鋼鉄の咆哮2 〜ウォーシップコマンダー〜Texr by 山口伸一 自分で設計したオリジナル戦艦を操り
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軍艦には複数の兵器を搭載できるが,手動なのは1種類のみ。あとは自動的に発射してくれる |
コーエーの新作「鋼鉄の咆哮2 〜ウォーシップコマンダー〜」は,第二次世界大戦に登場する戦艦を題材としたアクションゲーム。そう,シミュレーションゲームではなくアクションゲームなのだ。主なゲーム構成は,予算に応じて戦艦をカスタマイズする"戦略パート"と,それらを操りシューティングゲーム感覚でミッションをクリアする"戦闘パート"の二つに分かれている。軍艦や空母を題材としたタイトルと聞くと,海洋図を睨みながら緻密な作戦を……といったシミュレーションゲームを連想してしまうが,本作は面倒な部分を極力抑え,比較的ライトに仕上がっているのが大きな特徴だ。
もちろん第二次世界大戦を舞台としているだけあって,"戦艦大和"や"ミッドウェー海戦"など,軍事系のファンが思わずニヤリとする要素もふんだんに盛り込まれている。迫力ある艦隊戦を手軽に楽しみたいといった人には,うってつけのタイトルだ。
戦略パートでは,戦うための準備全般を行う。具体的には戦艦の設計/建造,主砲やエンジンといったパーツの購入/売却,通信機器や鋼材技術の開発などだ。ここで作成した戦艦は,後述する戦闘パートで使用する。つまり,戦略パートでカスタマイズした戦艦の質に応じて,戦闘パートの難易度も変わってくるのだ。それぞれの作業には資金が必要で,この資金は戦略パートでのミッションをクリアすることによって得られる。戦略パートと戦闘パートを交互に繰り返し,戦艦を少しづつアップグレードしてゆくのが基本的なゲーム展開である。
戦艦の設計は,3種類の方法から選択できる。砲身からタービン,それに格納庫といったパーツ(合計860種以上)をすべて自分で決める"詳細設計"と,すでに所有している戦艦を改装する"簡易設計",そして出来上がった戦艦,"完成キット"の購入だ。元々このジャンルに興味を持っているプレイヤーであれば,詳細設計で心ゆくまで戦艦をいじくるだけでも十分に楽しめる。逆に面倒な作業を極力減らしたいという人は,完成キットを購入して戦闘パートへ移ればよい。この点についてはプレイヤーによってのめり込み度が大きく異なるだけに,遊び方を選択できるのは嬉しいところだ。
ゲーム内には,第二次世界大戦で実際に戦場となった海域がふんだんに登場する | 技術開発を行えば,より性能の良いパーツが購入可能になる。ただし開発時には資金を必要とするので,資金配分とバランス感覚が重要だ | 自分が操作する艦船のほかに,最大で3隻までの護衛艦を付けて行動できる。これらは自動的に付いてくるので,操作は煩雑にならない |
敵陣営の奥深くに潜入して,本拠地を破壊している最中。ゲーム展開がスピーディであるため,とても痛快だ |
満足いく戦艦が完成したら,いよいよ"戦闘パート"へと繰り出そう。本作の戦闘パートは与えられたミッションを順番にクリアしてゆく形式で,全部で約80のマップが用意されている。各ミッションは"敵艦隊の50%以上を破壊せよ" "敵航空基地を1基以上破壊せよ"といった内容で,基本的には敵を探し出して皆殺しにすればよい。このあたりはどのミッションも同じで,少々単調であるのは否めない。
戦闘パートでの操作方法は,カーソルキーの上下で速度調節,左右で方向切り替え,そしてマウスで砲弾の発射だ。実際の艦船の場合,砲身の角度調整には数十秒の時間を要するが,本作ではマウスカーソルで狙った地点へ瞬時に発射してくれる。また,戦艦は砲弾を大量に積載しており,迎え撃つ敵艦や建造物などの数もやたらと多い。左手(カーソルキー)で戦艦を移動させながら,画面内に入った敵を右手(マウス)でクリックしまくる,というプレイスタイルを想像してほしい。慣れるまではとくに左手の操作に戸惑うかもしれないが,敵艦や敵地を撃ちまくって粉砕するのはなかなか爽快だ。ゲームスピードを通常以上に設定すると,シューティングゲームとしても十分に楽しめるだろう。
実際の艦隊戦においては,本作のような超近接戦闘はまれであり,遠距離間で撃ち合うことのほうが圧倒的に多い。しかしアクションゲームでそのような地味な戦闘を再現しても,著しく盛り上がりに欠けるだろう。そのために本作は,戦闘パート部分をゲーム向けにアレンジしているのだ。このアレンジについては,先述した"砲身の角度調整時間が瞬時に行われる"以外にも,戦艦の移動方法についても挙げられる。操作を快適にするため,異様に小回りが利くようになっているのだ。その様子は"海戦の王者"というよりも,どちらかというと"公園の池に浮かぶボート"のような印象すら受ける。
このゲーム向けアレンジをどう解釈するかで,本作の評価は大きく変わってくるだろう。しかし,細かいことにこだわりすぎてゲーム性を失うよりは,はるかに良いのではないだろうか。アクションゲームとして成立させるためには,これらのアレンジは必要不可欠だったはずだ。人によっては,いわゆる"バカゲー"一歩手前のように感じるかもしれないが,派手な艦隊戦を手軽に楽しみたい,といった人にこそ本作をプレイしてもらいたい。また,戦闘パートこそゲーム向けに簡略化されているものの,戦略パートにおける豊富なカスタマイズ機能は,よほどの軍艦ファンをも唸らせるはずだ。
軍艦や空母といった船の種類によって,船体の構造はまったく異なる。これらを眺めているだけでも艦船について詳しくなれるはずだ |
敵艦を破壊すると,乗っていた兵士が外に投げ出される。これらの漂流兵を救出すると,自分が操作する軍艦の耐久力が回復する | 画面左上にはミッション目的が常に表示される。いったい何を行ったらよいのかと戸惑うことはないだろう |
■発売元:コーエー (C)MICROCABIN CORP. (C)KOEI Co.,Ltd. |