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ガンマン・クロニクルズ 正式ライセンス版
Text by デイビー日高
25th Apr.2001

クリックすると拡大します  ご存じQuakeIIの3D描画エンジンを大幅に改良したのが,これまた有名なHalf-Lifeのエンジン。本作「ガンマン・クロニクルズ 正式ライセンス版」は,そのHalf-Lifeエンジンを利用した,SF仕立てのFPS(1人称視点の3Dシューティング)だ。プレイヤーは宇宙軍の兵士(ガンマンというよりは,騎兵隊という感じ)となり,ある未開の惑星で行方不明になった将軍の捜索任務を遂行することになる。もちろん,それが単純な救出作戦で終わるわけがなく,とてつもない過酷な生存のための戦いを体験するハメになるのだが……。
 グラフィックスは,最新(いまとなってはそうでもないが)のQuakeIII:ArenaエンジンやUnreal Tournamentエンジンなどと比較してしまうと,いまとなってはさすがにテクスチャがやや粗いといわざるをえない(だからといって,決してダメなことはない)。だが裏を返せば,やや旧式のスペックのPCでも快適にプレイできるというプラスの面もあり,それはそれで嬉しいポイントだといえよう。
 見た目も確かに重要な要素だが,個人的には,FPSにとっては"快適に動作する"という点も抜きにしては語れないと思う。その点,本作は実際に筆者のサブマシンのCeleron/400MHz+GeForce2MX(32MB)という環境でも快適に動作していたので,合格といえるだろう。

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不気味な形態のモンスターにかじられる内臓丸出しの死体の図。ウゲ…… FPSでは珍しい,兵器への搭乗。戦車に乗って主砲をぶっ放せ 本作唯一の女性(?)キャラクター。ナイスバディなうえ,お下げ髪がチャーミング

ホラー要素も多分に含んだ演出が強烈
クリックすると拡大します  設定はSF仕立てだが,演出面ではホラー的な要素が強い。とにかく,"怖くさせる演出"が冴え渡っているのだ。プレイしていて,何度声をあげて心拍数を急上昇させたことか(このへん,雰囲気は違えどUndyingと似ているかもしれない)。
 例えば,死体の扱われ方一つとっても効果的である。最近のFPSは過激さが増す一方で,(ウレシそうに語ることではないが)血まみれの死体なぞありふれている状態だ。しかし,本作では同じ血まみれの死体は死体でも,「こんな目に遭うような惑星には来たくない……」と思わせる,非常に心理的に恐怖感をあおる扱われ方をしているのである。
 プレイヤーは,仲間とともに最初のステージとなる未開の惑星に降りるのだが,そこを急襲されて仲間は全滅してしまう。その後一人で行動するのだが,その冒険の過程のあちこちで,仲間が見るも無惨な状態で登場するのだ。さながら"プレデター"のよう。
 この未開の惑星には恐竜風の生物が棲息しており(もちろん敵である),ソイツらが人間を食うのである! 死体は食い散らかされ,手足バラバラ,内蔵むき出しで血の池に沈んでいるという状態。中には,血だらけのテンガロンハットだけが落ちていて,巣穴に引きずられていった跡があったり……。こんなのが随所に見られるのだ。また,恐竜が建造物などのちょっとしたすき間から顔を出しては,死体をむさぼり食っているところがチラチラと見えたりする。「こんな死に方をしたら浮かばれねぇ……」と,なんかモーレツに孤独感と恐怖感が心中を満たしてくるのだ。
 さらに,そうした小型の恐竜がかわいく見える,とんでもないのも出てくる。頭頂部まで地上から10メートル以上あると思われる,首長竜風の巨大さを持つ肉食竜がそれだ。しかも,頭部だけですでに人間と同じぐらいで,それが大口開けてバクゥッとかみついてくるのだ! 撃っても倒せないし,ソイツが出てくる場所では仕かけを操作する必要があり,無視して逃げることもできない。カジられて悲鳴を上げながら,右に左に走るのである。
 でも,もしかしたら最も恐怖感をあおっているのは,サウンドエフェクトかもしれない。敵の襲撃に備えて警戒していると,そういうときに限って必ず視界外から不気味なうなり声や鳴き声,何かが動き回る音が聞こえる。サッと振り向いても,そこには何もいない。だからといって,いつも音だけだからと油断していると,今度は本当に襲われたりする。そんな具合だから,無視するわけにいかず,かならず音のした方向を見てしまう。非常に神経過敏になってくるのだ。現実にこんなところに放り出されたら,間違いなく肉体よりも先に精神がどうかなってしまうだろうとヒシヒシと痛感するのである。

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レーザーピストルは4種類のモードを搭載。それぞれ特徴があるのでうまく使い分けよう ゲーム冒頭部分のトレーニングステージ。この後に武器の射撃練習も行える レーザーピストルのスナイパーモードで狙撃! 使用エネルギー量が多いので,画面効果がハデ

登場武器はオリジナル度高し!
クリックすると拡大します  そんな恐ろしい環境で生き抜くにはどうしたらいいのか? 頼りになるのは,いうまでもなく武器である。本作の武器は目新しいものが多いうえ,システムも工夫されており非常に新鮮だ。
 多くの武器に複数のモードが用意されているのだが,例えば一番最初に手に入る基本的な銃火器のレーザーピストルには3種類のモードがある。アタッチメントを装備すれば,スナイパーモードまで加わるのだ(スコープで画面を拡大して狙撃しやすくなる)。
 ほかにも,稲妻を放つポラリスブレードだとか,グレネードランチャーやホーミングミサイルなど多種類の弾頭を使い分けられるM.U.L.E.(マルチプル・ユニット・ラウンチ・エンジン)などなど。さらに特徴的なのが,戦車にも乗れること。頑丈このうえない装甲と強力な主砲で敵の強固なトーチカだろうがなんだろうがが気持ちよくバンバン破壊できるのだ。なお,こうした珍しい武器や兵器の扱い方はもちろん,各種アクションについてもトレーニングステージ代わりのゲーム冒頭部分ですべて練習できるので安心しよう。

 本作は,凝った仕掛けと冴えまくりの演出が,FPS通もうならせること間違いなしの1本だ。惜しむらくは,日本語化されていないためにストーリーが分かりにくい点か。プレイにはまったく支障がないのだが。
 恐竜,ロボット風のモンスター,不気味な異星生物など敵は多彩だし,舞台も各ステージごとにきわだった特徴があって飽きが来ない。心臓を破裂させんばかりにドキドキさせたい人も,FPS好きの人もぜひぜひプレイしよう。悲鳴を上げつつプレイするのだ!


■発売元:サイバーフロント
■価格:7800円
■問い合わせ先:サイバーフロント TEL 052-779-6549
■動作環境:Windows9x/Me/2000/NT4.0,MMX Pentium/233MHz以上,メモリ32MB以上(48MB以上推奨),空きHDD容量:400MB以上
■英語版デモ(60MB):http://www.3dfiles.com/games/gunmanchronicles.shtml

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