信長の野望 蒼天録 #2

また一つ進化した合戦シーン

上杉軍主力との激突。敵左翼が混乱している今が勝機!

 蒼天録の三つめのフィーチャーとして特筆したいのが"合戦"だ。前作嵐世記において,リアルタイム・ストラテジーの要素を導入し,それまでのシリーズとは大きく変わった合戦模様を見せてくれた信長の野望。
 それが蒼天録においては,がらりと趣を変えている。嵐世記でRTS要素を導入したとはいえ,戦場マップをユニットが駆け回るという図式は,1983年登場の第一作より変わらぬ様式だった。つまり武将個人が前面に出ており,あたかも武将が騎馬に乗って刀を振り回しながら広い戦場を駆け巡っているというようなイメージだった。蒼天録では,武将が率いる"部隊"同士が戦うといったイメージがより大きく打ち出されている点が大きな特色として挙げられる。とくに戦場マップがなくなってしまい,部隊は基本的に前後に動くだけとなったため,より部隊同士の戦闘という側面が大きくなった。
 合戦シーンのスクリーンショットを見ていただければ分かるように,合戦における野戦はかなり狭い範囲で行われる。しかも一度に前線に投入できるのは,左翼・中央・右翼にそれぞれ1部隊づつ計3部隊のみだ。一つの合戦には最大10部隊が参加できるので(自分が引き連れていけるのは5部隊まで,残りの5部隊は共同軍として自家のほかの城や同盟国から借りてくる),残りの7部隊は後詰部隊(控え部隊)となり,プレイヤーの判断によって前戦の部隊と交代という形で投入されていく

スピーディな展開を見せる合戦

 この新しくなった合戦では,広い戦場マップを敵を求めて動き回ることがなくなったため,かなりスピーディな展開を見せるようになった。戦闘が始まると,両軍から部隊が走り出し,中央付近で激突。しばらくもみ合いとなっているうちに戦意が高まってくると武将が持つ特技を発動することができるようになる。やがて敵を押し込んでいくと,本陣と前線が離れてしまったので本陣を前に移し,そのことでさらに敵の士気がくじけ,総崩れとなって敗軍。という流れになっている。
 この間にプレイヤーが行うことは,特技の発動の有無と,後詰部隊との入れ替えのみとなっており,総じて戦闘の行われているシーンを見ているだけの時間が長くなった。だが展開が早いので,決してのんびりと見ているといった感じではなく,むしろ結構忙しかったりする。実際プレイしてみると,嵐世記のRTSタイプの合戦より忙しく感じられた。

 城攻めは,三の丸−二の丸と落としていき,本丸を落とした時点で攻める側の勝利となる。これも基本的に見ているだけだ。野戦と違うのは全部隊が一度に戦線に投入できるようになっていることだ。だが,一つの門を破壊できるのは同時に3部隊までとなっているため,それ以外の部隊は後方から弓矢・鉄砲で塀の内側の敵部隊を攻撃することとなる。もちろん戦意が高まれば特技を使うことができるようになるのは野戦と同じで,城攻めにおいては,部隊同士の戦闘というよりは門を挟んでの攻防がメインとなった。

マップ上をリアルタイムで軍勢が移動する。敵がこちらに進軍してくるのを見つけたら,手近な城から応援を呼ぼう 敵軍勢を押していくと発生する,本陣移動のイベント。これがでれば勝利はほぼ確定だ 前田利家の特技,三段撃ちが炸裂

新たな自分なりの戦術を見つけ出そう

野戦の準備画面,軍議のシーン。敵は3部隊しかいない,勝利は間違いなしだろう

 大きく変わった蒼天録の合戦。野戦では部隊は前後にしか動かず,それも自動的に動くようになっていたり,城攻めで塀を乗り越えるとか,雨の日でもやぐらから鉄砲で攻める側を撃つというようなことができなくなったため,合戦にプレイヤーの戦術の入る要素が少なくなってしまったのは事実だろう
 また部隊には兵数が設定されているが,兵の多いほうが有利かというと,長槍は騎馬に強く足軽に弱いといった,ジャンケンの相関関係のようになっている。例え相手が大軍でも,能力値が高く特技の豊富な優秀な武将と,兵種の相関関係をうまく使えば結構勝ってしまうなど,部隊同士の戦闘を打ち出してはいるのに,"結局物を言うのは武将個人の能力値と特技"となってしまっているあたりが,ちょっとちぐはぐな感じがしないでもなく残念だ。
 だが好意的に見れば,シンプルながらもスピーディな展開は,気を抜くことのできない緊張感を生み出しているともいえる。ユニットを動かしていく前作までに培った自分なりの戦術は使えなくなってしまっても,後詰部隊の投入時期や武将の特技の発動タイミングなど,蒼天録にはそれなりの戦術が必要となっている
 この合戦が肌に合うか合わないかが,蒼天録を好きになるか,そうでないかの分かれ目になりそうだ。

 

 

城攻めは,門を攻撃する部隊と援護する部隊とに分かれる 三の丸を攻略! 次は二の丸の攻略だ 二の丸攻略! 残すは本丸のみ


 以上,大きな特徴に絞って最新作の蒼天録を見てきた。RTS制を導入した前作が出たときも驚いたが,合戦の方式を大きく変えた本作も,発売後には賛否両論を巻き起こすだろう。
 個人的にはそろそろインターネット/LANでのマルチプレイ機能の追加(1プレイに時間がかかるが,接続し放題のサービスも増えてきてはいるし,関東地方の制覇を目指すとか,勝利条件を設定できるようにすればマルチプレイもいけるのではないだろうか)や,書割イベントシーンの拡充(3Dムービーにするとか,書割なら書割でもっと大きな迫力あるグラフィックスで見たい),武将のセリフなどを声優の音声で聞きたい(昔の覇王伝のFMタウンズ版には音声が入っていて面白かったのだが),1280×1024ドットなどの高解像度対応,最初からシナリオをもっと入れて欲しいなど,いくつも注文はある。だが,プレイしていてついのめり込んでしまったのは事実だ。やっぱり戦国シミュレーションゲームは信長の野望シリーズで決まり…… かな。

自軍総大将の知力が,敵総大将の知力を上回っていると起きる戦場選択シーン。それぞれに特徴のある地形となっている 城攻めの前には欠かせない,忍びを使った城壁破壊の工作 忍びを使って武将を暗殺することもできるが,返り討ちに合うことも
城攻めの前の準備段階のシーン。一点集中でいくか,バランスよく配置するか,それが問題だ 落城も間近となって,敵兵の士気もがた落ちだ 本丸に突入! 敵兵が残っていてもこの時点で勝利は確定する

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■発売元:コーエー
■価格:11800円
■問い合わせ先:コーエー TEL 045-561-6861
■動作環境:Windows 9x/Me/2000/XP,Pentium/333MHz以上,メモリ 64MB以上(Windows 9x/Me)・80MB以上(Windows 2000)・128MB以上(Windows XP),800MB以上のHDD空き容量
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