ロビンフッド 〜レジェンド オブ シャーウッド〜

Text by Kobs(虎武須)
21st Jan. 2003

※このレビュー記事は,英語版を基に作成したものです

いったん建物の内部に入ると,このように屋根や壁の一部が透視できる

 いわゆる"義賊"というものは,アウトローな存在でありながら,夢や希望の象徴として人々に愛されてきた。日本の鼠小僧次郎吉,ハンガリーのシャーンドル,オーストラリアのネッド・ケリー,イタリアのパッサトーレ,スコットランドのロブ・ロイなどなど,架空/実在問わずに数え切れないほどの"義賊"と称される泥棒がいる。
 その中でも,ロビンフッドの名前を知らない人はいないだろう。ロビンは12世紀のイングランドで活躍したとされる伝説的英雄である

 十字軍遠征に赴いた"獅子心王"リチャード1世の不在をいいことに,国に残った王弟ジョンと貴族達が好き放題に圧政を敷き,庶民を苦しめていた。そこへかつてのロックスリー領主の息子・ロビンが十字軍遠征から帰国したが,故郷のあまりに酷い有様に愕然とする。ロビンはすでに死んだことにされており,彼の領地は乗っ取られ,庶民は貧困に喘ぎ,悪代官や強欲な貴族達がのさばっていたのだ。
 放浪の身となったロビンは,ひょんなことから絞首台から盗賊の一団を助け出す。これがきっかけとなってシャーウッドの森を拠点とする義賊団が誕生し,悪代官や貴族達から金品を強奪し人々に分け与える"義賊ロビンフッド"が誕生するわけだ。ただし,ロビンフッドの物語はあくまでもフィクションであることをお忘れなく

 そんなロビンフッドの活躍をモチーフに,ミッションクリア型RTSに仕立てたのが,今回紹介する「ロビンフッド〜レジェンド オブ シャーウッド〜」(以下,ロビンフッドLoS)である。ロビンフッドLoSは,以前「Desperados - Wanted:Dead or Alive」(日本未発売)を制作したベルギーのSpellbound社が開発し,日本ではサポートで定評のあるイマジニアからの発売となる。なお,2月下旬にイマジニアから発売される製品は日本語版だが,本レビューは英語版を基に作成した記事であることをご了承いただきたい。

システム

シャーウッドの森にある,ロビン達の砦。ここで訓練や生産をおこなう

 ミッションクリア型RTSといってもピンと来ないかもしれないが,"コマンドスシリーズ"を思い浮かべると分かりやすいだろう。
 ロビンフッドやその仲間達は,それぞれが独特の特殊技能を持っている。例えばロビンは"銭投げ"で敵の注意を惹いたり,背後にこっそり近づいてノックアウトできる。また壁によじ登ることも可能だ。ロビンの旧友ステュートリーは,"ネット投げ"で敵を絡め捕ったり,リンゴを投げつけて敵を弱らせる。また彼は"物乞い"に変装できる……といった具合である。
 ロビンフッドLoSでは,あらかじめ選んだメンバー達の特殊技能を駆使して,悪徳貴族から金品を強奪したり,囚われた仲間の救出,ヒロインの仕組まれた結婚式の阻止,さらには王座を狙う王弟ジョンとの対決などといった,バラエティに富んだミッションをこなしていくことになる。

 ロビンフッドLoSは2Dでの見下ろし型視点のRTSだが,そこに描かれている中世イギリスの風景は「見事」のひと言。ゲーム画面をキャプチャして,壁紙にでもしたくなるような美しい描写がなされているのだ。
 またユニットが進入した建物は壁が取り外されたように内部が透視できるため,見下ろし型の視点でありながら,建物内でもゲーム性や操作性が損なわれることはない。ただし,わずかに(ゲームプレイに影響しない程度)透視できない建物もあるので,多少慣れが必要だ。

 本作ならではの特徴として,ご存知"シャーウッドの森"がある。ここはロビンフッド達が身を潜めている秘密の砦で,ミッション参加者もここで選出する。
 森の仲間はストーリーが進むにつれて増えていくが,その多くは戦闘経験に乏しく即戦力にはならない。この砦で戦闘の訓練をして,立派な戦力として育てる必要があるのだ。森の仲間を育てておかないと,シャーウッドの森に敵が攻め入ってきた場合に困ったことになるのである。また,キャラクターの特殊技能で使用される消耗品,例えば弓矢や薬草,投網,投げつけるためのリンゴなど,すべてここで生産や採取が可能となっている。こういった生産や育成の要素を加えることにより,単調になりがちなミッションクリア型RTSにアクセントをつけることに成功しているといえるだろう。

「♪私のロビンフッド様〜」って歌がありましたね(笑) CGムービーからのひとコマ。勧善懲悪こそヒーローの証! ミッション選択画面 金品を載せた馬車を,仕掛けた罠でどっか〜ん!

戦闘

囲まれたときには,こうしてグルッとマウスで軌跡を描くと……

 ミッションが始まったら,まずマップ内を見渡し,戦略を練ることになる。どのミッションでも数では敵にとうてい敵わないため,頭を使う必要があるのだ
 特殊能力を最大限に活用して,スマートにミッションを成功させよう。例えば小銭を投げて奪い合いを引き起こしたり,口笛を吹いてわざと敵に見つかり,あらかじめ仕掛けた罠に誘い込むなど,敵をあざむく作戦を練るのが楽しくてたまらないわけである。
 ただし,例え目的を達成できても仲間が死んでしまっては,それ以降のミッションに参加できないので注意しよう。

 さてRTSの華ともいえる戦闘シーンには,一つの新しいシステムがある。それは,剣や棍棒などの武器を,プレイヤーがマウスを使ってコントロールできる点だ
 具体的には,キャラクターを選択して右クリックのままホールドしてマウスを動かせば,マウスの動きの軌跡が表示される。すると,そのキャラクターが軌跡に沿って武器を使用するのだ。敵をひと突きしたければマウスを一直線に動かせばいいし,棍棒をグルンと振り回したければ,マウスでクルッと円を描けばいい。つまり状況に応じた戦い方ができ,RTSでありながら戦闘に参加している気分も味わえるわけだ。

まとめ

 作戦を練る楽しさに加えて,マウス操作によってプレイヤーが戦闘に参加できる楽しさも併せ持ち,さらに生産/育成までも楽しめるのが,このロビンフッドLoSだ。なお,操作に関しては素早いマウスさばきが必要ないため,一般的なRTSが苦手な人でも楽しめる
 コマンドスにハマった人や,近頃FPSでも流行の潜入もの,スパイものが好きな人にはとくにお勧めできるし,ゲーム性,操作性,グラフィックスとどこをとってもこれといった不満がなく,テーマの受け入れやすさからしても万人にお勧めできるゲームだといえるだろう。
 弱きを助け,強きをくじく……誰もがあこがれることだが,誰もが実践できることでもない。暗い時代のイギリスの庶民に夢と希望を与えたロビンフッド。ヒーロー不在の今だからこそ,ロビンと森の仲間達の活躍に胸躍らせてみようではないか。

見とれてしまうほど美しいロビンフッドLoSのゲーム画面 悪代官が溜め込んでいる金はごっそり頂くのだ!

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■メーカー:イマジニア
■価格:7980円(2003年2月下旬発売予定)
■問い合わせ先:イマジニア TEL 03-3343-8900
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumII/233MHz以上(PentiumIII/500MHz以上推奨),メモリ64MB以上,空きHDD容量 1GB以上,DirectX 8.1に対応する4MBメモリを搭載したビデオカード
体験版(英語版)

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