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サクリファイスのレベルエディタ
「Scapex」を使ってみる

Text by 虎武須(Kobs)
8th Mar. 2001

(注)画面写真は,クリックして大きな画面にしてください。メニューウィンドウなどに,細かいことがいろいろと書いてあります

 サクリファイスには,Scapexという非常に高性能なレベルエディタが付属している。強力なシナリオ作成機能により,このScapexは対戦マップだけでなくオリジナルのキャンペーンまでもが作成できるようになっている。しかし高機能ゆえにキャンペーンの作成には多大な時間と労力が必要なので,ここでは実践的な対戦マップの作成手順を見ていくことにしよう。
 まず必要なのは,当たり前だが
・頭の中にマップ全体の大まかなイメージを持つ ことだ。可能ならば,ざっくりでいいのでラフスケッチを書いておくのもいいだろう。あふれんばかりの才能があれば行き当たりばったりでも作れるだろうが,やはりある程度具体的な青写真が欲しいところ。なおマップ作成は,初めは2Playersを想定した小さなマップから練習したほうがいい。小さなマップで手順をマスターしてから,大きなマップにチャレンジすべし。

 
■早速やってみよう
  1 マップの形をザックリ決める

 実際の作業の第一段階は,まずエッジツールを使ってマップを好みの形に切り取っていくこと。この作業のときは,マップの全体を見渡せるように視点をはるか上空へ持っていくといいだろう。切り取った地面はいつでも簡単に復元できるので,細かいことは気にせずに気のむくままザクザクと切り取っていこう。

2 雰囲気Upでオブジェクトを置こう

 大まかな地形ができあがったら,次の作業はイメージを沸かせやすい手順を踏むべき。筆者の場合は,ここで建物やマナの泉といった主要なアイテム(オブジェクト)を配置することにした。アイテムを配置するとマップの雰囲気が一気に"それらしく"なり,イメージが出来上がりやすいのだ。アイテムは雰囲気作りに欠かせないものだが,配置しすぎるとプレイの邪魔にもなり兼ねないので,適度に加減することも必要。なんにせよ,細かい修正は後でもできるので,ここでは全体像を醸し出す程度の配置にとどめておこう。

3 地形に高低差をつける

 アイテムの配置が終わったら,次は地形に起伏をつける。地形の高低差はマップに複雑さを加え,単調なゲーム展開になるのを防ぐ効果もある。高低差を付ける作業をするときはワイヤーフレーム表示をオンにしておくと高低差をつかみやすい。スムーズツールをうまく使って,不自然な地形にならないよう気を配ろう。この作業は割と楽な作業なので,この段階で細部までやっておくと後が楽になる。

4 いよいよテクスチャの配置

 ラフの最後の作業はテクスチャの配置だ。配置したアイテムや地形に適したテクスチャを貼り付け,よりマップの雰囲気を高めていこう。

 さて,これでやっとラフが完成した。ここまでの作業を終えると,マップの完成像がかなり鮮明になってくるが,文字通りラフに作ったままのマップは,あちこちに不自然な部分が残ったままだ。
 ここからは,ブラシサイズを小さめにして細部を調整していく。地面を切り取った部分の不自然なエッジを修正し,地面テクスチャを貼り,細かなアイテムを配置し,ウィジェットと呼ばれる小型オブジェクトの配置をし,空の色や太陽光の強さなどの環境設定をする。
 あとは好みに応じて,魂や村人などの配置,ライトマップペインティング,爆発痕や流血痕といった痕跡の配置などをおこなう。なお,手間をかければかけるほどマップの雰囲気は良くなるので,「このへんでいいや」などと手間を惜しまないように。以上でマップそのものはできあがりというわけだ。

 
■まだ先は長い

 だが,これで対戦できると思ったら大間違い。面倒だがさまざまな設定をしなくてはならないのだ。ここからはシナリオ作成の領域にも関連してくるので,簡単に対戦マップとして必要な事項だけ挙げていくことにする。

1 サイドを追加しよう

 まず,プレイヤーサイドを指定する。サンプルマップは2Players用なので,プレイヤー2と農夫たちの属するサイドの二つを追加設定する。この部分は,慣れてきたらラフの2の行程で済ませておいたほうが便利だろう(慣れないうちはマップが出来上がってからでもよい)。プレイヤーサイドの設定が終わったら,すでに配置しているアイテムにサイド属性を付けていく。

2 いよいよ仕上げは近い

 マップ説明を書いたり,スタートレベルや最高レベルといったシナリオの基本設定をする。

3 最後は勝敗条件の設定

 最後に勝敗条件のトリガーを設定する。ここを設定しなければ対戦マップにならないので,かなり重要な作業。トリガーの設定は少々複雑なので,ここはマニュアルを熟読してほしい。恐らくマニュアルを読んだだけでは習得できないと思うので,何度も何度も試行錯誤を繰り返すことになるだろうが,習得できればより複雑で高度な条件の設定が出来るようになるので,色々と試してみてほしい。
 勝敗のトリガー設定のときに気を付けなければならないのは,すべてのプレイヤーサイドに勝利条件と敗北条件の両方を記述しなければならないこと。これを怠ると,いつまで経ってもゲームが終わらないという状況に陥ってしまう。

 
■というわけで締めくくり

 以上,ざっとマップ作成の手順を見たわけだが,対戦できる状態にまでマップを完成させるには,意外に手順がかかるのが分かると思う。まともなマップが作れるようになるには,試行錯誤の繰り返しが必要だ。しかし自分で作った3Dマップの中をぐりぐり動き回れ,そのマップで対戦できるという感覚は,とても感慨深いものがある。
 サクリファイスを購入したら,ぜひともScapexにもチャレンジしてみてほしい。サクリファイス公式サイトには自由にオリジナルマップをアップロードできる環境が整備されているので,良いなと思えるマップが出来上がったら世界中のプレイヤーに公開してみよう。こういう開発者側の意向により,サクリファイスのコミュニティが育まれているということは,プレイヤーとして非常に嬉しいことだ。サクリファイスの今後の展開に期待したい。

追記
 この原稿執筆用に作成したサンプルマップを「ここ」でダウンロードできるようにしてあるので,参考にしてもらいたい。あくまでサンプルマップなので,製品に付属のマップほど完成されたものでないことは,一応お断りしておく(ちなみに,実際に対戦マップとしても使用できる)。
 ダウンロードしたファイルは,サクリファイスのマップフォルダ(通常はC:\Program Files\Shiny\Sacrifice\maps)に入れるとプレイできる。ぜひお試しを!


■発売元:ズー
■価格:8800円
■問い合わせ先:ズー TEL 0268-38-1561 ■動作環境:Windows 9x/Me/2000,PentiumII/300MHz以上(PentiumII/450MHz以上推奨),メモリ64MB(128MB以上推奨),DirectX 7以上,最大4人のマルチプレイ可能
■英語版デモ(90.79MB):http://www.4gamer.net/patch/demo/sacrificedemo.exe
SACRIFICE:C 2000, Shiny Entertainment, Inc. All Rights Reserved. Sacrifice, Interplay, the Interplay logo and "By Gamers. For Gamers." are trademarks of Interplay Entertainment Corp. Shiny and the Shiny logo are trademarks of Shiny Entertainment, Inc. Uses Smacker Video Technology. Copyright C 1994-2000 by RAD Game Tools, Inc. Uses Miles Sound System. Copyright C 1991-2000 by RAD Game Tools, Inc. All other copyrights and trademarks are property of their respective owners. All Rights Reserved.