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スーパーバイク2001 featuring ミレニアムラウンド
Text by 大原雄介
27th Nov.2000

クリックすると拡大します  EA Sportsから好評発売中のバイクレースシムSuperbike(SBK)シリーズだが,その最新版である「Superbike2001」(SBK2001)の日本語版「スーパーバイク2001 featuring ミレニアムラウンド」のβ版が入手できた。英語版は,10月の時点ですでにCOMPUSAやFRY'sなどでてんこ盛り状態になって売られていたので,ファンははがゆい思いをしていたことだろう。

ややバランスを崩したか?
 大まかな構成自体は,前作のスーパーバイク2000とほとんど変わっていない。基本的には2000年のSuperbikeの実データをそのまま使い,サーキット,ライダー,バイクのすべてが今年のデータで楽しむことができる。新登場したHONDAのVTR1000SPWのトルクフルな走りや,さらに高回転化されたYAMAHAのYZF-7Rのエンジン特性を楽しむなどといった楽しみが増えたというわけだ。
 これを支えるのは,前作よりさらに高画質化されたグラフィックスエンジンである。画質をクオリティ最高とし,さらにMipMapも利用したところ,Athlon/1GHz+GeForce2 GTSというかなりのハイパフォーマンスなマシンですら,800×600ピクセルの画面サイズではかなりフレームレートが落ちる。特にスタート時のフレーム脱落ぶりはかなり激しいものであり,スムーズなプレイにはOver1GHzマシンを要求する鬼のようなゲームへと進化していた。
 もっとも,CPU性能を要求するのは決してグラフィックスのみではない。SBK2001では,極めてバイクがよく動く。路面のギャップを拾ったときやバンキング状態からのアクセルのオンオフといった外的条件に応じ,サスペンションやフロントタイヤが実にレスポンスよく反応する。SBK2000と比べても明らかに動きかたが違っており,バイクの動きを規定する運動方程式の項目が随分増えているのではないかと想像される。
 ただしこれを単純に良しと肯定するには,やや難しいものがある。一番イージーなモードの場合でも,バイク自体のレスポンスの中に,かなり実車に近いピーキーな性格が顔を出しており,SBK2000と比較して難度が確実に上がっているのだ。これを押さえ込むためか,ライダーアシストの機能がかなり強力になっており,これが逆に操作に違和感を感じさせることにつながっている。
 例えばコーナーからの脱出時,まだ引き起こし動作を始めていないのに勝手にバイクが起き始めるとか,逆に,ブレーキングが完了してコーナー侵入のときにちょっとだけアクセルを開けると勝手にバンクを深くしていくといった点がこれにあたる。だからといってライダーアシストを切ると,いきなりピーキーな動作になってしまい手に負えないじゃじゃ馬と化すわけだ。
 このあたり,SBK2000ではそもそもバイクの挙動がもっと抑えられていたため,ここまで強力なアシストでなくてもビギナーのプレイには不自由しなかった。もちろん初代のSBKやSBK2000などを存分にプレイしてきたプレイヤーにとっては,アシストを減らしてプレイすることにそれほど不自由はないはずで,それほどのデメリットにはならないと想像される。がしかし,ビギナー向けという点ではSBK2000よりもややバランスが悪くなったのは否めないだろう。

やりこむと面白さが顔を出す
クリックすると拡大します クリックすると拡大します クリックすると拡大します  その一方で,アシストをなるべく減らしてプレイすると随分面白さが増していることが分かる。その具体例がパワードリフトである。立ち上がりで不用意にアクセルを開けると,一気にリアタイヤは空転してテールが流れ始める。そこで適当に引き起こしながらさらにアクセルを開け続けると,簡単にパワードリフトが出来てしまう。これを応用すれば,コーナーでいち早く向きを変え,ちょっと引き起こして即加速という,実戦に近い走り方が可能になる。もっとも,これをやるとタイヤの磨耗も一気に進むわけで,使う頻度は考える必要があるが。
 同様に,早いスピードから倒しこんで旋回姿勢を取ると前後輪ともスライドを始める,いわゆるドリフト走法になる。アシストが効いているときは,ドリフトをなるべく押さえ込むようになっているのであまり長時間持続せず,逆にアシストを完全に切ると,アッという間にハイサイドかスリップダウンになるため,あまり現実的な走法ではないようだ。
 リアルさは,ほかにも転倒シーンなどでも実感できる。全般的に,SBK2000と比べてバイクのシミュレーションの質が上がったようで,挙動がよりそれらしくなっているのは確かに楽しい。これもあまりプレイには関係ない話だが,ハイサイドを起こしかけて押さえ込むライダーの動きもバリエーションが増えており,ライダーの動きとしてプログラムされたパターンの数も増えているように思える。

機能は過剰気味?
クリックすると拡大します クリックすると拡大します クリックすると拡大します  ところでプレイ画面であるが,見慣れない表示が増えている。画面中央下部に表示されるのが,新しい速度インジケータ。現時点での速度が丁度よければバーが中央にあり,不必要に遅い場合はグリーンに,不必要に速いとレッドにそれぞれバーが寄る。どちらに寄りすぎでも転倒あるいはクラッシュの危険性があるので,速度インジケータのバーをうまく中央に置きつづけるのがコツではある。
 が,このスピードはあくまでも理想ラインを取ったときのものなので,ラインを外して走る場合はあまり意味がない。またこの速度インジケータを消す方法は,今回の短期間での試用では発見できなかった(シミュレーションモードにすればいい,というものでもないらしい)。画面上半分のインディケータは設定を変えれば消すことができるが,タコメーターとギアポジション,ダメージインジケータ以外は本来不要のはずで,できればこういったものまで消せるオプションがほしいところだ。

 このほかにも,SBK2000と比べるとずいぶん機能が増えている。フリー走行のときなどにEscキーを押してポーズに入ると,コースの攻略案内が音声ガイド付きで登場するほか,フリー走行中は一旦リプレイモードに入れて,そこでテレメトリー画面を表示することもできたりする。
 このテレメトリー,初代SBKにはありながらSBK2000で省略されてしまって残念だったのだが,やや使いにくいながらも一応復活したのはちょっとだけ嬉しい。ただこれだけ多数の項目のデータのサンプリングがあるのなら,やはりピットでのセッティング中に見られるようにしてほしかったところだ。ちなみにリプレイ機能はSBK2000同様に充実したもので,テンキーでのコントロールが可能になったのはかなり便利である。

残念ないくつか
クリックすると拡大します  今回のはβ版ということもあるので,完成品としてのクオリティを論ずるのは無意味であるが,英語版のケアレスミス(なぜ芳賀がドゥカティに乗ってラップレコードを出しているのかとか)がそのまま反映されているのはちょっと残念なところ。できれば修正をお願いしたいところだ。
 それより問題なのは,SBK2000でも指摘した「顔の向き」が,相変わらず全然治っていないことだ。ライダーはコーナーの先を見ながら走らせているのであって,現在のバイクの進行方向を見つめていたらコーナーを曲がりきれずにクラッシュする。これが問題となるのは,ヘルメット視点でプレイする場合だ。コーナーに入ると全然進行方向が見えないから,極めて操作が難渋する。ヘルメットビューはただの飾りとして,それでプレイするのは諦めたほうがいいだろう。
■発売元:エレクトロニック・アーツ・スクウェア
■価格: 7980円
■問い合わせ先:エレクトロニック・アーツ・スクウェア
  TEL 03-5436-6499
■動作環境:Windows 95/98,PentiumII/266MHz以上(PentiumII/300MHz以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量500MB以上,Force Feedback対応
■英語版デモ(37.9MB):http://www.3dfiles.com/games/superbike2001.shtml
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