ザックス 〜エイリアンハンター〜 完全日本語版

Text by Seal
12th Jan.2002

 メディアクエストからリリースされている「ザックス」は,一見するとごくありふれたアクションゲームの画面構成を採用している。ディアブロやノックス,レブナントのようなイメージを持つかもしれないが,実はユニークな操作方法に特徴のあるタイトルなのである。

 主人公は,一攫千金を狙い宇宙を放浪しているザックス。相棒は,おんぼろ宇宙船に搭載されている人工知性の"ゼロン"(イメージ的には女性で,研究能力や個性までもある)だ。このコンビがとある惑星付近を航行していると,突然惑星表面からの砲撃によって被弾し,不時着せざるを得ない状況となってしまう。この惑星では,3本指の爬虫類のようなコルボ族が文明を築いたが,ほかにも機械化が進んだ未知の文明も同時に存在しており,コルボ族はこの機械化勢力(オムと呼ばれている)の奴隷として働かされていたのである。
 幸いなことにザックスの宇宙船のダメージは軽微で,この惑星にある"クリスタル"と"鉱石"によって修理可能らしい。そこでザックスは,この未知なる惑星で鉱石やクリスタルを集めることとなったのだ。

自分に酔いしれる"動き"ができる独特の操作性

アクションゲームに欠かせない"ボス戦"。このボスはミサイルを連射してくる強敵だ

 国内ではちょっとウケづらいようなグラフィックスが冒頭からたっぷりと流れるオープニングだが,ゲーム自体はサクサクと進展するストーリーと,アクション性たっぷりのシステムが特徴となっている。基本的には移動とショットで敵となるオム勢力と,現地の獰猛な動物を倒して前進していくだけという,非常にシンプルなゲーム性も魅力といえるだろう。
 プレイヤー操るザックスはさまざまな銃を駆使して冒険していくが,その操作方法はなんとキーボード+マウス。キーボードのカーソルキーで移動をし,マウスで銃の撃つ方向を決定するポインタを移動させる。この独特の操作方法によって後ろ向きに走りながら攻撃したり,左右に往復移動しながら一点を狙い続けたりできるのだ。最初はこの独特の操作にとまどいを感じるが,慣れてくると次第に細かい移動ができるようになり,雨あられと降り注ぐ弾丸の中をスイスイと避けられるようになる(筆者だけ?)。またゲーム後半になるにつれて敵の攻撃も激しくなるが急激には変化しないため,ゲームをクリアする頃には自然と操作に慣れているので,ゲームに詰まってしまうということは少ないだろう。「ムリだ!」と思うシーンをクリアしたときなどは,自分に酔いしれてしまうことも多々ある。

 ザックスの操る武器は,全12種類が用意されている。これらは冒険途中にマップに落ちているのを拾うのではなく,ゼロンが新武器の設計図を作成し,集めたクリスタルと鉱石を消費して宇宙船内の工房で作成するという仕組みだ。新武器の設計図が完成するタイミングはゲームを進展させていくだけなので,それまでに大量のクリスタル/鉱石を集めておけば,すぐに強力な武器にチェンジできるといった感じとなる。
 武器には,単発のレーザーガンからミサイルランチャーやニュークリアディスラプター,サイオニックウェーブグラブなど,FPSも真っ青のものがいくつも用意されている。このうちサイオニックウェーブグラブは,着弾点でイナズマを放出してその内部にいるすべてにダメージを与える危険な武器。ザックスといえども例外ではなく,ここに飛び込んでしまうとダメージを受けてしまうので,使いどころには注意しなければならないほどだ。
 武器のほかにも,敵からの攻撃を防いでくれるシールド(盾ではなく,球状に展開して全方位からの攻撃を防いでくれるもの)や,ザックスの周囲を飛び回って攻撃してくれるコンパニオンドローンなどもゲームが進展するに伴って新しく作成できるようになる。敵を倒すことでレベルアップをするのではなく,アイテムで強化していくタイプのアクションゲームとなっているのだ

パズルやトラップなどの仕掛けも用意されたマップ

敵を倒したときに出現する青いボールはエネルギー,茶色のボールはシールド回復をする

 ザックスが冒険する舞台は,惑星地表面のジャングル地帯から雪の降り積もる極寒地帯,はたまた溶岩が噴出する地底洞窟など,多種多様のものが用意されている。またパズル的な要素をもつエリアもあり,マップ中を駆けずり回ることもしばしばだ。しかし,ゲーム序盤のマップに戻ったり数マップを行き来したりなどの面倒なルートは皆無で,ストーリー進展によって新しいエリアにテンポよく移動していくのは評価できるポイントといえよう。
 アクションヒーローものの映画のようなストーリー展開で,笑いあり,悲しみあり,怒りありとプレイしていて楽しくなるようにまとめられている。クライマックスシーンでは,予想もつかぬ展開が待っているのも面白い部分だ
 インターネットとLANを介した,16人までのマルチプレイもサポートされている。ストーリーモードをクリアした頃にはこの独特の操作に慣れているはず。マルチプレイでは専用の九つのマップ(マップごとに人数制限がある)と,クリスタルの収集量で競う「採掘王」旗の争奪戦を繰り広げる「旗を奪え」見える敵すべてを倒して生き残ったプレイヤーが勝利となる「デスマッチ」の三つのゲームモードが用意される。マップサイズも適当で遊びやすく,白熱したバトルでアツくなれるのが面白い。しかしストーリーモードである程度のテクニックを身に付けておかないと,マルチプレイで太刀打ちできないのが残念なところだ。

 ゲーム全体を通して,独特の操作感という点を差し引いても,テンポよく進むストーリーと適度なゲームバランスは,プレイしていて面白かった。さすがに現在での一線級のタイトルを比較してしまうと見劣りしてしまう部分はあるものの,この雰囲気はほかでは味わえない。3段階に分かれた難易度設定も,2周め,3周めと繰り返しプレイしたくなる要素だ。とくに最高難度となるハードは,腕に自信のあるプレイヤーだけにお勧めしておきたい。

なにかイベントが起こったときは,ゼロンが無線で連絡を入れてくる 新型の武器/シールドを作成するには,めたクリスタル/鉱石が必要 マップ中にある紫の鉱物は,宇宙船へと瞬時に帰還できる便利なもの
パズル的な要素をもつマップでは,敵を一掃してからじっくりと考えよう 床にあるパネルを踏むと,このような恐ろしいトラップが発動! この緑色と茶色に光る物質がクリスタル/鉱石だ。これを集めて宇宙船を修理するのだ

このページを印刷する

■発売元:メディアクエスト
■価格:8800円
■問い合わせ先:メディアクエスト TEL 03-5805-3629
■動作環境:Windows 9x/Me/NT/2000,PentiumII/233MHz以上,メモリ64MB以上,空きHDD容量675MB以上
■英語体験版(50.1MB):http://www.4gamer.net/patch/demo/data/zax.html

(C)2001 by JoWooD Productions Software AG, Technologiepark 4a, A-8786 Rottenmann, Austria. Developed by Reflexive Entertainment. All rights reserved.