レイルロード タイクーン II:ゴールド 完全日本語版

Text by mog
26th Sep.2001

 メディアクエストから発売されている「レイルロード タイクーン II:ゴールド 完全日本語版」(以下RT2G)は,鉄道王を目指す鉄道経営シミュレーションの名作。RT2Gは,1998年にリリースされたレイルロード タイクーンIIに追加アドオンパックの"The Second Century",さらに12本のシナリオを加えたものだ。アドオンパックはマップやシナリオの追加だけでなく,軍用施設なども建設できるようになっている。
 本作が単なる鉄道シミュレーションではないのは,線路の敷設によって輸送を行い,それによる収益でゲームを進めるだけでなく,投資家となって株の売買を行えるという要素が含まれている部分だ。つまり,プレイヤーは鉄道会社の経営に加えて,投資家という二つの面で成功を収める必要がある。


産業の発展を見越した路線拡張が必須

クリックすると拡大します RT2Gは1939年から2030年までの91年間を舞台としていて,登場する機関車や施設の変遷が特徴の一つとなっている。
 ゲームをスタートすると,ほとんど何もない荒野が表示される。いくつかの街がすでに発展しているので,それらをつなぐように線路を敷設していくのが最初のステップとなる。敷設といっても,街に駅を建設し,その間を線路で結ぶだけだ。それぞれの街には特産物があり,それらの資源を輸送してほかの街で売却することによる利益が得られる。各々の街が求めている資源も分かるので,資源の流通をうまく考えながら路線を延ばしていくことが必要だ。資源には果物やコーヒー,材木などが用意されていて,さらに時代が進むと自動車やウランなども登場しはじめる。
 時代の移り変わりと共に機関車の種類や資源,施設などのゲーム内の要素も変化する。最初は蒸気機関車ばかりで編成していたものがディーゼル機関車となり,さらには電気機関車へと変わっていくのだ。儲けがでていた古い路線が時代の移り変わりと共に,衰退していくこともあるし,閑散としていた路線が突如として魅力的な売り上げをする路線に変化することもあるのだ。登場する機関車は34種類にもおよぶので,常に利益を上げるように工夫していかなければならないのが面白い部分だ。

●高度成長期の日本マップでのプレイ例

 RT2Gには日本マップが用意されているので,序盤の手順を紹介しよう。
 まずは東京−横浜間に線路を敷設して簡単な路線を作成する。駅周辺の環境(建物)によって資源の需要と供給が決まっている。この路線では住宅地が多く,旅客に恵まれた路線なので,ある程度の収益を上げたらさらに東京湾をぐるっと廻って千葉まで路線を延長するのがいい
 次のステップは,貨物で稼ぐ。小山では穀物が大量に生産されていることに注目し,穀物を必要としている街へと運ぶことで収入となる。しかし,これだけでは微々たるものなので,資源を加工した製品を大都市に持って行くことが大きな利益を生み出すのである。幸いにも浦和に食品工場があるので路線を延長して穀物を運搬し,さらに製品を東京まで運搬するのだ。
 この程度までの路線が出来上がればある程度の利益が上がるので,列車数を増やしたり,貨物車を増やして一回での往復での運搬量を増加させるのもいい。時代が進むにつれて,産業が重工業へ変遷していくので、路線拡張にあわせて収益の主軸を移していくことも必要だ

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 RT2Gでの序盤は,マップをマクロ的視点で把握し,どこにどのような産業があるのか,それをどのようにつないでいくのかという点に頭を使うこととなる。大事なのは供給される資源すべてを使い切ることよりも,自分に必要なものだけを取捨選択することだろう。

株の売買によって会社を大きくせよ!

 RT2Gにおいては鉄道会社の経営のほかにも,個人資産を増やす投資家という側面もゲームを進めるうえでの重要な要素だ。業績によって株価が変化するだけでなく,信用買いなどが用意されていて,コンピュータプレイヤーの鉄道会社を乗っ取ることができるのである。
 これが,RT2Gを単なる鉄道経営シミュレータで終わっていない部分だ。会社の経営が軌道に乗り,利益を計上し続けていても,会社はそれほど大きくはならない。また会社が倒産してしまっても,投資家として成功していれば(資金があれば)再起が可能となるのも面白い部分だ。
 RT2Gではゲーム難易度を3段階に変更でき,株取引の部分が主に異なってくる。最も簡単なモードでは,自社株しか売買ができなく,鉄道の経営が主体となるゲームを楽しめる。普通の難易度のアドバンスドモードでは他社の株が売買できるようになり,上級モードでは,株の信用買いと空売りなどによって高度な経営を楽しめるのだ。
 また,難易度の変化は資源の売却時にも影響する。上級モード以外では,資源を運搬したときに必ず最低金額で売却できるが,上級モードでは10段階の価格がつけられるのだ。価格は同じ資源や製品を同じ街に大量に運んでいるか,需要のない資源を運んでいるかなどで決定されている。つまりゲームだからといって,同じ資源を無限に買ってくれる会社はないということである。

●上級モードでのライバル会社が仕掛けてくる手順
  1. ライバル会社が自分の会社の株を買い始める。画面右下に買い取りを告知するウィンドウが頻繁に表示される
  2. 対策として自社株のシェアを高めておく。会社の資金は路線拡張に廻し,手持ちの資金が足りないときは信用買いで対策を進める
  3. 株価が上昇しプレイヤーの購買力もどんどん上がる。実際は,借金も増えているが株が相殺しているのであまり表面化してこない。会社が順調な印象を受けるので強気な投資が続いていく
  4. 株価が$100を超えて業績が上向きだと1:2,場合によっては1:3の株式分割が実施され,その直後,ライバル会社は買い取っていた株を一気に手放す
  5. $50前後だった株は$30を切ってしまう。追証が発生
  6. 一気に下落した株価に追い打ちをかけるように追証が発生するので,さらに売却しなければならなくなる。$10前後まで落ち込むと最悪の事態
  7. 株価は底値のために,再びライバル会社に一気に買い占められてしまう。つまり会社は乗っ取られた状態となる。会長職を解任され借金だけが残る

 本作では株についての部分がかなり細かく作られているので,株知識がある程度必要となる。とはいえ,経済モデルや株価の上下動はかなり単純化されている。その単純化の度合いと列車運行のバランスが,密接にそして絶妙に絡み合っているところが本作の肝だ。
 ゲーム後半は数字とにらめっことなるが,考えていた作戦がうまく行ったときには,机の下で握り拳をするような内に秘めた喜びが得られる。マルチプレイも用意されているので,コンピュータ戦では味わえない駆け引きを楽しむこともできる。
 "A列車"シリーズと大きく異なるのは,街の発展だけでなく鉄道会社を運営しながら株でライバル会社を乗っ取るなどの戦略が求められるところ。じわじわとライバル会社を追い詰めるような,"大人の戦略"を楽しむにはうってつけの一本だ。

 

■発売元:メディアクエスト
■価格:6980円
■問い合わせ先:メディアクエスト TEL 03-5805-3629
■動作環境:Windows 9x/Me,PentiumII/400MHz以上(PentiumIII/600MHz以上推奨),メモリ64MB(256MB以上推奨),空きHDD容量350MB以上,DirectX 7.0a以上
■英語デモ版(45.44MB):http://www.4gamer.net/files/demo/setupex_RailII.exe
■ムービー(16.33MB):http://www.4gamer.net/files/movies/rt2g.mpg

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