ハンティングアンリミテッド
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メニューから「Animal Data Base」を選ぶと,対象となる動物たちをじっくり観察できる。好きな角度から眺められるほか,拡大縮小にも対応している |
ハンティング(狩猟)を題材としたゲームは,北米では高い人気を誇るお馴染みの存在となっている。風土や文化の違いのためか日本人にはあまりピンと来ないが,フィッシング(釣り)ゲームを思い浮かべればそれほど不思議なことではないだろう。
今回紹介する「ハンティングアンリミテッド」は,数あるハンティングゲームの中でもクォリティが高く,手軽に遊べるタイトルだ。狩猟の対象となるのは,尾白鹿(White
Tailed Deer),ミュール鹿(Mule Deer),オオジカ(Elk),ムース(Moose),熊(Brown Beer,Grizzly)の5種類。これらをミッション形式でハントしていくというのが大きな特徴である。
いささか国内では馴染みの薄い題材だが,ハンティングという言葉に魅力を感じる人は,ぜひ最後までおつきあい願いたい。
1997年に発売された「Deer Hunter」の大ヒットによって,一躍注目を集めたハンティングゲーム。ヒットの要因は,低予算低価格(価格は20ドル以下)を武器に,普段ゲームをしない客層にアピールしたためというのが一般的な見方である。現在(2002年)ではいくつもの人気シリーズがあり,海外ではスポーツゲームのひとつとして親しまれている。
こうしたハンティングゲームの多くは,一人称視点のシューティングゲーム(FPS)がベースとなっている。ただし,アメリカの"アイデア勝負"という土壌のせいか,中身はバラエティに富んでいる。ハンティングの対象は鳥から象,さらにはサメ,恐竜……といった具合で,プレイヤーが撃たれる側の鹿となり,逆にハンターを倒すというジョークのきいたタイトルもある。
もちろん,オーソドックスなシリーズ物も多く,リアルさ重視で改良が続けられている。季節や時間,天候が選択できるようにしたり,銃を始めとするギアを豊富に用意したり,動物達の挙動をより本物らしくするといった方向だ。これらのゲームは,決して悪くないと思うが,ハードルが高く感じられるのも確かである。「自分でギアを選択し,広大なマップで自由にハンティング!」となると,正直ビギナーにはとっつきにくい。
また,低予算低価格という枠組みも問題となる。最新のハンティングゲームのデモ版をいくつか試してみたが,特にグラフィック面での後れが気になる。このような状況の中でキラリと光るのが,今回紹介する「ハンティングアンリミテッド」だ。開発を手がけたのは「Deer
Hunter」シリーズと同じ,Sunstorm Interactiveである。
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すっきりとしたデザインのメニュー画面。背景には動物やハンティングスポットの景観がランダムに映し出される | ミッション選択画面。ミッションによって使用できる武器やギアが決まっているのでわかりやすい。ちなみに武器は全部で10種類(銃が8種,ボウ2種) | 双眼鏡で獲物を確認!双眼鏡はズーム機能つきで,距離もわかる |
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今回のターゲットは,オオジカの牡。銃声が響けばあっという間に逃げられてしまう。初弾で仕留めたいところ。手に汗握る瞬間だ |
「ハンティングアンリミテッド」は,短時間で手軽に楽しめるのが大きな特徴だ。装備の選択などの事前準備や,狩り場への移動といったプロセスを廃し,ハンティングを全てミッション形式にアレンジしている(マルチプレイには非対応)。
ミッション形式というのは,シチュエーションがきっちり設定されていると考えればわかりやすいだろう。場所,標的,使用できるギア,スタート時の時刻や天候などがあらかじめ決められており,具体的なアドバイスが示される。プレイ時間も,1ミッションにつき数分から数十分程度と非常に短くなっている。
ほかにも同じようなコンセプトのタイトルはあるが,本作で驚かされるのは,用意されているミッションの数。このゲームでは,冒頭に述べた5種類の標的にそれぞれ八つのキャンペーンがあり,各キャンペーンは五つのミッションで構成されている。つまり,5種類の標的×8キャンペーン×5ミッション=200ミッション(!)。そのうえ別途チュートリアル用のミッションがあり,公式サイトからはボーナスとしてさらに25ミッションが無料でダウンロード可能なのだ。
しかも,これらのミッションはクリアして先へ進む方式ではない。最初からどれでも自由に選択できる。ミッションによって内容や難易度はさまざまなので,ビギナーからベテランまで楽しめる作りになっているのだ。
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見事倒せば,お約束の表彰画面。獲物の大きさや,命中した箇所,距離などでスコアが変わる。ハイスコア目指して繰り返し遊んでもいい | ボウを使ったミッションは,いかに近づくかが勝負。臭いを消したり,音でおびきよせるなど,あの手この手で攻める | 一撃で仕留められなかった場合でも,命中していれば血痕が残る。これを辿っていけば獲物を発見できる。なかなか雰囲気満点だ |
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凶暴な熊が目の前に2体も……。そんな状況のミッションもある。FPSのようにスリル満点だ |
実をいうと,筆者はハンティングの経験や知識が皆無にひとしい。それでも,すんなりと楽しめてしまった。それは先に述べたミッション形式のおかげといっていいだろう。ハンティングのノウハウを少しずつ学べるし,いろいろなシチュエーションが味わえて面白いのだ。
足跡を追って捕捉したり,風向きを考えて忍び寄ったり,鹿笛などでおびき寄せるなどなど,シチュエーションは豊富である。中には,仲間が追い込んだ獲物が目の前を走り抜ける,凶暴な熊が襲いかかってくる,といったユニークな状況も用意されている。
もう一つ見逃せないのは操作性と操作感。意外に思うかもしれないが,ほかのハンティングゲームは独自の操作体系になっていることが多いし,地形にひっかかるような現象があったりする。ハンティングアンリミテッドの場合,操作はFPSに準拠。動きもスムースで快適である。
なお,国内で販売されているのは日本語マニュアル付きの英語版となっている。日本語マニュアルには全ミッションの基本情報(状況とアドバイス)が36ページに渡ってまとめられているので,英語が得意でない人も安心してもらいたい。
日本でハンティングゲームというと,どうしても「退屈」というイメージがつきまとう。しかしハンティングアンリミテッドはそんなイメージを払拭してくれるに違いない。ハンティング気分を味わってみたい人に,ぜひ試してもらいたいタイトルだ。
■発売元:マイクロマウス Hunting Unlimited (TM) ARUSH Entertainment, a division of World Entertainment Broadcasting Corporation. Software (C) 2001 Sunstorm Interactive, Inc. Distributed by ValuSoft, Inc. Published exclusively by ARUSH Entertainment. Hunting Unlimited, ARUSH Entertainment, and the ARUSH Entertainment logo are trademarks of WorldEntertainment Broadcasting Corporation. Sunstorm Interactive and the Sunstorm logo are trademarks of Sunstorm Interactive, Inc. All other trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved |