていたり,軍事施設もギリシャが歩兵,射手,騎兵で3種に分けられているのに対し,エジプトと北欧は一つで統一させているなど,文化圏ごとの差はなかなか侮れない。
 各文化圏には,「ゼウス」や「ラー」などといった"主神"が3人ずつ用意されており,その主神の種類によって基本的な特性(文明ボーナス)が決定される。主神はゲームを開始する前に選択するもので,これが前作でいう"文明"に該当する要素といえるだろう
 そしてここからが重要なのだが,AoMでは時代が進化するたびに"副神"を選ぶことができ,それによって使用できるゴッドパワー,神話ユニット,テクノロジーが変化していく。前作は選んだ文明ごとに戦術的な選択肢が非常に限られてしまっていたが,今回は"ゲーム中"に自分の方針を変更していけるわけだ。とくにゴッドパワーは大きく攻撃系,防御系,経済系に分けられるため,戦況によって最適な副神(ゴッドパワー)を選んでいくなどの判断がプレイヤーに求められる。もちろん,主神の特性と副神の特性を組み合わせ,一つのユニットを特別に強化していくなどといった,いわゆる特化型の戦い方も可能だ。ワンパターンになりがちだったゲーム展開のバリエーションは,前作と比べてかなり豊富になったという印象を受ける。

変更された内政システムとテンポアップしたゲーム展開

 本作の大きな特徴の一つとして,内政の簡略化が図られ,全体的にゲームが戦闘寄りのルールとなっている点が挙げられるだろう。以前までは一定の間隔ごとに必要だった「畑」の張り替えがなくなり,また「町の中心」も簡単には増設できなくなっている。今回は,マップ上に「町の拠点」と呼ばれるオブジェクトが配置されており,町の中心はその拠点の上にしか建設することができないのだ。
 またゲームスタートから戦闘に至るまでの時間も短縮され,よりスピィーディなゲーム展開を望めるようになった点も見逃せない要素である。大体の目安でいうと,最初の時代から次の時代までの進化タイムが,およそ5〜7分程度。8〜12分前後だったこれまでのシリーズと比べても,かなり展開が早いことが分かる。聞くところによると,なんでも「StarCraftやWarCraftのプレイヤー達でも楽しみやすいように」とのコトらしいが,今のRTSの風潮を考えると,より手軽に遊べるゲームシステムというのは正しい方向性なのではないだろうか。実際,内政の手間に関してはかなり楽になっている雰囲気で,戦闘系RTSの雄である「Warcraft III」に慣れていた筆者も,とくに「内政が大変だ」と思うことはなかった。このあたり,「StarCraft」などが爆発的に売れた韓国での展開を見据えたゲームシステムといえるのかもしれない。
 またちょっとした要素として,今回はマップ上にランダムに"アイテム"が配置されるようになっている。アイテムという言葉は不適切かもしれない。前作でいう「聖なる箱」に特殊な効果が付加するようになったといえば理解しやすいだろうか。英雄ユニットで落ちているアイテムを拾い,それを自国の神殿に持ち帰ることで,ユニットの強化や特殊ユニットの獲得,経済ボーナスなど,さまざまな恩恵を得ることができるのである。ゲームの展開に幅を持たせる,面白い試みといえよう。

結論

 遊んでみた当初は,細々とした画面の雰囲気から「前作と対して変わってないのでは……」と思ったりもしたが,しばらくやり込んでいくうちに,かなり毛並みの違う作品であると感じた。内政面の簡略化に加えて,ゲーム中に副神を選んでいくというゲームシステムが,想像以上にうまく機能していた点がかなりの好材料といえるだろう。防御的な要素が強いなどの,チーム戦を意識したであろう細かいルールも好印象だ。前作の良さを継承しながらも,神話ユニット/ゴッドパワーによる各文明の個性化,ゲーム中の選択肢/展開のバリエーションの豊富さなど,前作でおよそ欠点と思われていた部分のほとんどにメスが入り,素晴らしいアイデアの数々でその隙間が埋められているのだ
 ユーザーの間では,世界観が日本では受けない,今さら複雑な内政システムのゲームは面倒だ,などの声が挙がっているAoMではあるが,個人的な意見を言わせてもらえれば,「やっぱりAgeシリーズは面白い」というのが率直な感想である。よい意味で"予想を裏切られた"といえる。
 AoMは,ユーザーの多くが考えている以上に正統派であり,また革新的なシステムを搭載している作品なのだ。

次回へ続く

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