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太閤立志伝IV(β)
Text by バクシー佐野
16th Mar.2001

※この太閤IVは,「商人プレイ」「忍者プレイ」など,機能を大幅に追加されて若干遅れることになりました。製品同等版が入手できたときに,その部分に関しては改めてレビューいたします
クリックすると拡大します  一介の足軽から天下人まで登り詰めた男,豊臣秀吉。その華々しい立身出世の人生をモチーフにしたのが,コーエー「太閤立志伝IV」シリーズである。一国の領土拡張を基本軸とした同社の「信長の野望」や「三國志」シリーズとは異なり,一人の人物にスポットが当てられ,その成長を楽しめるのが特徴。さらに,歴史ゲームの老舗ならではの歴史的検証に裏付けされたシナリオ面も充実しており,RPG的に没入できる作品として高い評価を得てきた。
 今回紹介する太閤立志伝IV(以下,太閤IV)は,そのシリーズの最新作だ。太閤IVの特徴は,カードをゲームシステムに取り入れていること。カードには,鍛錬することで入手できる"技能カード"や各地に散らばる"名所カード",そして合戦時に使用する"攻撃カード"などさまざまな種類が用意されている。特に,「キャラクター・コレクション・システム」の採用によって,いままでの太閤立志伝シリーズと大きくイメージが変わっているのである。カードは700種類以上が用意されているので,カードをコレクションするといった遊び方ができるのもうれしい。

 
カードを用いたゲームシステムとは?
クリックすると拡大します  前述のように,太閤IVではカードの存在が非常に重要な意味を持つ。武将の能力を上げるために欠かせない鍛錬はミニゲーム形式となっていて,その成果によってカードが入手できる。弁舌の鍛錬では文章の間違いを4択から探し出すなど,バラエティに富んだミニゲームが用意されているのだ。これらの鍛錬によって入手したカードは,ミニゲームの難易度に影響するほか,合戦で(カードバトル時)使用する。合戦はカードの応酬によって行われるが,"挟撃"や"啄木鳥の戦法"といった特殊戦術カードもあるので,一筋縄でいかないところがミソ。
 硬派な歴史ゲーマーにとっては,合戦までがカードによって表現されている点には,少々抵抗感を覚えるかもしれない。しかし,シンプルなゲームシステムながらも合戦の戦略性がよく捉えられているのは同社ならではといえるだろう。臨場感をたっぷりと味わえるような各種演出が施されていることや,寸断されることなくテンポよく進行するカードバトルなど,飽きがこないような工夫もなされているのである。

 
戦乱の世を自由気ままにプレイしてみる!
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  プレイヤーが仕えている主人(大名)のために,身を粉にして働くことが基本的なゲームの流れ。"勲功"を重ねて出世しつつ,主人が天下統一を成し遂げるのに力を尽くすのである。だが,これはあくまでも基本に過ぎない。プレイヤーはいつでも,"出奔"すなわち自由の身になることも可能だ。出奔した後の選択肢はいくつもある。自分がこれぞと思った武将に仕官するもよし,剣術一筋に全国を放浪するもよし,甲賀や伊賀のような忍びを目指すも良し。独立して自らが天下人となる道を選ぶこともできるのだ。
 どれが正しい生き方ということはなく,それぞれに頂点を極めるには険しい試練が待ち受けている。自分が決めた道で成長するためには,必要な能力を見極め,それらを重点的に磨きをかけていかなければならない。各能力は鍛錬することでレベルアップし,鉄砲購入や鉱山開発など多数の仕事の結果に影響を与える。それを積み重ねていけば,能力取得の証しとして合戦カードや技能カードなどを手に入れられるわけだ。あとはカードを使う場面での戦略を極め,効率のよいゲーム進行を目指せばいい。また,各種カードの特を把握することも,もちろん重要だ。この二つこそが,掲げた目標を達成する早道につながるのである。

 
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600人の"志"をプレイできる!
 太閤IVの最も特筆すべき点は,秀吉以外の人物でもプレイできるようになったこと。その数,なんと600人! 歴史に燦然と名を残す英傑や,ひとクセある強者となってその人生を楽しめるようになった。ただし,最初から600人全員をプレイできるわけではない。最低でも一度は秀吉で始めて,それぞれの"主人公カード"を入手しなければならないのだ。基本的にはその人物を心服させれば(仲良く)いいのだが,カード入手方法には多数の条件がある。
 また同じ歴史上の出来事でも,異なる人物の視点から見れば状況は変わってくる。多数の主人公カードをゲットして複数の人物で繰り返しプレイすることで,多面的に歴史状況を見つめることができる。プレイ次第では,今までになかった重厚なストーリーを味わえるようになるだろう。
 さらに人物の各種能力には,武力や統率力といった合戦で中心となる基本的なものだけでなく,水軍指揮,忍術,築城術,茶道といった特殊技能も用意されている。どれを追求するかによって,選択した人物の生き方は変化していく。史実を追求するのか,自分だけの歴史を作り上げるのか。それを決めるのはプレイヤー次第だ。
 全体的なバランスから評価すると,カードシステムの採用という思い切ったシステム変更は成功とみても差し支えないだろう。シリーズを重ねるごとに新しい試みが追加され,確実に進化を遂げている太閤IV。チュートリアルやヘルプ機能も充実し,より初心者への門戸を広げたユーザーフレンドリーな設計となっているので,買ってみて損のない1本といえるだろう。


■発売元:コーエー
■価格:9800円(今春発売予定)
■問い合わせ先:コーエー TEL:045-561-6861
■動作環境:Windows 95/98/Me/2000,Pentium/266MHz以上(PentiumII/300MHz以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量190MB以上
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