シムシティ4 ラッシュ・アワー 拡張キット
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人口が増えてきた都市を上空から眺めると,本物の航空写真を見ているようだ。発展しているところとそうでないところがよく分かる |
都市育成シミュレーションゲームの大御所といえば,"シムシティ"シリーズだ。プレイヤーは市長となり,さまざまな公共施設などを設置し,税金や予算を調整しながら街を活性化させて,人口を増やしていく。シムシティシリーズにはエンディングがなく,プレイヤーが納得のいく街になるまで遊び続けることができるのも大きな特徴だろう。
2004年1月に発売された「シムシティ4」は,前作に比べてさまざまな面で見直しが図られており,一段と生活感のある都市を作りあげることができるようになった……と,当サイトのレビュー「こちら」で書いたので,シムシティ4についてはそちらを読んでいただくことにして,ここではその拡張パック「シムシティ4
ラッシュ・アワー 拡張キット」(以下,RH)を紹介する。
RHは,シムシティ4の交通という概念にスポットを当てて,従来のゲームシステムに交通網に関する多くの機能を付け加える拡張パック。まだ本体を持っていない人なら,本体とセットになった「シムシティ4
デラックス」を購入するといいだろう。
交通に関するパワーアップとしては,交通システムが修正されたほか,交通分析ツール,標識システム,自分で運転−ミッションモードなどが追加されている。
そのほか,新しい災害,50種類以上の新しい建物,難易度の設定,充実したチュートリアルといった部分にも手が入れられている。ゲームシステムは大きく変わっていないので,今回は追加された部分を重点的に紹介しよう。
標識を立てたり,文字を入れたりできるようになった。しかし,我ながらネーミングセンスの無いなぁ…… | マイシムは今回から自動車などの移動手段の設定ができ,使える乗り物は経済水準によって異なる。新しい勤務先を見つけることができるのも面白い |
− 鉄道 −
また地下鉄と高架の鉄道とを地下高架間接続を使ってつなぐことで,地下から地上へ,地上から地下へと,見た目も機能も現実的な線路接続ができるようになった。 それと条件を満たすと使えるようになったのが,グランドステーションと呼ばれる大型の駅だ。設置するには住宅と商業地域の人口17万2000人以上,収容数の限界に達している小さな駅が一つ以上が必要だが,グランドステーションを設置するだけで周辺の住宅,商業地域がさらに発展するということを考えると,何としても手に入れておきたいところだ。 |
− 海上輸送 −
カー&旅客フェリー乗り場は,その名の通り車も輸送可能だ。使い方は簡単で,大陸が大きく分断されているところなどでフェリー乗り場を両岸に設置すれば,フェリーが行き来して水上移動が可能となる。 対岸同士を橋でつなごうとすると膨大な費用がかかってしまうし,橋は斜めに架けることはできないなどの問題があるので,安価で自由に移動できるフェリーは有効な移動手段となることも多いだろう。 |
− ルート調査ツール −
今までも建物などの情報を調査ツールで知ることができたが,それとは別に"ルート調査ツール"が使えるようになり,建物や道路をクリックすれば,出入りしたシム人が利用した交通機関,シム人の移動経路が交通機関ごとに色分けされた矢印で表示される。さらには朝の通勤/夜の通勤と通勤時間帯の違いまでもが管理されているのが凄い。例えば,自宅を出たシム人が徒歩で地下鉄の駅まで行き,地下鉄で離れた別の駅で降り,そこから徒歩で勤務先の工場に行っている……ということが,視覚的に表現されている。しかも,これがすべての建物,道路に設定されているのだ。 このルート調査ツールで一つずつチェックしていき,シム人がより良い移動手段をとれるように活用していこう。 |
− その他 −
収入源となる税率が住宅,商業,工業の三つの地区ごとに細分化され,地区の経済水準ごとに税率を設定できるようになった。例えば住宅では,貧乏な住宅,普通の住宅,裕福な住宅で個別に税率調整が可能なので,貧乏な住宅は安く,裕福な住宅からガッポリ巻き上げるなんて設定もいいだろう。 |
ゲームに登場する多くの乗り物を操作できるようになった。セスナやヘリコプターなどの場合は気を付けないとビルに当たってしまう |
今回の目玉は,やっぱり自分で運転モード−ミッションモードだ。ゲーム中に登場する車やヘリコプター,戦車(!)など30種類以上の乗り物を使って,与えられたミッションをこなしていく。
都市を作っていると,操作が可能な乗り物にアイコンが表示され,そのアイコンをクリックすることでミニゲーム形式のミッションが開始される。ミッションはすべて引き受けなければならないというわけではなく,内容を確認してからやるかやらないかは決めることができる。
内容は,「カージャック犯を追いかけ逮捕しろ」といった市長の支持率が上がるものや,「どこかの店の前で転んだ人を悪徳法律事務所まで乗せていく」など支持率が下がる代わりに大きなリベートをもらえるもの。使う乗り物は,自動車は車種によりスピードが違ったり,ヘリコプターや飛行機などは独自の操作が必要になるなど違いはあるが,どれも基本的に操作が簡単だ。自動車には道路から外れずに走ることのできる初心者向け機能も付いているため,この手のアクションが苦手な人でも安心して挑戦できるだろう。
なお,ミッションをやらずに,選択した乗り物で自由に移動することも可能。都市作成に疲れたときなどに車で暴走したり,セスナで飛び回ったりすると良い気分転換になるはずだ。
ところで,「走りにくい道だなぁ」「渋滞が酷いなぁ」なんて思っても,その責任が自分にあるということをお忘れなきよう。実際にミッションをプレイしてみると,渋滞などに苦しむシム人達の気持ちが少しだけ分かるはずだ。
ともかく,自分で作った都市の中を自由に移動できるという機能は,シムシティファンの多くが望んでいたと思うし,それをミニゲームという楽しめる形で搭載したという点は高く評価できる。
自由に運転モードの"悪ミッション"。成功すると,高額の報酬と引き替えに市長の支持率が下がる | こちらは"良ミッション"。報酬は少ないが,成功すれば支持率もグンとアップするので,何が何でもミッションクリアすべし | パトカーや消防車を使うときは,サイレンを鳴らせば前を走る車が道を空けてくれる。交差点などでは拡声器を使わないと,気付かない車と衝突するので注意しよう |
RHは,シムシティ4の拡張パックという位置付けだが,筆者がプレイした限りでは,単なる"バージョンアップ"ではないという印象を受けた。
交通という部分を突き詰めて再現し,それに合わせて影響のあるパラメータなども見直されているため,シムシティ4本体をプレイした人でも,今まで通りにプレイすると微妙な違いにとまどうはずだ。
追加された交通機関を生かせないと都市が発展することはなく,どちらかというと全体の難度は上がっている印象があるが,バージョンアップによりシムシティ4の魅力や面白さが増幅され,難しさよりも楽しさのほうが強いゲームに仕上がったといえるだろう。
すでにシムシティ4をプレイしている人には,手放しでラッシュ・アワー拡張パックをお勧めできるし,今までこの手のシミュレーションを敬遠していた人にも,ぜひプレイしてもらいたい。チュートリアルが"入門"
"整地" "大都市" "金もうけ" "新機能"と細かく用意されているため,ひと通りプレイすれば初心者でもスンナリとシムシティ4の世界に飛び込めるはず。これはプレイしなきゃ損だと言い切ってしまおう。
"金もうけ" "大都市"のチュートリアルが追加されている。また"入門" "整地"も若干変更が入ったようなので,経験者も一度プレイしておくべし | さまざまなところに動的要素を取り入れているため,都市をズームして眺めているだけで楽しめる | 標識を立てたり,文字を入れたりできるようになった。しかし,我ながらネーミングセンスの無いなぁ…… | ゲームレスポンスはかなり改善されたが,やはり夜モードで快適にプレイするにはある程度のマシンパワーが必要だ |
ズームレベルも一つ増え6段階となり,ここまでズームできるようになった。細かいところまで描き込まれているのが分かるだろう | 都市を破壊しながら突き進む"機械恐竜"が登場! 個人的な意見だが,何もこんなデザインにしなくてもと思ってしまった | UFO(新登場)の映画「インデペンデンス・デイ」を彷彿とさせる攻撃は,衝撃波のようなものが周辺に広がるのが美しい | ビルなどが崩れ落ちるところなどの描き込み度もアップし,一所懸命作った都市を破壊する楽しみ(?)もひとしおだ |
■メーカー:エレクトロニック・アーツ (C) 2003 Electronic Arts Inc. Electronic
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