アンリアルII 覚醒 【日本語マニュアル付英語版】

Text by デイビー日高
12th Mar. 2003

※このレビュー記事中に掲載したScreenshotsは,PentiumIII/1GHz,GeForce3 Ti200という構成のPCで撮影したものです。そのため,本作の"最高画質"ではないことにご注意ください。なお,近日中に"最高画質"で撮影したScreenshots集を掲載する予定です。

 「アンリアル」といえば,世界3大FPSといわれる名作だ
 かくいう筆者も,アンリアルが大好きである。この作品をプレイしたときに受けたあの衝撃は,今もって忘れられない。宇宙船から脱出して惑星Na Paliの地表に降り立った瞬間には,総毛立ったものである。あの,常識をぶち壊す美しさと広大さ。二度と忘れないに違いない。
 そんな伝説の名作の続編が,いよいよ登場。またあの衝撃を受けられることを期待しつつ,本作にも挑んでみた。

ステージ攻略に特化!

旧敵Skaarj。近くまで来るとエネルギー弾を連射してきてあまり本体が見えないので,遠距離からスナイパーライフルのスコープで覗いて撮影した。相変わらず,やる気満々の異星人だ

 本作で驚かされたのは,今や当たり前となったオンライン対戦モードを完全に撤廃してしまったこと。シングルプレイでのステージ攻略モード一本に絞り,ストーリーや数々の仕掛けを楽しんでもらおうという設計になっているのだ。
 まあ,対戦モードがないのは当然といえば当然で,対戦に特化したスポーツ系FPS「アンリアルトーナメント」シリーズが分家として存在しており,本家で無理して対戦モードを搭載する必要はないのだろう。対戦モードをつけるぐらい手間はかからないだろうと思う人もいるかもしれないが,対戦用のステージはシングルプレイ用のステージを100%そのまま流用できるわけではないし,練習相手となるBOTの思考ルーチンを搭載する必要もある。それやこれやでバランス調整に時間を取られ,ステージ攻略のほうがおろそかになっては意味がない。よって,シングルプレイFPS好きを自認している筆者的にはこのシングルプレイ専用という作りは大賛成。それだけステージ攻略が期待できるというものである。

物語の舞台はストライダー戦争終結より8年後の世界

 前作や追加ミッションパック「Return to Na Pali」は,危険極まりない異星人Skaarjと人類が対峙していた"ストライダー戦争"の真っ最中を舞台にしていた。アンリアルIIでは,その戦いも終結して8年が経過した,再び人類が宇宙に広がり始めた時期を舞台にしている(具体的には,24世紀)。
 外部に敵がいなくなると,人間同士で争い始めるのが人類の困ったところ。宇宙探険と新たな惑星開拓で力をつけた巨大企業は,中央政府の影響力が弱まってきたこともあって,辺境宙域で傭兵による軍隊を組織し,軍事力を使って権力を掌握しつつあった。

 そんな"力こそが正義"という時代に,プレイヤーはTCA(テラン植民機構)の執行官ジョン・ダルトンとして,中央政府の法執行を担って戦っていくことになる。
 ちなみに執行官というのは,アメリカの西部開拓時代の保安官的なイメージの役職。辺境宇宙のパトロールを任務とする警察的なTCA内でそれなりの立場(署長クラス)の人間なんだけど,人手不足なもんだから,ほとんど一人で体を張って戦っているのだ(前作の主人公の囚人とはまったく関係がない模様)。

プレイヤーが扮するジョン・ダルトン。警察官的な立場であるTCAの執行官だが,テラン連合軍の海兵隊を指揮する権利を持つなど,軍人的な一面も持つ。ちなみに装着しているアーマーは執行官独自のものらしく,海兵隊の面々とはデザインが大幅に異なる 味方と共に任務に就くステージもいくつかある。主人公の立場は現場指揮官なので,どこを重点的に守備させるかなどの指示を出せる。なお,指示を出さなくても,敵が来れば自動的に応戦してくれる 拠点防衛ステージで,敵が強襲をかけてきたところ。作業中の技術者を守るのだが,その建物の入り口が複数あるため,自分一人ではとても手が足りない。そこで,海兵隊に指示を出したり,自動銃座やバリアを適切な場所に設置したりして,敵の施設内への侵入を防ごう

攻め込むだけでなく,拠点防衛や味方の援護などもある多様なステージ

クラウドプリーザーと呼ばれる,M700 12G セミオートマチック・ライオットショットガンによる攻撃シーン。これはサブ攻撃で,着弾箇所のあちこちが火を噴いている

 FPSというと,仕掛けをクリアしながら敵を次々と撃ち倒し,先へ先へと進んでいくイメージが強いが,本作はそうした従来のステージに加え,拠点防衛や味方の援護なども用意されている。
 異星人が作り出した謎の工芸品"アーティファクト"を探すために,異星人(Skaarjも再び出てくる!)や敵対する傭兵などを倒しつつ進むこともあれば,味方の技術者の作業を守るために,基地の出入り口に砲台やバリアを設置して敵の侵入を防いだり,悪党どもの拠点に潜り込んで爆破活動を行ったりと,ステージは実に多彩である。オラオラと一辺倒に突き進むわけではないから多様な緊張感を味わえ,実に飽きがこないのだ。
 ただ,ちょっと気になったのは,なかにはすぐに終わってしまう"短い"ステージもあるということ。なにも長ければいいというわけでもないが,拠点防衛など緊張するステージなどで次の敵はまだかまだかと待っていたら,実は終わりだった,なんてこともあった。まあ,その来るか来ないか分からないという緊張感が続いて,結局来ないことがあるからこそ,来ちゃったときがたまらないわけだ。

 ミッションとミッションの合間は,母艦のAtlantis内で,登場人物中紅一点のAida(情報担当)から次の任務のブリーフィングを受ける。なお,この会話は選択肢の中からセリフを選ぶシステムとなっており,選択の仕方によっては若干反応が異なったりする。さらにミッション自体のクリアの仕方によっては,ストーリーも変化。同じステージのはずなのに,展開が少々異ることがあるのだ。

 

こちらも要人警護系のステージ。エレベーターでTCA本部に上がったときに,電源が故障して降りられないという状況だ。味方の海兵隊が発電システムを稼働させるべくがんばってくれるので,ワラワラと寄ってくるSkaarjをスナイパーライフルで倒して援護するのだ エイリアンが作った謎のアイテム,アーティファクト。これを集めるのも任務の一つである。これをすべて揃えたときになにが起こるかは,プレイしてのお楽しみ エイリアンの武器の一つ。予備パックの足(?)の1本がシュルっと銃本体の穴の中に入っていくアニメーションが秀逸。かなり気色が悪いけど,そこが新鮮
ダルトンの母艦Atlantis。ミッション出撃前は,ブリーフィングルームでAidaから説明を受けたりする。内部は2層構造で部屋数もそれなりにあるので迷いやすいが,小型艇の発進スペースを背後にして右手がブリーフィングルーム,左手が武器庫なので覚えておこう 紅一点のAida。全身図と,サービス(?)で胸元とヒップも紹介。彼女が新しいミッションの説明をしてくれるのだ トレーニングモード。FPS通なら練習の必要はないと思われるが,一つだけ,何かのオブジェクトによじ登る動作は練習したほうがいいだろう。自分の背丈ぐらいのコンテナや岩などには,手前でジャンプして前進することで,手をかけてよじ登ることができるのだ

"美しさ"と"広大さ"がさらにパワーアップ

 前作で筆者が最も惹きつけられたのは,ステージの"美しさ"と"広大さ"。アンリアルIIでは新たな描画エンジンが搭載されており,これらの点も大いにパワーアップしている。ステージの景観は,やや単調だった前作とは打って変わって,かなり多種多様になった。陽光がさんさんと降りそそぎ,流れる水が目に優しいステージもあれば,"狂人的天才デザイナー"ギーガーの作品を思わせる,不気味な景観の異星人の建造物内のステージもある。そのほか,SFテイスト満載の未来的な人類の建物内のステージや,惑星自体が一つの生き物のようなとても気色の悪いステージ,巨大生物の白骨が転がる荒涼とした砂漠のステージなど,実に多彩なのだ。ステージが変わるたびに景観があまりにもガラリと変わるので,筆者などはスタート時は見とれてしまい,ゲームを進めずにわざと関係ないところへ足を進めてしまうほど。実に冒険心をそそられるのである。
 また,各ステージが「いや」というほど広いのだが,いずれも屋内と屋外の継ぎ目がない点が,改めて凄いと思う。いちいち建物の出入りでロード,なんてことはないのだ。また,平面的に広いだけでなく,高さがある点も忘れてはいけない。高所へ登ったときに見下ろすと,その高さから来る恐怖感はかなりのものだ。男性だけが分かる表現で申し訳ないが,もう,とある部分がキューッときてしまう(笑)。高所から飛び降りて,地面に着くまで数秒かかるゲームなんて,そうそうないはず。この呆れるほどのステージの広大さを,ぜひとも自分の手で実際に感じてみてほしい。

なにはともあれ武器紹介

そのほかの武器をいくつか紹介。左上は近〜中距離用途のコンバットアサルトライフル。右上は近距離で絶大な威力を誇る火炎放射器。左下は長距離ならお任せのスナイパーライフルのスコープ画面。右下は通称ショックランスと呼ばれるエイリアンのエネルギーライフルだ

 FPSのレビューで外したら怒られるものといえば,武器。続いては,武器について触れてみよう。
 ハンドガン,アサルトライフル(サブマシンガン),グレネードランチャー,ロケットランチャー,ショットガン,火炎放射器,スナイパーライフルといったFPSでお馴染みの武器に加え,拠点防衛用に設置できる自動銃座やミサイル砲台,そして(武器ではないけど)バリアなどが登場する。
 また,異星人の武器も入手可能だ。異星人の武器の中には,かなりビジュアル的に奇妙なものもある。弾倉というかエネルギーパックというか,とにかく再装填時に使う予備のパックが,シュルシュルっと多足を動かして銃本体にくっつくという武器があるのだ。この"気色の悪さ"は,つい敵を見ずに手元を見てしまったりするほど新鮮である。

 ともあれ,登場する武器の多くはFPSで一般的なもので,使い勝手もメイン攻撃に関しては可もなく不可もなくといったところ。だが,ポイントはサブ攻撃にある。さすがに前作がサブ攻撃システムの元祖だけあって,本作でもひと工夫が加えられているのだ。
 個人的に最も気に入ったのは,ショットガンのサブ攻撃。メイン攻撃に比べてサブ攻撃は散弾の拡散範囲が広くなるのだが,オマケ(?)として着弾箇所に火がつくのが特徴である。この二次的な火炎攻撃も含めると近距離での殺傷力は抜群で,屋内など狭い空間が戦場の場合は,この武器だけあれば,まず問題ない。
 もう一つ面白かったのが,火炎放射器。サブ攻撃は,直接的な攻撃手段ではなく,燃料のナパームを散布するのだ。要するに,あらかじめ床などにトラップ的に散布しておき,敵がその上を通る瞬間に,銃弾を撃ち込むなどして着火するというわけである。どんな形でトラップを仕掛けるかは,ぜひともご自分で考え出していただきたい。

 というわけで,「アンリアルII」の魅力が,少しでも伝わっただろうか。とにかく,美しくて広大なステージを見るだけでも損はしないはずだ。とくに前作や前作の描画エンジンを利用したゲームをプレイしていない人なら,驚くことは確実である。
 アナタも,悪党や敵対異星人を殲滅しつつ,異星の観光名所巡りをしてみてはいかがだろうか。目を見張る衝撃を受けたかったら,ぜひプレイすることをお勧めする。

要人を警護するため,自動銃座を建物の入口の正面に設置したところ。拠点防衛や要人警護では,こうした設置型の自動兵器をどこに備えるかもポイントとなる 舞台アラカルト。左上は,風光明媚な惑星にあるTCA本部から見下ろしたところ。右上は,体毛のようなものが何本も生えている,皮膚のような不気味な地表を持つ惑星。左下のギーガーがデザインしたかのような建造物内は,敵対エイリアンDrakkの本拠地。右下は,荒涼とした砂漠が広がる惑星 続いては,高低差を実感できる画面を紹介。静止画で見るとそれほどでもないかもしれないが,ゲーム中では視点を動かすことで,恐ろしいほど立体感が伝わってきて,もう怖いこと怖いこと ミッションの内容は画面で簡単に確認できるので,英語が苦手という人でも,それほど心配はない。またゲーム自体も直感的に理解できるように作られているので,多くても数回同じ面を繰り返せば,すぐ最終的な目的やその途中の小目的などを理解可能だ

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■発売元:サイバーフロント
■価格:オープンプライス
■問い合わせ先:サイバーフロント TEL 052-779-6549
■動作環境:Windows 98/2000/Me/XP,PentiumIII/733MHz以上(Pentium4/1.2GHz以上推奨),メモリ256MB以上(384MB以上推奨),空きHDD容量3GB以上,メモリ32MB以上搭載したDirectX 8.1以上に対応したビデオカード
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