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| パワーコアとシールドジェネレータによって,SWGB独自の戦術が採れるようになっているのが面白い |
世代を越えて愛されているジョージ・ルーカス監督の映画「スター・ウォーズ」シリーズ。最新作のエピソードUの公開も近づいてきており,ファンの間でも徐々に熱気が高まりつつある(日本では7月13日から公開予定)。
今回紹介する「スター・ウォーズ
ギャラクティック・バトルグラウンド」(以下,SWGB)は,この映画を題材としたリアルタイムストラテジー(以下,RTS)だ。開発はLucasArts
Entertainment社で,国内では,エレクトロニック・アーツ・スクウェアより完全日本語版が発売中だ。
SWGBの大きな特徴は,RTSの金字塔ともいえる「Age of Empires」シリーズのゲームエンジンを採用していることだ。いわゆる原作モノにありがちな世界観を使った「ファンだけ」の作品ではなく,ゲームとしての完成度が高いのが特徴といえるだろう。
SWGBは,スター・ウォーズの旧三部作に加え,1999年公開の「エピソードT ファントムメナス」までをカバーしている。選択できる勢力は,銀河帝国,グンガン,反乱同盟軍,ロイヤル・ナブー,通商連合,ウーキー族の6種(マルチプレイ時)。プレイヤーはいずれかの勢力を率いる指揮官となって,スター・ウォーズの世界で大バトルを繰り広げていくことになる。ゲーム展開は資源を採取しながら技術開発を行い,ユニットを生産して軍備を整えてほかの勢力と戦うというRTSではお馴染みのものだ。
冒頭で軽く触れたが,SWGBには,「Age of Empires U:The Age of Kings」(以下,AoK)のゲームエンジンが搭載されている。AoKは世界各地の古代文明や民族を題材とした人気シリーズで,マルチプレイを中心として絶大な支持を受けている。つまり,このSWGBは,「人気RTSのシステム+スター・ウォーズの世界」という超強力なコンビネーションなのである。
ゲームの基本となる部分はAoKを踏襲しているが,それ以外にもさまざまな要素がスターウォーズ風に上手にアレンジされている。例えば,AoKの資源は,食物,木材,石材,金の4種だが,SWGBではこれらを食物,カーボン,鉱石,ノヴァ・クリスタルにそれぞれ置きかえている。同じようにAoKの「文明の進化」は,「技術レベル」というSF調にアレンジされていて違和感がない。ユニットについても,銀河帝国にはTIE
FighterやAT-AT,反乱同盟軍にはエア・スピーダーやX-Wingがあるといった具合で,それぞれの勢力の特徴が再現されているのだ。
ちなみに,インタフェースもAoKとほぼ同一。洗練されたシステムなので,RTSファンならすぐになじめることだろう。またきちんとしたチュートリアルも用意されているので,RTS初挑戦の人にもとっつきやすくなっている。
SWGBにはAoKとはひと味違う要素がいくつもある。
第一の要素は,「エネルギー供給とバリアのシステム」。SWGBでは,「パワーコア」というエネルギー供給施設を建設することで,周囲の建物における研究速度やユニットの生産速度が増加する。これに加えて「シールド・ジェネレーター」と呼ばれる施設を建設することで,周囲のユニットや建物の耐久力に大きなボーナスを与えるシールドを生成できるようになるのだ。つまり,壁や防御施設を張り巡らせるだけでなく,パワーコアとシールド・ジェネレーターによる陣取り合戦の要素が加わっているといえるだろう。
第二の要素としては,「飛行ユニットによる空中戦」が挙げられる。AoKでは,海戦も不可能ではないが,地上戦がゲームの大半を占める。しかしながら,SWGBの場合は戦闘機(X-WingやTIE
Fighterなど)や爆撃機が用意されており,空中での戦いも可能となっている。ゲームに登場する防御施設やユニットは,対空用/対地用に分けられているのが大きなポイントで,戦術面での良いアクセントになっている。
第三の要素は,「特殊能力を持つジェダイの騎士」の存在である。AoKに登場する「聖職者」をアレンジしたユニットだが,スター・ウォーズの世界に実によくマッチしている。ライトサーベル片手に前線で大活躍しつつ,さらに「フォースの力」で敵を転向させてしまうのである(もちろんシス・ナイトもいる)。
これに加えてSWGBでは,ジェダイ・ナイト系のユニットだけが運べる「ホロクロン」という特殊なオブジェクトがマップ上に配置されている。これを寺院に持ち帰れば,ノヴァ・クリスタルが自然に増えていく仕組みだ。AoKをプレイしたことがあれば想像できると思うが,ノヴァ・クリスタルは「金」に相当する資源なので,ホロクロンの確保は戦略上の重要課題なのである。そのカギを握るジェダイの騎士たちは,まさにゲームの主役といった感じだ。このあたりのアレンジとオリジナリティの出し方は絶妙である。
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| チュートリアルはユニットの移動方法や資源の採取方法などの基本的な要素を学べる |
SWGBのゲームモードは,シングルプレイとマルチプレイに分けられる。マルチプレイでは,8人までのネットワーク対戦に対応しており,勝利条件やマップのタイプなどの細かなルール設定やチーム戦を行える。一般的なRTSでよく目にする勝利条件ばかりなので,戸惑うことは少ないだろう。MSN
Gaming Zoneに専用のロビーが用意されていて,対戦相手を探しやすいのも魅力だ。
シングルプレイでは,コンピュータAIと対戦する「スタンダードモード」と,スター・ウォーズのストーリーに絡んだ「キャンペーン」が用意されている。特にスター・ウォーズファンにお勧めしたいのが,このキャンペーンだ。キャンペーンには,7〜8のステージで構成されたシナリオが5本用意されており,異なる勢力の立場となってプレイできる。
それぞれのシナリオでは,ルーク・スカイウォーカーをはじめ,ハン・ソロ,レイア姫,チューバッカ,ダース・ベイダーなど,映画で主要となるキャラクターたちが,次々と登場する。プレイヤーが操作できるだけでもうれしいが,これらのキャラクターは命令するたびにあれこれと喋りまくるのだ。残念ながら声優は劇場公開時とは異なるものの,雰囲気をおおいに盛り上げてくれることは間違いない。
また,ゲームには劇中の音楽がふんだんに盛り込まれており,スター・ウォーズ世界のミニ辞典も収められているのも見逃せないだろう。
SWGBは全体として観てみると,よくまとった秀作である。スター・ウォーズという圧倒的な知名度を持つ舞台は,RTSとしても大きな強みとなるだろう。最近のRTSタイトルは多数がリリースされて戦国時代を迎えており,個性を出すのが非常に難しい。文明系やファンタジー系,軍事系といったものが大半を占めており,長年のRTSファンからは「食傷気味」という言葉もしばしば聞かれる。
題材が似通ってしまうのは,マルチプレイを軸にブレイクしたRTSというジャンルの宿命である。大勢のプレイヤーが知っていたり,感情移入できる共通の土台がなければ,盛り上がりにくいのも否めないだろう。その点,初公開から20年を越えるスター・ウォーズならば,大半の人が知っていることだろう。ジェダイの騎士は文句なしに「強い」というイメージがあるし,その姿が一般的なRTSに登場する歩兵ユニットとさほど変わらなくても感情移入しやすいのはその知名度のおかげといえるのかもしれない。
なお,うれしいことにエピソードUにちなんだ「スター・ウォーズ ギャラクティック・バトルグラウンド クローン戦役 拡張キット」が7月4日に発売される予定だ。日本公開の夏に合わせているのはなかなかにくい演出といえる。
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■発売元:エレクトロニック・アーツ・スクウェア (C) 2001, 2002 LucasArts Entertainment Company LLC. (C) 2001, 2002 Lucasfilm Ltd. & TM. All rights reserved. Used under authorization. LucasArts and the LucasArts logo are trademarks of Lucasfilm Ltd. Age of Empires is a registered trademark of Microsoft corporation. |
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