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| 巨大なエイリアンは,炎で焼き殺さねば始末できない | 異様なうめき声で振り向くと,今まで仲間だった隊員がエイリアンに! |
本作で特徴的なのは,敵となるエイリアンが人間に化けることができる点だ。いかにもエイリアンです,といった化け物も多数登場して襲いかかってくるのだが,本当に怖いのは,この人間に化けたエイリアンである。つい先ほどまでプレイヤーキャラクターの命令を聞いて配電盤の修理をしていたエンジニアが,「うっ」とうめき声をあげるので振り向いてみると,みるみるおぞましいエイリアンに変身していく。
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| 仲間の隊員と共に奮戦するが,こいつも果たして人間なのか? |
一回でもこの変身を見てしまうと,もう仲間を信じられなくなる。この,"信用しきれない仲間達"というのが,このゲームのミソなのだ。だが,ストーリーを進めていくうえで彼らの力が必要となるところが多いため,途中で出会う生き残りの隊員達とは,どうしても一緒に行動しなくてはならないのだ。
これらチームメイト達にも,固有の心理状態が設定されている。腹をえぐられた死体を見ては吐いたり,首の千切れた死体を見て怖気づき,こちらの命令を聞かなくなったりする。
また逆に,チームメイトがプレイヤーキャラクターをどの程度信用しているか,といったパラメータも設定されている。仲間を撃ったり武器を取りあげたりして信用を裏切ると,こちらの命令を聞かなくなるばかりか,ついには攻撃されるようになるのだ。いったい誰がエイリアンなのか? こいつは信用してもいいのか? こいつには信用してもらわないと先に進めない……。といった風に,ただ単にエイリアンと戦い,クリアアイテムを見つけて先へ進むだけといった単純なアクションアドベンチャーに終わっていないのである。
ただし,仲間の必要性が"ドアを開ける" "アイテムなしでも回復してくれる"といったときくらいしか感じられなく,戦闘のときに,せっかくこちらが動き回って戦っているのに,突っ立って銃を発射しているだけで,かえって足手まといになることが多いのも事実だ。仲間が死んでしまうとゲームオーバーになるので,彼らをうまく援護しながら戦わなければならず,フラストレーションがたまっていくことが多かった。
ただし,こちらの思惑通りに動いてくれない仲間を気遣いつつエイリアンと戦うというのは,開発側が意図したものなのかもしれない。そう考えれば,仲間の行動でフラストレーションがたまるというのは,開発側の手のひらでおどらされているだけなのかもしれない。
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| 次から次へと襲いかかってくるエイリアン。弾数は限られているので,あまり無駄撃ちはできない | 隊員達の一覧を見ると,体力とプレイヤーをどの程度信用しているかが表示されている | 映画を彷彿とさせる,いくつもの生物が融合した体を持つエイリアン。手にはなんと犬の首が付いているのだ | 中ボス(?)エイリアン。横からは小さいエイリアンが無数に湧いて出てくる……。撃ちまくっているとすぐ弾切れに |
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| あまりの恐怖に耐えかね,目の前で自殺する隊員も…… |
ゲームの演出もなかなか凝っていて,何気なく見ていた窓の外をエイリアンがスーっと横切っていったり,階段の途中でだんだん見えてくる階上からエイリアンが走ってきたり,いきなり視点が切り替わったかと思うと,プレイヤーキャラクターを遠くから見ているエイリアンがいたりと,一瞬ドキッとするというよりは「うわぁあああ,来た来た来た来た!」とか「あああ,あんなところにいるよ,どうしよう……」というような,じわじわとした恐怖を味わえる。
アクション面では,自動的に銃の照準を合わせてくれるので,適当に撃っているだけでも敵を倒せる場面が多く,派手なアクションが苦手な人にも問題なくお勧めできる。本作は,どちらかといえばストーリーの流れを楽しむホラーアドベンチャーとしての要素が強いといえよう。
なお本作は日本語化されていないため,ゲーム途中に拾う書類や,情報を得るためにアクセスするPCでの表示は当然英語だし(短い文章が多いが),ムービーシーンでは字幕のない英語音声だけであるため,英語にアレルギーがある人には多少つらいかもしれない。
まあストーリーの流れから,やらなければならないことは"何となく分かる"とは思うが,それでもせっかくのストーリーを完全に把握するには多少の英語力を必要とするのが残念ではある。しかしそれでもなお,SFホラー系のアドベンチャーゲームが好きな人にはぜひプレイしてみてもらいたいゲームだ。
ところで,あなたの隣にいる人は,本当に人間でしょうね……?
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| 基地内のあちこちのPCや書類からは,事件の断片を伺わせる記述が | カメラが切り替わると,こちらをじっと伺うエイリアンが…… | 疑心暗鬼に囚われ,仲間に火炎放射器を向ける隊員も | 血液検査でエイリアンであるのがバレた(元)隊員。焼き殺せ! |
映画「遊星からの物体X」とは? 1982年にジョン・カーペンターが監督したSFホラー映画で,舞台は全編雪の吹きすさぶ南極。ノルウェーの南極調査隊が氷河の下からUFOを発見し,さらにその中に眠っていたエイリアンが覚醒。ノルウェー調査隊員を皆殺しにし,やがてアメリカの南極基地にもその魔手を伸ばしてくる。主人公であるアメリカ基地のヘリコプターパイロットは,吹雪で閉ざされた基地で,たった一人で絶望的なエイリアンとの戦いを始める,というストーリー。当時の最先端のSFXをふんだんに盛り込んだ,スプラッタ&グロテスクな映像が,公開時に大きな話題を呼んだ。 |
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■発売元:サイバーフロント "The Thing"interactive game(C)2002 Universal Interactive, Inc. The Thing and related characters are TM and(C)of Universal Studios. Licensed by Universal Studios Licensing LLLP. All rights reserved. Black Label Games and the Black Label Games Logo are trademarks of Vivendi Universal Games, Inc. in the U.S. and/or other countries. "After Me"performed by SALIVA. Courtesy of Records under license from Universal Music Enterprises. |
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