SEAL〜運命の旅人〜

Text by Seal
18th Oct.2001

 いまやRPGというジャンルは,シングルプレイだけでなくネットワークを介して大人数でマルチプレイを行うものも主流となっている。そんな中メディアクエストから発売される「SEAL〜運命の旅人〜」は,韓国GARAM&BARAMが開発したストーリー重視型のシングルアクションRPGだ。あまり目新しい部分やユニークな部分は見当たらないが,シングルプレイRPGの王道ともいえるシステムを採用してオーソドックスに仕上げているのが,ある意味魅力的。

 舞台は,シルツという孤立した大地。神が現実に存在しているファンタジーの世界で,シルツの周縁は断崖絶壁となっている。そこには人間以外にも,バリエと呼ばれるモンスターが闊歩していて,両者の間で闘争が繰り広げられてきた。
 本作は,以前からこの地に伝わる「予言」が真実になりそうなとき,予言の影響を受けて沿った行動をする人々と,未来を信じて予言に反発して行動をする人々の繰り広げるストーリーを描いている。イベントも豊富に用意されていて,プレイヤーを飽きさせないようにスムースにゲーム展開していくのが面白い部分だ。

派手なエフェクトだけではない戦闘シーン

 "アクションRPG"とひと言でまとめてしまったが,戦闘シーンにアクション性があるものやフィールドでの移動時にアクション性があるものなど,多様なシステムが存在する。本作では戦闘シーンにアクション性を盛り込んでおり,連続攻撃やカウンターなど派手なエフェクトやタイミングを利用したリアルタイム戦闘となっているのが特徴だ。
 モンスターはフィールド上を移動していて,接触すると戦闘シーンに移行する。戦闘シーンでは,時間と共に伸びていく"バー"によって行動が制限されていて,このバーがフルになると一回行動ができ,行動終了でバーがゼロに戻されるという仕組みだ。
 行動には近接戦闘,防御,逃走のほかに,魔法や技といった特殊技能が使える。近接戦闘時は,キャラクターが移動してモンスターに切りかかっていくが,移動中にモンスターと衝突するとお互いに弾き飛ばされてしまうのだ。これが本作の戦闘シーンを面白くしている要素の一つで,単に行動の順番が回ってきたからといって,必ず攻撃がモンスターに当たるということがない。ゲーム終盤のパーティの人数が多くなるに従って派手な乱戦となり,最大となる5人vs6モンスターでの戦いでは,衝突が起こらないほうが稀というほどだ。
 攻撃がヒットすると,しばらくの間動けなくなってしまうので,そのときに詠唱時間の長い魔法を当てるなど,連携攻撃が強敵と戦う場面で重要となる。タイミングよく攻撃を繰り出して,連携していくのが戦闘でのコツといえるだろう。また,防御時の効果もガード,はじき返しなど複数が用意されているのも面白い。
 魔法は,水,火,土を基にして30種類以上が用意されている。このほかにも金属,木を基にした特殊技がそれぞれのキャラクター固有のものとして用意されているのである。また技や魔法の使用やモンスターにダメージを与えると,それに応じた経験ポイントが入手できる。つまり,戦闘で活躍しなければ経験ポイントが得られないので,必然的に戦闘シーンでは技や魔法が乱れ飛ぶことになる。このあたりは,うまく作られている部分といえるだろう。

作り込みに甘い部分が見られるが全体的には好感触

 キャラクターのレベルは比較的ラクに上昇し,コツコツとモンスターを倒しながら進めるタイプではない。前述したようにストーリー重視となっているので,戦闘を楽しみながらストーリーを進めるうちに自然とレベルアップしているのである。ストーリーは結構長めとなっており,シルツの大地をあちこち駆け回らなければならないが,イベントシーンが多めで,またムービーが挿入される場面も多数用意されている。ストーリーがテンポよく展開するので途中で飽きてしまうことはすくないだろう。
 ゲーム終盤ではフィールドの移動時間が多くなってしまうが,馬車という街を簡単に行き来できる親切なシステムも用意されている。
 RPGの華ともいえる武具やアイテムは比較的少なめ。武器や防具のランクは5段階程度で,回復アイテムも体力と魔法力を合わせて8種類ほどだ。ダンジョンで入手するアイテムも少な目で,ショップで購入するのがメインとなっている。このあたりは物足りなさを感じてしまうだろう。

 全体的なゲーム展開は,オーソドックスにまとめたというイメージを強く受ける。「典型的なパターンで進展していくストーリー」といったほうが分かりやすいだろうか。逆の発想では,次にやるべきことが分かりやすく,ストーリー部分に関して行き詰まってしまうことはないといえる。
 一つ苦言をいわせてもらえば,細かい部分での作りこみが甘く,ゲーム途中で"ハマる"場面がしばしばあった。レベルが不足している状態でボス戦に突入して逃げることができなかったり,ある地点に足を踏み込むとそこのパズルをクリアしなければ脱出できなかったりするのだ。セーブスロットが豊富に用意されているので,逐次セーブしながら進んでいくゲームスタイルとなるだろう。まぁβ版でのプレイだったので,製品版では直っているのかもしれないが……。
 コンシューマライクな仕上がりで,気軽に楽しめるのが本作の魅力の一つといえるだろう。必要動作環境のハードルが低めに設定されているのも嬉しい部分。筆者はノートPCで本作をプレイしてみたのだが,戦闘アクション部分にもたつくことなく快適に動作した。気軽に楽しめる"軽め"のPCゲームとしてプレイしてみるのがお勧めだ。

 

このページを印刷する

■発売元:メディアクエスト
■価格:7980円 2001年10月26日
■問い合わせ先:メディアクエスト TEL 03-5805-3629
■動作環境:Windows 9x/Me/2000,PentiumII/333MHz以上,メモリ64MB,DirectX 7.0a以上,空きHDD容量300MB以上
■ムービー(15.28MB):http://www.4gamer.net/files/movies/seal_demo.mpg

(C) 1999-2000 by GARAM&BARAM. All Rights Reserved.