アニメのテイストそのままの過激なレース！

　ゲームは，おなじみのスーパーマシン（もちろんキャラクターが搭乗）の中から1台を選び，レースに出場することになる。ただし，残念ながらすべてのマシンに搭乗できるわけではない。詳しくは，下の表組みをご覧いただきたいが，原作では11台あったマシンのうち7台がゲームに登場する。ただし，ブラック魔王のゼロゼロマシンのみは，最初からは選択できないようになっている（そのかわり速い！）。各マシンは，加速がモーレツなかわりにハンドリングが鈍いとか，攻撃力はバツグンだが操作が難しいなど，それぞれの個性を持っている。いうまでもないが，各マシンの特徴をよく把握して，自分の走りのスタイルに合ったものを選択したり，コースごとに合ったマシンを変えていったりすることが，1位でフィニッシュするための大前提となるのだ。
　ゲームモードは，選択した1レースのみ走るシングルレースと，レースごとの獲得ポイントで優勝を争うチャンピオンシップ，ライバルカーなしで練習できるプラクティス，1台のPCで2人が競争する2プレイヤーレース，プレイヤー同士で攻撃しあえるバトルモードの5種類が用意されている。残念ながら，インターネットを介した対戦モードは用意されていないが，2プレイヤーレースがある点はナイス。横に異性を座らせてくっついてプレイできるってものだ！　題材が題材だけに，誘いやすいはず!?
　舞台は砂漠や街中，雪山といった全部で5つのシナリオ（コース種類のグループ）に分かれていて，さらにそれぞれのシナリオに4コースが用意されている（つまりトータルで20コース）。ただし，すべてのコースを最初から自由に選べるわけではない。各シナリオの最初のコースで1位になると，より難しい二つ目のコースを選べるようになるというわけである。また，最初は選択できない五つ目のシナリオは，他の四つのシナリオすべてに優勝しなければプレイできないようになっている。 　コースは，どれもこれも跳んだりはねたりはもちろん，ループ状になっている部分まである。また，障害物もあちこちにゴロゴロしているというWRCも真っ青の過激なレイアウトばかりだ。ショートカットや裏道も用意された"なんでもあり"のコースなのである。基本的にレースは3周で行なわれるので，3周めともなると周回遅れも出てきて，邪魔なことこの上なしだ。
　視点は後上方から見る俗にいう"背後霊視点"（3人称視点）を採用している。コーナリングのときには右に左にコミカルに動くドライバーの体が見えたりして，実に面白い（オススメは，ガンセキオープンのネアンデルタール人ブラザーズ）。それと同時にコース周辺の景観が見やすく，車の挙動が分かりやすいのも背後霊視点の利点だといえよう。

ショートカットを見つけるのも重要	チャンピオンシップは1レースごとに，得点が加算される	ふたりで対戦！

あの手この手で妨害しまくれ！

　ブラック魔王の得意分野といえば，もちろん"妨害工作"である。当時アニメを見ていて，毎回よくもまあさまざまな手を思いつくものだと感心した人も多かったと思うが，もちろん本作でもそれは健在だ。というより，1位を目指すにはそれをいかに使いこなすかがポイントとなる。ブラック魔王以外のキャラクターでも妨害工作は使えるので，自分より前を走るヤツをビシバシ痛いめに遭わせてやろう。巨大なハエタタキでビッタン！　謎のコンパクト雷雲でドシャ降りの豪雨＆落雷攻撃！　狭い場所には地雷を設置！　ホーミングミサイルで黒コゲ！　など普通のレースでは考えられない強力な妨害工作や武器が多数用意されているのだ。
　ただし，これらを好きなだけ無制限に使えるわけではない。"妨害工作メーター"のゲージがある一定以上ないと使えないのだ。このゲージを増やすには，コース上のあちこちに落ちている"チキチキウイング"というアイテムを取らなければならない。これを取ることで妨害工作の回数が増えたり，使える妨害工作の種類が変わったりするという仕組みだ。
　また，モーレツなスピードを出せたり，空を飛べたりといった，このタイプのレースゲーム（いわゆるマリオカート系）ではおなじみのスーパームーブも用意されている。これも妨害工作メーターのゲージが，1回分以上溜まっていないと使えない。とにかく，妨害工作でライバルの動きを止めておき，スーパームーブで一気に突き放すというのが，必勝パターンの一つだ。あとは，それを行うタイミングを見極めればいい。
　個人的に残念だったのは，日本語への吹き替えが行われなかった点である。とはいっても，声優のオリジナルメンバーは大塚周夫を初め，広川太一郎（ハンサムV9のキザトト），小原乃梨子（プシーキャットのミルクちゃん），野沢那智（実況）など超ベテラン勢ばかりなので，相当難しいのは当然なのだが…。しかし，ゲームとしてただ懐かしいだけで終わっていないのは，非常に評価できるポイント。普通のレースにはない"いかに妨害するか"といった点で頭を使う必要があり，一風変わった競争を味わえるのだ。ガチガチのレースゲームばかりプレイしている人も，たまには息抜きにブラック魔王たちと妨害合戦をしてはいかがだろうか。もちろん，ミルクちゃんもカワイイでっせ！

こちらは対戦プレイのバトルモード	筆者のお気に入りは破壊力バツグンのタンクGT	後方からペイント弾を撃たれてしまったところ

ナンバー	車名 （英）/（邦）	ドライバー名 （英）/（邦）	最高速	グリップ	備考
00	THE MEAN MACHINE／ゼロゼロマシン	DICK DASTARDLY & MUTTLEY／ブラック魔王とケンケン	？	？	最初は選択不可
1	BOULDER MOBILE／ガンセキオープン	THE SLAG BROTHERS／ネアンデルタール人兄弟	AVERAGE	EXCELLENT
2	CREEPY COUPE／ヒュードロクーペ	GRUESOME TWOSOME／モンスターとドラチビ	FAST	GOOD
3	THE CONVERT-A-CAR／マジックスリー	PROF. PAT PENDING／ドクターH	-	-	未登場
4	CRIMSON HAYBAILER／クロイツェル・スポーツ	RED MAX／こうもりボス	AVERAGE	GOOD
5	COMPACT PUSSYCAT／ブシーキャット	PENELOPE PITSTOP／ミルクちゃん	FASTEST	GOOD
6	ARMY SURPLUS SPECIAL／タンクGT	SERGENT BLAST & PRIVATE MEEKLY／軍曹閣下と新兵君	AVERAGE	EXCELLENT
7	THE ROARING PLENTY／ギャングセブン	The Anthill Mob／トラヒゲ親分と7人の子分たち	-	-	未登場
8	THE ARKANSAS CHUGGA-BUG／ポッポSL	Like & Blubber Bear／ヨタローとクマッハ	-	-	未登場
9	TURBO TERRIFIC（THE VAROOM ROADSTAR）／ハンサムV9	PETER PERFECT／キザトト	EXCELLENT	AVERAGE
10	THE BUZZ WAGON／トロッコ・スペシャル	Rufus Ruffcut & Sawtooth／ドン・カッペと甚平	-	-	未登場

■発売元：サイバーフロント ■価格： 4800円 ■問い合わせ先：サイバーフロント　TEL 052-779-6549 ■動作環境：Windows9x/Me，PentiumII/233MHz以上，メモリ32MB以上（64MB以上推奨） C 2000 INFOGRAMES. DASTARDLY&MUTTLEY AND THE WACKEY RACES and all related characters and elements are trademarks of Hanna-Barbera. c 2000 Hanna-Baebera and Heatter-Quigley.