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| メニュー画面。キーボードだけで操作できる,というかマウスは利かない |
そんな(どんな?)ロンドンを,そしてイタリアを舞台にしたゲームがここに紹介する「ザ・イタリアンジョブ ミニミニ大作戦」(以下,イタリアンジョブ)だ。開発元があの「Grand
Theft Auto3」(以下,GTA3)でおなじみのRockstar Gamesなのだから,どうしても期待は高いであろうよ諸君。少なくともオレは高かった。またもや,そこらへんの一般人をボコ殴りにして金品を奪い,偉そうに歩いているギャングを狙撃できるのかと思うと,もう笑いがとまらん。
ところでこのゲーム,原作は映画である。題名は同じく「The Italian Job」で,日本公開名が「ミニミニ大作戦」(1968年,米英制作)。なるほど。この映画は未見だったが,「記事を書くなら映画くらい見てもらわないと話になりませんね。ビデオ代はウチからは出せませんけど」というforGamerの温かいお言葉を受けて調べてみたところ,幸か不幸か,ビデオは廃盤でDVDにもなっていないというカルト映画だった。いっとき某メーカーから「DVDを出す」というアナウンスがあったものの,それは立ち消えになったらしい。ものの本によると,内容はマイケル・ケイン扮する悪党チャーリー・クロッカーが,ロンドンでその道のプロを集め,トリノに空輸されてきた400万ドル分の金塊を強奪するというもの。そういや「黄金の7人」とか,70年代にその手の映画のおしゃれっぽい泥棒映画が量産されたようなうろ覚えもあったりなかったり。
ゲームは,ほぼ映画のストーリーラインに沿って進むことになる。たとえばロンドン編の最初のほうで,デブ女性2人をどこかへ運ぶというミッションがある。これはコンピュータの天才であるサイモン教授を仲間に引き入れるための作戦で,実は教授は女好きでしかもデブ専だったりするのだ。教授のおかげで,トリノの交通管理局(オレ訳)のコンピュータをハッキングできるようになったってわけ。イギリス映画っぽいですね。もちろんそんな事は知らなくてもゲームは十分に楽しめるぞ,なんてお決まりのセリフも言ってみたり。
しかし「ミニミニ大作戦」という異色のチョイス。日本でいえば「馬鹿が戦車でやって来た」をリアル3Dタンクシューティングで作ってみたようなものだろうか? 海外の映画記事をネットで調べても「あまり知られていないカルト映画」などと書かれており,認知度は日本とさほど変わらない。本当に知られていない映画なのか? いや,実は我々は間接的にはよく知っているのである。若い諸君は知らないだろうが,比較的おじさんおばさんの諸君なら「街の遊撃手」とかいって数台の車が優雅に空を舞う,いすゞジェミニのテレビコマーシャルを覚えているのではなかろうか。あれこそ「ミニミニ大作戦」が試みた画期的なカースタントのオマージュだったのだよ諸君。実際,映画はミニ・クーパーがビルからビルへと飛び移ったり,教会や博物館の階段を下ったり,もーすごいの。過激なものから優雅なものまでSFXを一切使用しないカースタントの連続で,ぜひ同じドライビングをゲームで体験したいと思うのは,人としてごく自然の欲求だったのだ(そうか?)。ジャガーやアストン・マーチン,フィアットなどの懐かしの名車も大挙して登場し,英車とイタ車が市内に入り乱れる姿はその筋の人にはウッ,たまらなかったりして。
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| ジャンプやカーコントロールなど,10個のトライアルにチャレンジ。画面は雪道チャレンジ |
さて,ゲームを始めてみよう。メインとなるイタリアンジョブモードを選ぶと,最初はブリーフィング画面だ。カラカラと映写機が回り,英語の説明が始まる。字幕なし。マニュアルにもブリーフィングの内容などは書かれていない。うふふ,望むところだ。言っちゃなんだが英語は得意である。……まったく分からない。
声はまあマイケル・ケインそっくりだが(本人ではないだろうけど),しゃべり方がいわゆるコックニーなのである。コックニー(アクセントはコ。カとコの中間ぐらいの感じで発音すること)とはロンドンの中心であるシティ付近のキツい訛りで,たとえば"OK"を「アーカイ」,"monday"を「マンダイ」と発音したりして,慣れないと非常に聞き取りづらいのである。そんなシティの罪人の多くがオーストラリアに流罪になったため,オーストラリアの英語は大変コックニーによく似ているのであった。またしてもいらぬ知識をさりげなく披露しちゃったが,いくら英語を得意とする私でも相手がコックニーさんでは無理だ。まぁ普通の英語だってろくに聞き取れないんですけどね。
というわけだが,実際あまり気にする必要はないだろう。ブリーフィングがさっぱりわからなくても,ミッションに入ればやるべきことはすぐにわかるのだ。なにしろプレイヤーのやることはクルマの運転。それだけなのだ。「GTA3」のように車を降りる場面はなく,当然そこらへんの一般ピープルをカツアゲする必要はないしバズーカ砲もない。行くべき方向は画面上部のでっかい矢印が指し示してくれるし,右上の数字がどんどん減ったら「なるほどこれはタイムアタックなのだな」ということがわかる。もともとプレイステーション用のゲームであるだけに,ユーザーインタフェースは迷いようがないくらい親切だ。
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| 「チャーリーがミッションを説明する」とマニュアルにあるが,ミッションを実行するのも彼である |
では単純なレースゲームかというと,これがなかなか。車種によって細かく挙動は変えてあるのものの,全体的にどのクルマもドライバーのいうことを聞かないのである。こう,なんちゅうか,パッドの操作に反応が微妙に遅れたり,回転半径が意外なほど大きくて壁や街灯に命中したりと,最初はかなり腹が立つはず。キー! 町をゆくAIカーも意地悪で,こっちが追い抜きかけてんのに強引な車線変更をしてきたり,頑固に道をゆずらずノロノロ運転したり。"ニトログリセリンを動きの鈍いバスで運ぶ"というとんでもないミッションがあるのだが,道行くクルマが問答無用でぶつかってきて,どっかーん。おまえら,ちょっとは考えろよな! 視点が固定のため,とくに大型車を運転している場合は前にクルマがいるのかいないのかわからない。気がつかないうちに変なダメージが溜まっていたりするのだ。
というわけで,基本的にこれは王道ともいえる覚えゲーである。何回も何回もプレイしてダンドリを覚えていくにつれ,ようやくスイスイ走れるようになる。AIカーや市電などの登場も毎度同じだし,道を覚えれば矢印を確認しなくても済む。ともかく練習あるのみだ。というか1ミッションは長くても10分程度なので,失敗すると思わず「もう一本!」と何度もプレイし続けてしまう。術中にずっぽりはまっているような気もするが。
とはいえトリノ編の最終ミッションは赤,白,青に塗られた3台のミニクーパーが実に約7分間も市内を上を下へ駆け回るという映画の名シーンそのままのアクション巨編で,ぬるいゲーマーである私はこれをのべ100回ぐらいはやったような気がするが,しまいにゃ目をつぶってもできるようになりました。なにしろほかのクルマや壁にぶつかってダメージがいっぱいになるとゲームオーバーっす。またパトカーに追われ,こっちのナンバーを全部読まれてしまってもゲームオーバーっす。規定時間内にゴールに到達しないと当然ゲームオーバーっす。ほんと,何度枕を濡らしたことでしょう。
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| ゲームに登場する,ゲームタイトルにもなっているミニ | ニトロを積んだバスを時間内に目的地まで持っていく。うう,たまらん,爆発だ |
それにしてもポリゴンで再現されたロンドンやイタリアの市街は素晴らしい。描き込みの程度はまあまあだが,明るくてくっきりしたグラフィックスが気持ちよく,フリー走行モードで町を流していると,まるでロンドンにいるような感じだ。ホントに。私もチャーリーの仲間になり,金塊強奪作戦を実行しているような気分。エンディングも映画と同じなのだろうけど,なかなか皮肉っぽくてよい。ぜひご自分の目でご確認を。ただ,最後のミッションはちょっとすごい。いやー,スーパーマリオかと思っちゃった。……なんて気をもたせておいて,今回はチャオー(イタリア風ご挨拶)。
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| オープニングのムービーシーン。チョロQみたいなクーパーがかわいらしい | ゲームに登場するクルマ。残念ながらマニアじゃないので,知っているのは軍用のローバーぐらいです | |
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| 時間内にトリノ市内の重要ポイントを回るミッション。 | フリー走行でトリノ市内を流す。真っ赤なランボルギーニがかっこいい。ゲームじゃなきゃ絶対乗れん!(なぜ怒る) | |
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| マフィアの追跡に注意! | 時間内に決められたチェックポイントを駆け抜けなければならない。土地カンがものをいう | 赤,白,青のミニクーパーが市内を駆け巡る。ゲームでも映画でもクライマックスのシーン |
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| いよいよアルプスを超え,400万ドル分の金塊とともにイギリスへ帰るのだ。しかし岩が……。岩かよ! | 2階建てバスやロールスロイスのタクシーなど,まさにロンドン。実際のキングス・クロス駅はまさしくこんな感じだ | |
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■発売元:カプコン The Italian Job Software (C)2001 SCi(Sales Curve Interactive)
Limted. The Italian Job (C)Paramount Pictures. All Right Reserved. |
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