ヴァンパイア−ザ・マスカレード リデンプション−正式ライセンス英語版
サイバーフロントの「ヴァンパイア：ザ・マスカレード リデンプション」（以下VMR）は，ヴァンパイアが主人公の一風変わった3DタイプのアクションRPGだ。もともと同名のTRPG（テーブルトークRPG）が基となっているため，凝った世界観やシステムが特徴。現在発売されているのは日本語マニュアル付き英語版で，今冬には完全日本語版のリリースが予定されている。
重厚なグラフィックスを見よ VMRのシングルプレイは，ストーリーラインに沿ってクエストをこなしていくタイプのRPGだ。このストーリーがまたよく練りこんであり，重厚な世界観と相まって非常に面白い仕上がりになっている。序盤の舞台は想像どおり"中世"なのだが，中盤からは現代になったりして，プレイヤーを途中で飽きさせない工夫がなされている。RPGシステムはヴァンパイアの特性を活かしたユニークなもので，既存のRPGと比べても特徴的な要素が多い。このあたりはTRPGをベースとしたゲームならではといったところか。 
特筆すべきはグラフィックスの秀逸さ。とにかく美しい。中世の街並み，ゴシック建築物の外観，内装，壁画，細かなオブジェクトにいたるまで，精細に描き込まれている。陰影の手法も細かで，一人称視点で辺りを見渡せば，まるで本当にその世界にいるかのようだ。少し残念なのは，敵を倒したときに落とすアイテムが非常に見づらいこと。気を付けていても見落としてしまうことがたびたびあった。気付かないでプレイしていると，見つけることなくどんどん進んでいきそうだ。
特徴はマルチプレイにあり 
操作方法は，分かりやすく使いやすい。最大の4人パーティーで行動するときでも，キャラクターごとの操作が瞬時に切り替えられるようになっていて，単独行動も難なく行える。選択したキャラクター以外はAIで行動するのだが，その行動パターンも簡単に設定できる。操作性は総じて良好といえよう。だが，実際のキャラクターの動作という段になると，いくつかの点で不満が残る。まずキャラクターが障害物などに引っかかりすぎること。特に，パーティーを組むとそれが顕著だ。もっとストレスなく動いてくれると，ゲームの邪魔をせずに済むのだが。さらに，乱闘のときなどにキャラクターが壁にめり込んだり，障害物の間に入り込んだりして動けなくなってしまうことが何度かあった。これだけはパッチなどで改善してほしいところだ。 気になるマルチプレイには，画期的な特徴がある。なんと，ゲームマスターをプレイヤーが務めるのである。シナリオ作成やマップ作成もゲームマスターがおこなう。つまり，TRPGをオンラインで展開するというわけだ。これは，TRPGを基とするVMRならではのアプローチであり，筆者の知る限り初の試みだ。だが逆にいえば，TRPGに馴染みのないプレイヤーからすればハードルが高すぎるかもしれない。そのあたり，もうちょっと気楽に遊べるマルチプレイモードがあってもよかった気がする。 
とはいえ，VMRはシングルプレイの出来が非常によいので，もしこのマルチプレイヤーのシステムに馴染めない人でも，存分に堪能できる作品である。ぜひこの作品の重厚なストーリーや世界観に触れてほしい。型にはまったありきたりなRPGの多い中，玄人向けな辛口のRPGとして個人的にはお勧めしておきたい作品だ。 |
| ■発売元：サイバーフロント ■価格： 8800円（冬に完全日本語版が発売予定） ■問い合わせ先：サイバーフロント TEL 052-779-6549 ■動作環境：Windows95/98，PentiumII/300MHz以上（PentiumII/400MHz以上推奨），メモリ32MB以上（64MB以上推奨），空きHDD容量：640MB以上 ■英語版デモ（91MB）：http://www.3dfiles.com/games/vampirethemasqueraderedemption.shtml Vampire：The Masquerade, White Wolf and World of Darkness are registerd trademarks and Vampire：The Masquerade−Redemption is a trademark of White Wolf Publishing, Inc. © 2000 White Wolf Publishing, Inc. © 2000 Nihilistic Software, Inc. Published and distributed by Activision, Inc. © 2000 Activision, Inc. Activision is a registered trademark of Activision, Inc. All other trademarks and trade names are properties of their respective owners. |
