インディペンデンス ウォー2 エッジ オブ カオス
【日本語マニュアル付英語版】

Text by 駒沢丈治
27th Dec.2001

ドラマチックなストーリーが楽しめる3Dシューティング

思わず見とれる美麗なグラフィックス!

 「インディペンデンス ウォー2 エッジ オブ カオス」は,ドラマチックなストーリーが楽しめる3Dシューティングとして世界的に高い評価を受けた「Independence War」,および「Independence War:Defence」の続編に当たる作品だ。……といっても同じ世界観を背景にしているだけで,ストーリーや登場人物に直接的な関係はない。好評だった「Independence War」のゲームシステムを継承して,より進化させた作品と位置づけていいだろう
 開発したのはイギリスのデベロッパであるParticle Systems。12月14日にサイバーフロントから発売されたパッケージには,英語版のソフトに日本語マニュアルが添付されている

復讐のために宇宙へ旅立つ

 ストーリーは以下のような感じだ。
 時は24世紀。人類は豊富な鉱物資源を求めて宇宙に広く殖民していた。地球政府と植民星政府が戦った"Independence War(独立戦争)"から100年。厳しい戦いの末に殖民星政府は一定の自治権を勝ち取っていたが,依然として苦しい生活が続いている。植民者たちは宇宙を牛耳る巨大企業よって経済的に支配されていたからだ。
 プレイヤーが演じる主人公"Cal Jhonston"の父は,そんな巨大企業の束縛から殖民者たちを解放するため密かに戦いを続けていたが,Cal Jhonstonが12歳のとき,企業連合が派遣した暗殺者の手によって殺されてしまう。それから15年後。27歳になったCal Jhonstonは,殖民星の解放のために戦う正義の宇宙海賊として,父を殺した暗殺者,そして巨大企業と戦うために宇宙へと旅立った。

孤立無援の宇宙海賊

随所に挿入される映画のようなムービーシーンがストーリーを盛り上げる

 戦いの舞台となるのは,"The Badlands Cluster"(バッドランド星雲)と呼ばれる架空の銀河。ここには八つの有人太陽系があり,それぞれに殖民星や宇宙ステーション,鉱物採掘場(アステロイド)がある。プレイヤー(=Cal Jhonston)は小型の戦闘艇に乗ってこれらの星々をさすらい,情報や武器を蓄えながら,父を殺した巨大企業を追い詰めていく
 頼りになる味方は,戦闘艇の人工知能"Jefferson Clay"と数名の乗組員のみ。孤立無援といっていい状況で敵の戦闘艇と戦い,生き残らなければならないわけだ。正義のためとはいえ,私怨で戦い,輸送船を襲って略奪を行う彼は,政府のお尋ね者でもある。パトロール船と戦い,追撃を振り切るのも日課のうち。唯一の救いは,各宇宙ステーションが自由貿易港的な立場であるため,高価なものさえ用意すればそれに見合った武器やアイテムを物々交換で調達できるということ。敵と戦い,財産を略奪し,宇宙ステーションで必要なものを揃えて再び敵と戦う。これが,このゲームの基本的な流れだ

ジョイスティックだけですべてのコマンドを入力可能

 シューティング部分は戦闘艇のコックピットの視点となり,必要な情報はすべてHUD(ヘッドアップディスプレイ)に表示されている。よくある3Dシューティングと一番大きく異なるのは,戦闘はあくまでも手段であって,必ずしも目的ではないという点だ。主人公はしばしば密輸を行って報酬を稼ぐのだが,この場合,大切なのは委託された物資を相手に届けることにある。無理な戦いは船体を傷つけるだけだし,修理の負担も増える。戦うべきときと,戦闘を避けるべきときの判断を間違わないようにすることが大事だ
 操作方法にも独自のスタイルが取り入れられている。HUDの中央部分に丸いゲージが表示され,上下左右4方にジョイスティック(もしくはカーソルキー)を動かすことで「航法」「武装」「主命令」「エンジン」のサブメニューに入るようになっている。マウスやフルキーを使うことなくジョイスティック(もしくはカーソルキー)だけでコマンドを指示できるのは便利だが,この方法でスムースに指示を出せるようになるまでには少々時間がかかるかもしれない。筆者も最初のうちは操縦との切り替えを間違え,「航法」を選ぶつもりなのに左へ旋廻してしまったり,逆に右に旋廻するつもりが「武装」を選んでしまったりと,ドタバタすることが多かった。しかし慣れてしまえばとても快適で,これはとても面白いアイデアだと思っている。

迫力満点の3D映像

中央に表示されたメインメニューから,各サブメニューを選択,これは超便利だ

 「インディペンデンス ウォー2 エッジ オブ カオス」の魅力は,24世紀の未来を描いたSF的な設定と,敵を追い詰めていく過程,そして迫力満点の戦闘シーンにある。赤と青の軌跡を描きながら飛ぶ敵の宇宙船,暗闇を切り裂くオレンジ色のエネルギービーム,恒星が放つさまざまな色の光……。HUDのコマンド選択シーンも凝っていて,例えばオートパイロット機能を使って移動先を選ぶシーンでは,星雲→太陽系→惑星軌道という具合にスケールがグイングイン切り替わりながら表示されたりする。このあたりの雰囲気が,なんとも未来的で楽しい。プレレンダリングされたものだが,丁寧に作られたムービーシーンも必見だ。
 ゲームバランス……はちょっとキツめな感じがしないでもないが,海外製の3Dシューティングにしては良好だと思う。画面右上に表示される全方向レーダーによって敵機の位置がすぐに分かるし,HUDに表示される軌跡を追えば照準も合わせやすい。簡単な依頼をこなしながら装備を少しずつグレードアップしていけば,極端に不利な状況になることはないだろう。できることをしながら進めていけば,時間はかかるが,自然にストーリーを追っていける内容だ。

注意点を二つ

 ただし,プレイを始める前に知っておいてもらいたいことが二つある。
 まず一つは,ゲーム自体が英語版そのままの内容であるということ。添付されている日本語マニュアルは標準以上のクオリティだと思うが,いざプレイを始めると怒涛のごとく表示される英文メッセージに取り組まなければならない。特に筆者がキツく感じたのが,字幕なしで続く会話シーンだ。映画を意識した演出であるせいか,非英語圏のプレイヤーに対する配慮がほとんど感じられない。「手加減なし」の演出はこの作品の魅力でもあるのだが,英語があまり得意ではない人にとってはそれなりの覚悟が必要だと思う。こういうゲームをプレイするたびに,つくづく英語がネイティブな人たちがうらやましく感じられてならない。
 二つめは,ジョイスティックが"事実上"必須であるということ。オプションの設定でキーボードのみの操作に切り替えることもできるが,この激しい宇宙空間での戦いをキーボードだけで生き残るのは大変だ。またエンジン出力や武器の発射を,すべてキーで行うのもつらい。できれば3軸4ボタンのスティックタイプを,そうでなくてもゲームパッドぐらいは用意しよう。今回筆者は手元にあった「Microsoft SideWinder Force Feedback」を使ったが,このゲームはハットスイッチ(スティックの親指部分でグリグリ操作するボタン)にも対応していて,照準合わせが楽だった。フォースフィードバック機能にも対応しているので,ぜひ利用をおススメしたい。

VS-INOI型迎撃機。武装,装甲が共にほどほどだが,機動性に富む MS-TG90A型タグボート。大型だが戦闘にはあまり向かない N50-1950a型パトロール艇。中型でバランスのいい機体 VS-F102a型戦闘艇。一人乗りの小型戦闘艇。機動性,攻撃力共に侮りがたし

ズシリと感じる重量感

 スペースオペラ的な設定と,シンプルで分かりやすい目的。そして美しい映像とユニークなコマンドモード。好評だった"Independence Warシリーズ"の最新作であるだけに,誰もが舌を巻くほどよくできた作品だ。しかしその一方でズシリと重量感があり,プレイを続けるには相当な根気と体力が求められるのも事実。あまり繰り返したくはないが,英語の壁にも厚みを感じた。「できれば日本語版でプレイしたかった」なんて思ってしまうところが情けないが,とにかくそれが正直な感想だ。
 そんなわけで,プレイヤーを選ぶ作品であることは確かだが,たとえばメディアクエストの「スターランサー」や一連の「スタートレック」系のゲームが好きな人なら,かなり楽しめるのではないかと思う。
 なお,この作品にはLANやインターネットを経由して最大8名まで参加可能な,マルチプレイモードも用意されている。こちらはストーリーに関係なく,3Dシューティングで戦う生き残りゲームとなる。

24世紀,人類は資源を求めて宇宙に殖民していた 横をかすめる敵のビーム兵器。かろうじてかわすことができた 宇宙ステーションのドックに入って,必要な物資を揃えよう エンジニアリングモードで自機の状態チェック
政府のパトロール艇と遭遇。戦うか逃げるか…… 運命の選択 敵機をスコープに捉えた。ビームとミサイルを撃ちまくれ! ビームが命中!! 敵機のシールドが妖しく輝く 船体ダメージが98%に達した。あと一撃で爆散してしまう!!

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■発売元:サイバーフロント
■価格:7800円
■問い合わせ先:
サイバーフロント TEL 052-779-6549
■動作環境:WWindows 98/Me/2000,K6-2/350MHz以上もしくはPentiumII/300MHz以上,メモリ64MB以上(128MB以上を推奨),空きHDD容量600MB以上,DirectX8.0a以上
■体験版:http://www.4gamer.net/patch/demo/data/iw2.html

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