マイト＆マジック8 デイ オブ ザ デストロイヤー完全日本語版
「マイト＆マジック8 デイ オブ ザ デストロイヤー完全日本語版」（以下MM8）が発売される。RPGというゲームの性質上，どうしても"文字"を読まなければならない機会が多いわけで，日本語で読めるかどうかというのは非常に大きなファクターになっているといえる。辞書を片手に四苦八苦しながらストーリーを追ってゆく苦労（これも海外RPGをプレイするうえでの楽しみの一つだといえなくもないが）がなくなるだけで，ゲームプレイも格段にスムーズになるというものだ。いつもながら，日本語化を推し進めるイマジニアの姿勢には敬意を表したい。
細かいリファインが施された新作 さてこのMM8，シングルのRPGとしては有名なシリーズなので詳しい説明は省くが，前作から大きく変わった点として，最初に作成するキャラクターが一人になったことが挙げられるだろう。 前作まではキャラクター4人＋NPC（ノンプレイヤーキャラクター：コンピュータ管理のキャラクター）という構成になっており，NPCには補助的な役割だけが与えられてプレイヤーは操作できなかったのだが，本作では，NPCを雇ってパーティを組むという形になっている（むろん雇ったキャラクターは操作可能）。またヴァンパイアやミノタウロスなど，人間以外の種族をキャラクターとして作成できる点も大きな変更点だろう。当然人間にはない特殊能力を最初から備えていたりするので，外見などに特にこだわりがなければ（もしくはヴァンパイアが大好きなら），かなり楽しめるキャラクターではある。 
システムとしては，プレイ画面が広くなったのが嬉しい。画面横に表示されていたマップや各種アイコンなどが，すっきりと整理されて画面上下に収められたおかげで，視界がぐっと広くなった。グラフィックスも多少進歩したようでキレイにはなっているが，それでも昨今の最新ゲームと比べてしまうと残念ながら見劣りしてしまうのは否めないところ。しかしそれは裏を返せばシステムに負担が少ないということでもある。現在流通しているPCなら――いや，もしかしたら一昔前のPCでも――ほとんどの機種でストレスなくプレイできるであろう点は評価できる。
シングルなのに自由度が高い 
ゲームは，謎の災厄で滅亡寸前となった"ジャデイム"と呼ばれる大陸を歩き回り，各地でクエスト（＝依頼，任務）をこなしていくうちに，謎の核心に迫っていくようになっている。クエストには「〜を持ってこい」という単純な買い物的なものから，「〜を倒せ」「〜を集めて○○○へ渡せ」「〜に潜入しろ」などの難易度の高いものまで，多種多様なものが揃っており，主に街の住人などから受けることができる。 クエストを受ける順番や解決する順番に特に制限はないので，遂行しやすいと思われるものから受けていこう。なによりクエストを解決すれば報奨金や経験値がもらえるし，中盤以降にはキャラクターのレベルアップに莫大な経験値が必要となり，モンスターを倒していただけではなかなかレベルアップが望めなくなってくるので，クエストは積極的にこなしていかねばならない。この「クエスト」を中心に回るシステムもまた，MMシリーズの大きな魅力なのだ。 またクエストクリアが必要な場合などを除いては，どの街に行くにもほとんど制限がないので，変わりゆく風景を楽しみながらの気ままな旅をすることもできる。ただし，当然ながら街の外にはモンスターが徘徊しているので，歩き回るのにもそれなりの覚悟が必要となるのだが……。敵が順を追って強くなるなどという"理不尽"なこと（絶対ヘンだと思いませんか？）がないので，いきなりとてつもない強敵に囲まれてしまう場合もある。細心の注意と万全の準備が必要だ。どう準備をしたって無駄な場合も多いのだが (^^; 
一本道であることが多いシングルRPGにおいて，プレイヤーの自由度が非常に高いところが，MMシリーズ最大の特徴といえるだろう。なおMM8は，マイト アンド マジック6〜ザ マンデート オブ ヘブン〜，VII，ヒーローズ オブ マイト＆マジックシリーズ，クルセイダーズ オブ マイト＆マジック 完全日本語版など（すべてイマジニアから発売中），近年リリースされたすべてのシリーズの完結編と呼べる内容になっている。謎のまま残っていた部分などが，すべてMM8への伏線となるような構成となっているのだ。MM8単独でも十分楽しむことはできるが，できればシリーズを通しての壮大なドラマを堪能してもらいたい。
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