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ルナティックドーン 第三の書
Text by 虎武須(Kobs)
3rd Oct.2000

クリックすると拡大します  ルナティックドーン(以下LD)シリーズは,通称「ルナドン」として根強い人気のある,アートディンクの純国産RPGだ。本作「ルナティックドーン 第三の書」(以下,第三の書)は,LDシリーズの中でも自由さがウリの道標シリーズ第3弾という位置付けとなる。LDシリーズIIIやIVとはやや趣が異なるので,前作などのプレイヤーは注意が必要。

前作のあの重さが不安だが……
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  さてこの第三の書,正直いうと最初の印象はあまり良くなかったのだが,このレビューのため何日もプレーしているうち,ものの見事にハマってしまった。流行に乗っ取った派手さや華やかさがない代わりに,独特な奥深さがあり,プレイヤーをぐいぐいと引き込んでいく。
 基本的なプレイは,町の酒場で提示されるさまざまな種類の依頼を受けて遂行し,その報酬を得る。この繰り返しである。最初は,手持ちの金も少なくてステータスも低いので大した依頼を受けられないが(受けられるけど,まず遂行できない),ある程度貯えができ,旅の仲間ができ始めたころから,がぜんプレイの幅が広がりを見せ始める。手配されているお尋ね者を逮捕したり,ダンジョンに巣くう怪物を退治したりといった,いくぶん危険で"華"のある「RPGらしい」依頼も受けれるようになる。
 ルナドンシリーズでは,プレイヤーの行動が周囲の環境に大きく影響を与えるので,むやみやたらな軽率な行動は控えるべきである(むろん軽率な行動もできるのだが)。せっせと依頼をこなし,金を貯め,家を建て,結婚し,子供が産まれ,さらにその子供を教育(訓練)し……ゆくゆくは家族でパーティーを組むことも夢ではない。どのような人生を送るかはプレイヤー次第なのだ。行動次第では,名声を積んで国王にさえもなれるし,国中を恐怖のどん底に陥れる大悪党にもなれるのだ。場合によっては神にすらなれるかもしれない。この自由度こそがルナドンシリーズ,特に道標シリーズの持ち味であり,最大のウリなのだ。

新たな要素。それが「トレカ」
クリックすると拡大します  第三の書では新しい要素として,「CO-カード」という魔力を封じ込めたカード(戦闘中の魔法はこのカードを使用する)が加えられ,カードのコレクションやトレード,そしてカードゲームが新たな楽しいファクターとして追加されている。NPCを始め,ネットワーク上でほかのプレイヤーともカードゲームができるそうだが,残念ながらこれはβテストでは実装されていなかった。
 基本的にシングルプレイヤーのRPGでありながら,ネットワークにも対応しているのがここ最近のルナドンシリーズの特徴。ほかのプレイヤーが創造した世界での冒険もできるし,ほかのプレイヤーとのアイテム交換などもできる。

 第三の書は,今年――いやここ数年の作品とは思えないほどビジュアル的に地味だし,アクション性も皆無だ。一見すると古くささすら感じる。しかし,古参のRPGプレイヤーはもちろんのこと,こんなストイックさを待っていたRPGファンは案外多いのではなかろうか。話題性満載の流行作とは異なった形で,ゆっくりとだが確実に進化を続けているルナドンシリーズ。アートディンク独自の進化論として,この作品のアプローチは貴重だといえるだろう。

 原稿執筆時点(2000年9月末)では,著名PCゲーム雑誌「ログイン」と「テックウィン」連動企画の「あなたの考えたアイテム募集」など,"ユーザーのアイデアを取り入れる"姿勢も前面に打ち出している。本記事を読んだときにまだ募集していたら,なにか「あったらいいな」なアイテムを考えて送って見るのも一興。採用されれば,あなたの考えたアイテムがゲーム中に登場する。
■発売元:アートディンク
■価格: 7800円(2000年11月24日発売予定)
■問い合わせ先:アートディンク
  TEL 043-299-7890
■対応予定OS:Windows 95/98/Me/2000,PentiumII/233MHz(PentiumII/300MHz以上推奨),メモリ48MB以上(96MB以上推奨),空きHDD容量400MB以上
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