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スタートピア 2/2

Text by トライゼット 西川善司
18th Sep.2001

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独特の戦略が要求されるスタートピアの軍事

 ステージごとにゲームクリア条件は微妙に違うが,基本的には

・領土を拡大していき,敵プレイヤーよりも経済的に優位に立つ
・敵プレイヤーの領土に攻撃を仕掛けて占領していき勢力を拡大する

といったことが基本戦略となる。
 コロニーは16個の区画に分かれているが,それぞれの区画は隔壁で閉ざされている。自分の区画が施設でいっぱいになったからといって勝手に隔壁を開けて隣区画を自軍領土にすることはできない。次の区画を獲得するためには一定額の費用を支払って隔壁の解錠権を獲得しなければならないのだ。即ち,経済を早く発展させて,隔壁解錠費用分の利益をいかに敵よりも早く貯められるか……というのが,スタートピアの基本的なゲーム性ということになる。

 戦闘は,攻撃目標をマウスでクリックするだけの簡単操作で行える。攻撃目標が設定されると,自軍従業員が各自にビームガンなどを使って攻撃してくれる。
 なお敵地の占領は,敵ユニットの全滅ではなく,敵陣内の「隔壁ロック」をハッキングすることで行う。そう,隔壁ロックとはFPSでいうところのフラッグにあたり,敵陣のフラッグを取得すれば占領……ということになるのだ。逆に敵に自軍の隔壁ロックを奪われたら,その陣地を失うことになる。このハッキングを行えるユニットは「ポリススカザー」と呼ばれるセキュリティロボットだけなので,攻め入る場合は自軍のポリススカザーを護衛しつつ侵攻し,攻め込まれた場合は,敵のポリススカザーの撃滅に専念しなければならない。
 ゲームフィールドはドーナツ型のスペースコロニーなので,自軍は敵との前戦を両端に構える格好となり,このゲーム特有の戦略性が求められることになる。ゲームシステム上,背後からの闇討ちは不可能なので"速攻"の心配は無用だが,挟撃を受けると壊滅する確率はかなり高い。常にこのことを念頭においてゲームを進める必要があるのだ。
 防衛戦略の基本は,敵陣地と隣接する自軍区画の隔壁ロックを護衛すること。そして攻撃戦略の基本は,ポリススカザーと共に主力部隊を敵陣内隔壁ロックへ侵攻すること,となるだろう。

シンプル操作性は古巣へのアンチテーゼ?
 Bullfrog/ピーターの流れを汲んでいるということは,操作性がちょっと不安(失礼)というプレイヤーも多いと思う。しかしこのスタートピア,この点はOKだ。だいぶ洗練されている。
 基本的に必要なのはマウス操作と左クリック/右クリックだけ。いくつかの特殊操作は画面上のコントロールパネルを使う必要があるが,その局面に必要なものしか表示されないので,ゲーム画面が操作アイコンだらけになることもない。
 ホイールがボタン機能を兼ね備えたホイールマウスがないと視点操作がややツラいが,いずれにせよショートカットキーはほとんど使わなくて済む。この点は,ショートカットキー命の最近のRTS群の中にあってちょっとポイントが高い。

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スペースコロニーは,ここまで離れて観察可能。なにげに凄いかもしれないスタートピアのLOD搭載グラフィックスシステム

見た目は派手,でも動作条件はそれほど厳しくない

 各宇宙人達は全部精度の高い3Dポリゴンモデルであり,ゲームフィールドは宇宙ステーション全景から,各区画に落ちている空き缶のクローズアップにまでシームレスへ視点移動できる高度なLOD(Level of Detail)システムを搭載した3Dエンジンによって描かれているため,スタートピアは結構ヘビーなゲームのように思える。
 ところが,グラフィックスオプションは全て「AUTO」の自動設定にしておけば,自己診断が的確なせいか,快適にプレイができてしまう。ちなみに今回,あえてPentiumII/450MHz+160MBメモリ+Voodoo3という,アイドス側が提案する動作可能条件最低ラインに近いマシンでプレイしてみたが,とくに目立ったもたつきはなかった。これは評価に値する。もちろん,ビデオカードの世代が新しいものになればなるほどビジュアル的に美しくなるのだが,まぁそれにしても最近のゲームにしては動作条件はそれほど厳しくない,といった感じだ。

 対戦は最大4人までに対応し,1vs.3,2vs.2といったバリエーションが楽しめる。ドーナツ型のスペースコロニーというゲームフィールドの都合上,領土拡張が一次元方向に限定されることから,一度攻め込まれると逃げ場がない。復活/逆転は困難を極めるはず。ゲームシステムから見て速攻はまずあり得ないが,結局,序盤の内政競争の勝利者がゲームの勝者となる傾向が強くなる。
 またこのフィールドの特性上,同盟軍の前戦は,必然的に自軍の前戦とは最も距離が離れた位置関係となるので,離れた同盟軍への援軍覇権は,お願いされてから行動したのではとても間に合わない。同盟軍同士の連携にはちょっとコツが必要になりそうだ。
 結論としては,対戦モードはかなり上級ゲーマー向けという感じだ。

プレイ感覚はシムシティ+ダンジョンキーパー

 スタートピアは,ゲーム画面を見ただけでは全体像が掴みにくいゲームかもしれない。筆者が今回プレイした感覚で例えるとすると,「シムシティ」+「ダンジョンキーパー」といった感じだろうか。
 決められた予算内で住人達のニーズにあった街作りをしていく箱庭感覚なエンターテインメント性はシムシティに通じるものがあるし,奇妙奇天烈な宇宙人達を雇い入れて彼らそれぞれの個性を活かした戦略を打ち立てて敵をうち破りつつ,自陣を拡大していくストラテジー性はダンジョンキーパーに近い。
 この二つのゲームタイトルを聞いてときめいてしまった人には文句なくお勧めできるタイトルだと思う。

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■発売元:アイドス・インタラクティブ
■価格: 8800円
■問い合わせ先:アイドス・インタラクティブ TEL 052-775-8380
■動作環境:Windows 9x/Me,PentiumII/300MHz以上(PentiumIII以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),DirectX 8.0a以上
■日本語版デモ(59.0MB):http://www.4gamer.net/patch/demo/data/startopia.html

StarTopia R & TM Mucky Foot Productions Limited 2001. Published by Eidos Interactive Limited under License from Mucky Foot Productions Limited.

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