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トラフィックジャイアント
Text by 虎武須
5th Nov.2000

クリックすると拡大します  道路は渋滞で動かないし,バスは遅いし使いづらい,電車はぎゅうぎゅう詰めで,ほかの交通機関は割高で……俺ならもっと効率良く交通網を張れるに違いないのに……あなたはそんな感情を抱いたことはないだろうか?
 サン電子の「トラフィックジャイアント」(以下TG。英語版オフィシャルサイトは「こちら」)は,オーストリアのソフトハウス,JoWooD Productionsが開発した,公共交通機関の会社を運営する箱庭シミュレーションゲームだ。なお本レビューは英語版のβ版で執筆を行ったが,サン電子の製品版は完全日本語版であることをお断りしておく。
 ゲームの内容は,交通網を整備し,バスや電車などを運営すること。往年の名作「トランスポートタイクーン」を想像してもらえると,ピンとくるだろうか。プレイ開始前の街には公共の交通機関が何もないため,道路には車がごった返し,渋滞している。プレイヤーは,効率が良くて市民に愛される交通網を敷き,なおかつ利益を産む会社にすることに経営手腕を振るうことになる。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します 「人の集まるところに路線引けばいいだけでしょ,簡単じゃん」と思うかもしれないが,実はそう単純なことではない。住民たちは,便利で,運賃が安くて,目的地に早く着けて,安全性が高くて,うんぬんかんぬん……といったさまざまな要求をつきつけてくる。これらを満たす路線だけが生き残れるというわけだ。市民というものは,公共サービスへの要求は贅沢なのだ。利用者達の要求を満たしつつ,なおかつ利益を上げなければいけないのだから,こりゃもう大変。経営者であるプレイヤーには,サービス向上と利益のバランスをベストミックスできる経営センスが必要だ。


"箱庭"の生命線「インタフェース」はかなり優秀
クリックすると拡大します クリックすると拡大します クリックすると拡大します  経営者として気を配る点は非常に多いのだが,路線の敷設や停留所の設置など操作性は非常に良好で,ゲームは全体的にサクサクと進む。経営戦略に集中でき,操作上の手数は少なく済むように工夫されているわけで,この点は充分に評価したいところ。
 だが一つだけ難点を言わせてもらう。停留所や駅などを設置するときに路線が表示されないので,自分が敷いた路線を完璧に把握していないと,路線外に停留所を設置してしまうことがあるのだ。これは製品版で改善されているといいのだが……。
 ゲームの難易度は若干高めだ。ほかの同種のゲームの経験がある人でも,この作品にはすこし手こずるかもしれない。特に(残念ながら初期β版ではプレーできなかったのだが),コンピュータによるライバル会社との経営合戦に勝つには,充分な洞察力と経営力が必要だろう。
 このゲームを征するには,画面をちょこまかと動き回る住民達の気持ちになって考えてみることだ。彼らは「俺ならもっとうまく……」などと考えてはいないだろうか,と。
■発売元:サン電子
■価格: 8800円
■問い合わせ先:サン電子
  TEL 052-562-2265
■動作環境:Windows 95/98,MMX Pentium/233MHz以上,メモリ32MB以上,空きHDD容量240MB以上
© 2000 JoWooD Production. All rights reserved. Exclusive distribution in Japan by Sunsoft. © 2000 SUNSOFT