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オペレーション フラッシュポイント
コールド ウォー クライシス日本語マニュアル付き英語版
Text by 虎武須(Kobs)
9th Aug.2001

クリックすると拡大します  東西冷戦下の1985年。ソビエト連邦で反ペレストロイカ派の軍部が,核兵器を奪取してクーデターを起こした。打開策を持たないソ連は,アメリカとの協議の末NATO軍の介入を要請した……
 こんな物々しい架空のバックストーリーで始まるのが,「オペレーション フラッシュポイント コールド ウォー クライシス日本語マニュアル付き英語版」(以下OFP)だ。
 OFPの前評判はFPSファンの間では上々だったが,国内代理店が決まらないことから入手が困難ではないかという話題が,一部のファンの間で起こっていた。しかしイマジニアから急遽発売されることが決定し,胸をなでおろすに至ったのだ。
 そんなOFPだが,秋頃には完全日本語版のリリースも予定されている。英語が苦手な人はそちらを待つのもいいかもしれない。

さてこのOFPは,チェコ共和国の"ボヘミア・インタラクティブスタジオ"社という,聞き慣れない会社の開発したゲーム。しかし,OFPはいい意味で"予想を大きく裏切る"傑作に仕上がっているのだ。基本的なゲームシステムはミリタリーFPSなのだが,ごく一般的なものとはひと味もふた味も違う。個人的には「戦場シミュレーション」と呼びたいほどリアリティ溢れる,細部にまで凝りまくった作品なのだ。

緊迫感あふれる戦場を体験できる!

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  OFP最大のキーワードは,「臨場感」もしくは「緊迫感」。ゲームをプレイしている間は,常に自分が戦場にいるかのような錯覚を覚えてしまうほどだ。それはOFPがグラフィックス/サウンドなどの五感に訴える部分を始めとして,"完全なリアル指向"であることに起因しているのだろう。だが,それよりもエンターテイメント性を抑制していることによるところが大きいと筆者は感じた。
 実際の戦場には,映画「ランボー」や「コマンドー」などのような,一人でバッタバッタと敵を根こそぎ倒してしまう"スーパーヒーロー"なぞいるわけがない。このスーパーヒーローを演じられるのがこれまでのFPSであり,逆にその爽快感を抑制して戦場における焦燥感を表現したのがOFPだといえる。
 ハッキリいって,FPSゲームに爽快感を求めるプレイヤーにはOFPはお勧めできない(もちろんある種の爽快感はあるが)。敵が過ぎ去るのを茂みの中でじっと耐え,はるか遠くの目的地までを延々と走り続け,挙句の果てに理不尽ともいえる倒され方をするという,実にストレスが貯まるゲームだからだ(笑) しかしそれがゆえに,緊迫感をいやがおうにも感じざるを得ないし,まるで実際に戦争に参加しているような気分になれることは間違いない

細部にまでこだわった完成度が高いタイトル

クリックすると拡大します  OFPでプレイヤーが操縦できる乗り物は,30種類以上にもなる。ジープや輸送トラック,装甲車に戦車,果ては攻撃ヘリまで,ゲーム中に登場するほぼ全ての乗り物はプレイヤーが操縦できるようになっている。しかも自軍だけでなく,敵の車両を奪い取って運転するといった実戦ではあたりまえのことももちろん可能だ。
 車両ももちろんリアル指向で,戦車を例に取ると,少なくとも「コマンダー」「射手」「運転手」の三人が搭乗しなければ完全な行動は取れない。たとえ一人だけ生き残って運良く戦車に乗り込めたとしても,攻撃すら出来ないというシビアさがあるわけだ。ちなみに一つ一つの乗り物は,コクピット内部や挙動などを実に凝って作られており,それだけで独立したゲームになるほどのクォリティを持っている。
 これまでの一般的なFPSに登場する乗り物は,FPSの"キャラ同士の戦い"というゲーム性を崩さないためか操作を簡素化していたが,OFPはこれに当てはまらない。テクスチャから操作性,挙動に至るまでが実にリアルで,例えば坂道などでは戦車の"重さ"を実感できるほどなのである。

 さて近年のFPSは,BOT(コンピュータ操作のプレイヤー)のAIが以前に比べてずいぶん優秀になってきているが,OFPのAIは桁外れに良くできている。感情を持っているかのごとく自然なリアクションをするうえに,射撃の正確さを加えれば,もはや実際の上級プレイヤーを相手にしているかのようだ。優れたBOTが用意されているということは,シングルプレイでも十分すぎるほど面白いということに繋がるだろう(実際にシングルプレイは非常に面白い)。マルチプレイでほかのプレイヤーの操る敵兵(もしくは味方)の"動き"を観ていると「うわ,ヘボい!」などと思ってしまうこともあるかもしれない。

中毒性があるキャンペーンモード

クリックすると拡大します  ゲームモードには,キャンペーン,シングルミッション,マルチプレイの三つが用意されている。キャンペーンはストーリーに沿った膨大な数のミッションを一つずつクリアしていくものだが,これも実に凝っていて面白い。NATO軍の一兵士から始まり,白兵戦,隠密行動による破壊工作,戦車戦,攻撃ヘリによる空対地戦,狙撃,そして小隊を率いての部隊戦等々,およそ思いつく限りの戦闘が凝縮されているのである。一方,ミッションの出来映えも秀逸で,何度も繰り返しプレイしたくなる中毒性はすばらしいといわざるを得ない。
 シングルミッションは,キャンペーンとは異なったミッションが用意されている。これでもさまざまな戦闘スタイルを楽しめるが,付属のミッションエディタを使えば簡単かつ完成度の高いオリジナルミッションが作成できるのだ。またWEB上で数多くのオリジナルミッションが公開されているので,これらをコレクションするのも楽しいだろう。

★★ ミッションパックがダウンロードできるファンサイト ★★
 http://page.freett.com/zipanghq/
 http://isweb13.infoseek.co.jp/area/kokoku/index3.shtml

 マルチプレイでは用意されたマップやミッションエディタで作成したオリジナルマップを使って,Co-op戦やキャプチャー・ザ・フラッグ,デスマッチなどが楽しめる。LAN接続とTCP/IPを使用したインターネット接続の二種類がサポートされているが,ゲームに付属する"GameSpy Arcade"を始め,イマジニアでサポートしているロビー サービスなどを使えば,対戦相手を見つけることができるだろう。OFPのCo-op戦はかなり楽しく,時間を忘れてプレイしつづけてしまった。

 最後に。
クリックすると拡大します  OFPは広大なマップに膨大な数のオブジェクトが存在するので,さぞかし動作が重いような印象を受けるが,今現在流通しているごく平均的なスペックのPCでもとくにストレスなくプレイできる。筆者はPentiumIII/800MHz,GeForce2 MXというスペックでテストしたが,解像度1024×768ドットでもストレスを感じる場面はほとんどなかった。それ以上の解像度になるとさすがにもたつきを感じることもあったが,それは"比べてみれば"という程度。ちなみに「こちら」のデモ版よりもかなり軽快に動作するため,エンジン部分に改良が加えられているのかもしれない。デモ版の動作が重くてがっかりした人も,ぜひ製品版でもう一度試して頂きたい。

 ……激しい戦闘の末に仲間とはぐれ,独りうっそうとした森の中を彷徨う。あたりには仲間の死体が無惨に転がっている。静かな森の中,小鳥のさえずりが聞こえ,遠くからかすかに敵の戦車のキャタピラ音が聞こえる。茂みに伏せてあたりを見渡せば,AKを構えた敵の兵士達の姿が見え隠れしている……
 静寂の中にこそ緊迫感が生まれる,そんな演出が心憎いではないか。はっきりいって,OFPのキャンペーンは非常に難易度が高い。しかし極限の困難を乗り越えたときの達成感は,ほかでは味わえない代物だ。ミッション終了後に「あぁ! 俺は生きている!」と思わせてくれるゲームなど,今まであっただろうか? ヘビーゲーマー諸君,OFPをやらずして何をするというのだ? OFPはFPSファン,シミュレーションファン,ミリタリーゲームファンのすべてを満足させる,筆者イチオシのゲームだ。

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■発売元:イマジニア
■価格: 7800円
■問い合わせ先:イマジニア TEL 03-3343-8900
■動作環境:Windows 98/Me/2000,PentiumII/400MHz以上(PentiumIII/600MHz以上推奨),メモリ64MB(128MB以上推奨),DirectX 8以上
■英語版デモ(63.9MB):http://www.4gamer.net/patch/demo/data/ofp.html

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