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| ポールポジションを獲ったときなどにはシューマッハが笑顔で祝福してくれる(笑) |
今年(2002年)のF1で10戦めにして歴代記録に並ぶ5度めのチャンピオンシップを獲得し,現在も年間最多優勝記録を更新中の世界一速いドライバー"ミハエル・シューマッハ"。彼が幼いときからレーシングカート(以下カート)に乗っていたという話は有名だが,故アイルトン・セナや元F1ドライバー(現在CARTで活躍中)の高木虎之介,中野信治など,カート出身というプロドライバーは案外多い。最近では日本各地に専用サーキットがあるなど,カートは子供,大人を問わず多くの人が楽しんでいる身近なモータースポーツである。そんなカートの世界を再現したのが,「ミハエル・シューマッハ・カート 2002」だ。
PC,コンシューマ共に,カートを題材にしたゲームは相手を邪魔するアイテムや加速するアイテムなど,非現実的な要素を採り入れたゲーム性の高いものばかりが目立ち,カートの本質を再現したものはほとんどないというのが現状だ。しかしミハエル・シューマッハ・カート 2002は,シミュレーション要素をメインとした"正当派カートゲーム"である。
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| タイムトライアル,チャンピオンシップではシューマッハと戦うことも可能だ。けど,あんまり速くない(^^; | レーシングスーツ,カートの色は個別に組み合わせることができる |
■テクニックを駆使し,タイムアップを目指せ
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| カウンターが必要のない程度にカートを流し,アウト側に綺麗に抜ける。一歩間違えばコースアウトだ |
ゲームモードはトレーニング,タイムトライアル,チャンピオンシップが用意され,各モードがさらに3種類のクラス(FUN,ICA,FSA)に分けられている。ゲームモードによって上位クラスにステップアップできる条件が異なり,使用するカートも上位クラスになるほど扱いが難しくなるので,当然それなりのドライビングテクニックが必要となってくる。
トレーニングは,ゴーストカーを相手に1周のラップタイムを競うモード。初期設定のゴーストカーのタイムを上回ると,次に現れるゴーストカーは最速ラップを記録した自分自身の姿だ。このゴーストカーは初期設定状態にはリセットできるが,残念ながら消すことはできないようだ。どうしても気になってしまうので,ゴーストカーなしというオプションも付けてほしかったところ。
各クラスすべてのコースで最速ラップを叩き出せば,次のクラスへステップアップできる。なお,最速ラップのゴーストカーはファイルに保存されているので,このファイルをメールで友人に送信したり,公式サイト"MSRW Kart 2002"(英語)に三つまでアップロードしておくことができる(要登録)。当然,すでに登録されている速いタイムのゴーストカーファイルを入手して,走りの参考にするなどといったことも可能だ。
タイムトライアルは,クリアタイム(制限時間)内に規定周回を走ることを目指すモード。トレーニングとは違いゴーストカーは出現しないため,見えない敵(時間)との闘いとなる。いかにすべての周回でラップタイムをまとめられるかが決め手だ。
すべてのコースでクリアタイムを上回れば,次のクラスに進む。このモードではネットに繋がっていればスーパーシリーズ,トロフィーレースという2種類のタイムトライアルに挑戦することができ(要登録),レース終了後に自動的にタイムがランキングに登録されるというシステムになっている。世界のトッププレイヤーとしてランキングに名前を連ねることだって夢ではない。
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| 開拓時代のアメリカ西部を思わせる実にウェスタン(笑)な印象のコース。小さな複合ヘアピン数カ所あり,攻め甲斐がある | 狭いスペースで作られるインドアコースはレイアウトが複雑化し,コーナーもキツくなる |
■バランス良く再現されたカートの挙動,狭いコースを駆け抜けろ
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| ナイトレースでは先が見えないので慎重なドライビングが必要だ。コースを頭に叩き込んでおくべし |
マシン挙動は実物のカートの特徴をよく捉え,スピード感のあるクイックな挙動をうまく再現している。操作はアクセルとブレーキ,ステアリングのみなので,ライン取り,コーナー進入の速度,カートコントロールがタイムに大きく影響してくる。つまり本物同様に乗り手のテクニック次第ということだ。
できる限りドリフトせずにグリップ走行するのが好ましいが,カートでは意外に難しい。大きくドリフトしすぎるとコースアウトしたり急減速になってしまうので,コーナーに合わせた微妙な速度調整やドリフトコントロールが必要になってくる。グリップ走行で曲がったほうが速いコーナー,多少オーバースピード気味で流しながら走るコーナーなど,コーナーごとの特徴を把握するのが高タイムへの近道だろう。クラスごとに異なるカートの特性の違い(挙動の違いや加速性能,最高速など)などもきちんと再現されているので,同じコースを走る場合でもマシンに合わせて走り方を変える必要がある。ただし,シミュレータというよりはアーケードライクで,ドライブゲームに慣れていない人でも下位クラスのFUNから練習すれば楽にカートを操れるようになるはずだ。
収録されたコースは9コース,逆回りも含め全16コース用意されている。通常のサーキット以外にもインドアコース(屋内),モナコのような市街地コース,飛行場に作られた特設コースなどバラエティに富んでいる。
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| タイムトライアルでは,最速ラップを記録するとゴーストカーが自分自身になる。消すことができないのは残念 | リアビューも用意されているが,すぐコーナーがくるカートでは,後ろはあまり気にしないほうがいいだろう |
■"タイムアタッカー"には挑戦してほしい1作
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| 市街地コースも用意されていて,道幅が狭いところでは減速してグリップ走行で曲がるか,少しドリフトさせて立ち上がるか悩むところ |
肝心のミハエル・シューマッハだが,ゲーム中ではコースレコードやAIカートで名前を目にするものの,それ以外ではポールポジションや優勝したときに"爽やかな笑顔"の画面が表示される程度……。ついでにマニュアルでカートの扱いについてアドバイスをしているのは,ドイツカートチャンピオン"ミハエル・ベルマン"(シューマッハじゃないやんけ!!)と,少々というか,かなりゲーム中の存在感が少ないのは気になるが,シューマッハのレースキャリアの第一歩がカートだったという意味合いで受け止めておこう。ベルマンよりシューマッハのほうが有名だしね。
ゲーム自体は荒削りな部分があるものの,バランス良く再現されたカートの挙動,レスポンスの良いエンジン音,ステアリングから伝わるエンジンの振動(Force Feedback),そして攻め甲斐のあるコースレイアウトなど,カート特有の楽しさ,気持ち良さを味わうには必要十分。最高速が160km/hにもなるFSAクラスのカートをコントロールし,狭いコースを弾丸のように走り抜ける気持ち良さはほかのドライブゲームでは味わえない楽しさかも知れない。ただし,レース重視というよりは"タイムアタック重視"なので,我こそはというタイムアタッカーに,ぜひ挑戦してほしいソフトだ。
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■発売元:カプコン (c) 2002 JoWooD Productions Software AG |
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