ファンタシースターオンライン

Text by Seal
5th Feb.2002 

 2000年12月にドリームキャスト版(以下,DC)として発売され,国内外を合わせて15もの賞を受けたセガの「ファンタシースターオンライン」。その半年後の2001年6月にはレベル上限の引き上げや新難度の"Ultimate",新アイテムなどが追加された「ファンタシースターオンラインVer.2」がリリースされ,これも大ヒットを記録した。そのアクションRPGの代表作が,ついにPC版として登場したわけだ。
 PC版は,現在(2002年1月)での最新バージョンとなるVer.2を基に制作されており,画期的なシステムといえるワードセレクトシステムがさらに拡充されているのが特徴といえる。DC版での日本語,英語,フランス語,ドイツ語,スペイン語の5か国に加えて,PC版では中国語(簡体字,繁体字),韓国語の2か国を加えた計7か国の翻訳システムを搭載し,文字通り言語の壁を取り払ったゲームとなったのだ。
 しかし本作の特徴は,コンシューマ出身ならではの遊びやすさと,奥深いゲームシステムが融合している部分にあるといえる。

外見にこだわったキャラクター作成が可能

調査するステージは洞窟や森といった屋外だけでなく,研究施設のような場所もある

 突如謎の大爆発が起こった惑星ラグオルを調査すべく,プレイヤー操るハンターが宇宙船パイオニア2から直接惑星表面へと降り立って送り込まれることとなった……というバックストーリーを持つ。
 ストーリーに大きく関わってくるクエストは,ネットワークに接続せずに一人で楽しめるものからマルチプレイで挑まないとクリアできないものまで,多種多用のものが用意されている。また,ダウンロードできるクエストは随時追加されていく予定(DC版ではすでに10を越えるダウンロードクエストがある)となっており,今後の発展が期待できるのも大きな魅力の一つといえる。PC版は,原稿執筆時点の2002年1月中旬では一つのダウンロードクエストしか用意されていないが,いずれすべてがプレイできるようになるだろう。
 本作のゲームシステムは,ロビーでコミュニケーションを行う部分と実際にゲームを行う部分の大きく二つに分けられる。ロビーのシステムは,名前だけの簡素なチャットではなくグラフィカルなものとなっており,プレイヤーが操るキャラクターを移動させることも可能だ。ただ単に「ロビー人数50人」と表示されるよりも,視覚的に混雑していてにぎやかな雰囲気が伝わってくるのが楽しげな部分だ。
 ロビーで仲間を募り,チームを作成したらラグオルの調査を開始する。チームは最大4人までが参加でき,このチームでモンスターや強敵となるボスモンスターを倒していくのだ。もちろん途中参加や,パスワードをかけて知人以外のプレイヤーが入れないようにすることも可能だ。ロビーで気の合うプレイヤーを見つけてどんどん仲間を増やしていけば,PSOが楽しくなっていくことだろう。

 キャラクターの作成は,少しユニークなシステムを採用している。職業は,剣などによる接近戦を得意とする"ハンター",ライフルなどの長距離戦に長けた"レンジャー",魔法を得意とする"フォース"の三つに大別されるが,これに種族を掛け合わせたものを選択していく。種族は,基本的な身体能力を持つヒューマン,ファンタジー世界のエルフのようなニューマン,そして魔法が使えないが特殊能力を持つアンドロイドの三つがある。基本的には職業と種族を掛け合わせたものとなっているが,フォースのアンドロイドなど,設定上存在できない組み合わせもある。各種族と各職業の特徴をよく把握して選ぶのがベストだろう。
 また,キャラクター作成時には髪型や服装,体型までもがカスタマイズできるのだが,その組み合わせは無限に近く,全く同じ外見を持つキャラクターを作ることは難しい。体型は長身の痩せ型や,短身の太めなどだけでなく,グラマラス(男性キャラクターでは筋肉隆々か)なものも用意されているので,自分好みの外見でキャラクターを作成しても面白いだろう。

通称"風呂"と呼ばれている,HPとTPを回復する装置。見つけたときは喜び勇んで飛び込もう 最初のステージのボスは,なんと巨大なドラゴンだ。弱点の頭を狙っていかなければ倒しきれない ハンターを助けてくれる生体装甲の"マグ"。回復アイテムを与えることで,好みに応じて成長させられる マグが成長すると,こんな技を習得する。"技"は何種類かが用意されており,どれも強力にハンターをサポートしてくれる

アイテム収集だけではない楽しさ

最大4人まででチームを組んでエネミーと戦っていく。オフライン時よりも数が多く出現するので,協力しなければ倒しきれない

 PSOのゲーム自体はアクション性が高く,高度なテクニックを要する部分も少なからず持ち合わせている。しかしアクションゲームが始めてというプレイヤーでもそこそこプレイできるのは,同社ならではのバランス設定といえるだろう。難易度は4段階用意されていて,当然,高くなるほどモンスターも手ごわくなっていくといった仕組みだ。
 RPGの要ともいえるアイテムについても豊富に用意されており,100種類以上もの装備品だけでなく,レアアイテムもいくつか用意されている。レアアイテムは出現率が非常に低く設定され,ゲームを突き詰めてプレイしてしまうと,アイテム収集のイメージが強くなってしまうことも否めない。しかしレアアイテムを入手したときの感激を求めて,繰り返しプレイしてしまう中毒性も秘めているのはさすがといえる。
 さらに,"マグ"という成長する生体防具があるのも,繰り返しプレイしてしまう一つの要因。マグとは,それを持つハンターの腕力や魔力,回避力などを上昇させてくれる便利なアイテムだ。マグに回復アイテムを与えることによってこれらのパラメータを上昇させられるが,ある一定ラインから外見にも影響する分岐進化を始めるのが面白い部分といえよう。また,"あるレアアイテム"と組み合わせれば,同社のほかのゲームに登場したキャラクター(オパオパなど)になることから,これを求めてプレイヤー同士のトレードなども盛んに行われている
 ほかにもプレイヤー同士の決闘ができる"バトルモード"や,設定された条件下でクリアタイムを競う"チャレンジモード"など,より深く長くプレイできるようなシステムも用意されている。チャレンジモードでは一定ライン以上の成績を残すとレアアイテムをもらえるが,マップを暗記しておくだけでなく,高度なテクニックも必須となるほどの難しいモードだ。これを最高ランクでクリアすると名前の表示が変化するので,ロビーでクリアの秘訣を聞かれることもよくあることだろう。

 もともとコンシューマ用タイトルということもあり,ゲームパッドの利用を前提としたインタフェースを持っている。ゲームパッドを利用しない場合ではキーボード+マウスでの操作となるが,序盤のアクション性があまり高くない状況ではなんとかプレイできるものの,後半では素早い動作が行えなくなってしまう。本作を100%楽しみたいならば,ゲームパッドが欠かせないアイテムとなる。

 PCゲームファンにとっては,いろんな意味で"ディアブロライク"というのが一番近いイメージといえるが,それだけではない要素もふんだんに盛り込まれている。DC版で大ヒットとなった本作がいよいよPCでプレイできるようになったので,プレイしたことのない人はこれを機にぜひ遊んでもらいたい。すでにウルティマ オンラインやエバークエストなどで遊んでいる人も,新鮮な気持ちでプレイできるのではないだろうか。
 逆にDC版をプレイしたことがある人には,ゲーム自体に目新しい機能がないのが残念な部分といえる。ローディング時間の短縮などを筆頭に,追加要素なしでキャラクターを100人まで作成が可能,などのハードウェア面の特徴を生かしたメリットはあるが,ソフトウェア面でのPC版ならではの機能がほしかったというのが正直な感想だ。

ラグオル地表面には,このような美しい自然美が残されている。謎の爆発事故を一瞬忘れさせてくれる 未鑑定のアイテムを入手したら鑑定屋に持っていこう。レアなアイテムだったときの感動は,言葉では言い表せないプレイヤーだけの喜び ハンターたちの拠点となるパイオニア2は、居住施設なども用意された巨大宇宙船だ 7か国語に対応したワードセレクトシステム。言語を超えたコミュニケーションを!

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■発売元:セガ
■価格:6800円
■問い合わせ先:セガ TEL 0570-000-354
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/450MHz以上(PentiumIII/700MHz以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量600MB以上(1.3GB以上推奨),DirectX 8.1以上
■スクリーンショット集 #1#2
■体験版(13.0MB):http://www.4gamer.net/patch/demo/data/pso.html

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