Back
パンツァージェネラルIII スコーチド アース 完全日本語版
Text by 成宮 澪
23rd Apr.2001

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  "パンツァージェネラル"といえば,重厚さとシックな雰囲気が人気の,SSIのウォーシミュレーションシリーズ。第二次世界大戦のヨーロッパ東部戦線(独ソ戦)という実にシブい題材を扱った最新作「パンツァージェネラルIII〜スコーチド アース〜完全日本語版」(以下,PG3)が登場だ。いつものごとくリアルさにこだわった内容で,当然ながら兵器,作戦,指揮官などはすべて史実を忠実に再現している。戦車ケーニヒス・ティーガー,ソ連侵攻が目的のバルバロッサ作戦,マンシュタインやグーデリアン(ともにドイツ軍)といった指揮官の名称を聞けば,通の人にはたまらないのではないだろうか?
 ゲームは"戦術レベル"な内容となっており,システムにはオーソドックスなターン制とヘックス方式を採用している。プレイヤーはドイツ軍およびソ連軍の指揮官となり,モスクワのクレムリンもしくはベルリンの総統官邸を目指して戦うのだ。生産の要素がないので,シナリオごとの目的に合致した部隊を編成できるかどうかが勝利への重要な要素となる。また,優秀な将校(指揮官)を部隊に配属できるかどうかという点もポイントとなるぞ。

3Dで描写されるリアルな戦場
クリックすると拡大します  システムにオーソドックスなターン制を採用しているため,つい地味に映ってしまいがちだが,実はそんなことはない。
 ビジュアル面は,シリーズの前作に当たる「Panzer General 3D Assault」(「パンツァージェネラル3D 完全日本語版」としてメディアクエストから発売中)から採用された,3Dによる描画方式を採用している。マップは趣のあるテクスチャが使用され,実際の地形に合わせてゆるやかに凹凸が再現されている形だ(都市にはそれを表す建物が建つ)。霧,雨,雪といった天候も再現され,プレイヤーの視認状況も変化する仕組みだ。さらに,歩兵や戦車,戦闘機といった各種ユニットも,3D CGでモデリングされたものが使われている。すべてが3Dなので,当然ながら視点の変更や拡大縮小は自由自在だ。
 また,各種戦闘ユニットにはアニメーションが豊富に用意されている。例えば,急降下爆撃機に爆撃指示を与えると,爆撃機のユニット(もちろん機種ごとにグラフィックスは異なる)が爆撃ポイントまで飛行していき,実際に急降下爆撃を敢行するのだ。爆撃を受けた側も炎を上げたり,損傷を受けたことを示す煙を上げたりと目を楽しませてくれる。まさに,"神の視点"という感覚で東部戦線を満喫できるのだ。

戦いを制するには優秀な将校が必要
クリックすると拡大します  PG3において勝利するために重要となるもの。それは,部隊編成とその部隊に配属させる将校=現場の指揮官である。優秀な将校であればあるほど,同一ターン内で複数の命令を実行できるので,それだけその部隊が活躍するというわけだ。
 移動や戦闘などの命令を部隊に実行させるには,将校が持つ"アクション数"を消費して行う。アクション数は将校の階級に応じており,重要な部隊にはやはり有能な指揮官を配置することが重要だ。配属先の部隊を変更する"再配属"や"罷免"などもあるので,うまくやりくりして優秀な軍団を編成しよう。ちなみに,長丁場の戦いとなるキャンペーンシナリオの場合の将校は,戦闘を経験して各種項目の経験値を一定数獲得すると,昇進させることができる。昇進するとアクション数が増えるという,"育てゲー"的な要素もあるのだ。
 また,将校の優秀さを示すものに「特別将校技能」というものがある。利用することでそれだけ戦闘を有利に展開できるスキルのことだ。"戦術家"や"強行偵察""全天候"など全部で20種類が用意されており,優秀な将校ほどその数が多い。指揮官は,こうした能力の有無からくる得手不得手があるので,それもよく考慮して配属先を決定しよう。
 なお,部隊が全滅してしまうと,将校も戦死する可能性がある。よって,虎の子の将校の部隊には優先的に新兵器を与えたり,補給のタイミングに注意したりしよう。

オリジナルシナリオも作成可能!
クリックすると拡大します  PG3の特色の一つに"バトル・ジェネレーター機能"がある。通常はドイツとソ連以外の国家は出てこないのだが,バトル・ジェネレーターを用いてオリジナルシナリオを作れば,イギリス軍とアメリカ軍も登場させられる
 キャンペーンシナリオでは史実を再現,もしくはあり得たもう一つの歴史を創造する楽しさを味わい,バトル・ジェネレーターではまったく架空の歴史も楽しめるのである。数年前にブームだった小説の"IF戦記"ものよろしく,プレイヤーなりの新しい歴史を創造してみてはいかがだろうか?

 PG3はリアルさに徹しているため,まったくの初心者には少々ツラいかもしれない。しかし,手軽にするべく簡略化せずキッチリと作り込んでおり,非常に評価に値する。
 では,まるっきり初心者向けに作られていないのかというと,そうでもない。チュートリアルシナリオも用意されているし,部隊の初期配置を自動化する機能なども搭載されている。日本語マニュアルも大変親切な作りだ。実は筆者はこのシリーズにキチンと触れるのは初めてだし,ウォーシミュレーションの初心者ではあるが,こうした部分により十分に楽しむことができた。
 マニアックな内容ながらも,入門編としてもお勧めである。また,第二次世界大戦を題材にしたボードゲームを楽しんでいる(楽しんだことのある)人にもお勧めだ。インターネットやLANを介して最大4人までのマルチプレイも可能なので,ぜひ活用して友人と楽しんでもらいたい。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します クリックすると拡大します
司令部画面の装備保管テント内を表示したところ。ここから必要な兵士や兵器を選択して部隊を編成し,右のテントにいる将校(指揮官)を配属させるのだ シナリオ・バルバロッサ作戦の一場面。右手に見える街はキエフ。ドイツ軍装甲部隊が猛攻をかけているところだ 画面は,バトル・ジェネレーターのマップエディタで作成したベルリンのマップ。戦力や登場国などは自由に設定可能だ


■発売元:メディアクエスト
■価格:7980円(5月31日発売)
■問い合わせ先:メディアクエスト TEL 03-5805-3629
■動作環境:Windows 9x/Me,PentiumII/266MHz以上,メモリ64MB以上,空きHDD容量500MB以上
■英語版デモ(39MB):http://www.3dfiles.com/games/panzergeneral3.shtml

(C) 2001 The GAME Studios. All rights reserved. Panzer General and the SSI logo are registered trademarks of The Learning Company. All other trademarks are the property of their respective owners.For Sale in Japan Only. Package Design: Louis Saekow Design, LLC.Historic photos on cover courtesy of Imperial War Museum.