GTA III

Text by 朝倉 哲也
26th Aug. 2002

 銃を乱射していたら,ヘリコプターまでやって来る大銃撃戦へと発展してしまった……

 皆さんは,ハリウッド製のアクション映画を見て,「俺もあんなふうなカーチェイスがしてみたいな」とか「街中でマシンガンぶっ放してみたいな」などと思ったことはないだろうか? ズーから発売中の「GTA III」は,そのような現実には決して行うことのできない(いや,行ってはならない)シチェーションを楽しむことができる3Dアクションゲームだ。

 プレイヤーは,銀行強盗で脱走犯という札付きのワルとなって,アメリカのニューヨークやロサンジェルスなどを模した架空の都市,リバティ・シティで悪行の数々を行うという設定となっている。
 GTA IIIは,いわゆるクライムゲーム(犯罪や犯罪者を扱ったゲーム。他には「Kingpin」や「Max Payne」「Maffia(未発売)」などが挙げられる)ではあるが,一般的なクライムゲームが,最初チンピラである主人公がストーリーを追うにつれて裏の世界で出世して行き,やがては犯罪組織のボスとなるというような"闇の出世街道"をひた走るものが多いのに対し,GTA IIIの主人公はいつまでたってもチンピラの一人というところが特徴的だ
 主人公は常に街を牛耳るボスからの"依頼"で動く。最初はボスの情婦の送り迎えといったチンケな仕事から,用心棒代の取り立てなどを経て,やがては裏切り者の始末や対立する組織の幹部の暗殺などを請け負っていく(多少の出世はしているのか?)。主人公の暮らすリバティ・シティは人口400万人という大都市で,7つの組織が対立あるいは協調している。主人公はストーリーが進むにつれ,いろいろな組織のボスと知り合い,仕事を頼まれるようになっていき,いくつもの依頼をこなしながら,自分を裏切った仲間を追い詰めていくというのが,GTA IIIでのメインのストーリーだ。

 警察も止めるのに必死。こちらめがけて,車で突っ込んでくる  転がる死体に血だまり,でもなぜかゲーム中に陰惨な雰囲気はない  横転,炎上,ジャンプ,爆発と,カーチェイスが始まると,まるでハリウッドアクションそのもの

殺せ! 壊せ! ぶん殴れ! 犯罪ほど楽しいものはない!?

 奪った救急車で大暴走。人は轢くは,火は吹くは,もう大変なことに

 GTA IIIの大きな特徴が,その自由度の高さだ。基本的にプレイヤーはどこで,何をしても大丈夫。車に乗りたかったら,走っている車の前に出て車を停め,運転者を引きずり出して頂戴してしまえば良いし,通行人に殴りかかってストリートファイトを楽しむのも良い。銃が欲しければ,銃を持っているチンピラか警官を殺して奪えば良いし,その銃を乱射して殺しまくっても良い。奪った車で街中を通行人をひき殺しながら走るもの楽しい。上のほうで述べた,ボスの依頼をこなしてストーリーを追いかける必要もまったくない。気が向かなければ,いつまでも車を乗り回していたり,パトカーとのカーチェイスに明け暮れてもいい。
 この「なんでもあり」という点がGTA III最大の魅力だ。ストーリーを追いかけていくのも面白いが,そんなことはうっちゃっておいて,やりたい放題に楽しむのがお勧め。実際,筆者も奪った車で何人の通行人をひき殺せるかとか,車を爆発させて巻き添えを食った通行人の悲鳴を聞いて楽しんだり,パトカーとのカーチェイスにふけったりした時間のほうが,ストーリープレイを行っている時間より長かったほどだ。
 また,ゲーム全般に妙に明るい雰囲気がある。犯罪を扱っているゲームなのに,常に太陽が光り輝いている感じが,ゲームをネガティブなものにしていない。車を奪うと,ご機嫌なラジオ音楽を選択することができるので,気に入ったDJのおしゃべりを楽しみながら,口笛でも吹きながら街中を暴走したり,通行人をひき殺したりするのがくせになるだろう。

 ラッキー! こんなところにパトカーが…… いただきー!  警察の道路封鎖も,体当たりで排除だ  警察なのに,市民のことなど考えずに銃を撃ち,車で突っ込んでくる

警察こそは犯罪者の敵

 さて,殺そうが盗もうが殴ろうがなんでもありではあるが,やはりそれなりのリスクが生じる。そう,犯罪者の敵,警察に眼をつけられるのだ。警察は,徒歩やパトカーに乗って街を巡回しているので,うっかり彼らの前で人を殴ろうものなら,「Freeze!」とか「LCPD!」などと叫んですぐに飛んでくる。逮捕されるとせっかく買い揃えた拳銃などのアイテムがすべて没収されてしまうので,追いかけられたら後はもう逃げの一手。最初は警官が一人で追いかけてくるだけだが,警官に向けて発砲したり,車を盗んだりして更に罪を重ねると,もう大変。それこそ街中の警官とパトカーが総出で追いかけてきて,さながらハリウッド・アクション映画の世界となる。この警察との追いかけっこやカーチェイスがこれまた実に楽しいので,ぜひ一度はやってみていただきたい。
 なお,この世界の住人は,"警察へ通報する"ということをしないので,警察官が見てさえいなければ何をしようと大丈夫なので,大仕事の前に車を調達する(つまり盗むということだ)ようなときは,周りに警官やパトカーがいないかを確認してから行おう。

 とにかく「ハチャメチャ」という言葉がぴったりくるゲームプレイを楽しむことができる「GTA III」。英語版ではあるものの,ボスからの依頼をすべて解説してくれているマニュアルがついてくるので,英語が苦手な人にも,まず問題ないだろう。残り数日の夏休みに何か面白いゲームはないかな,と考えているなら,本作はかなりのお勧めだ。

GTA III 最新スクリーンショット

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■発売元:ズー
■価格:6980円
■問い合わせ先:ズー TEL 0268-38-1561
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,Pentium III/450MHz以上(Pentium III/700MHz推奨) ,メモリ96MB以上(128MB推奨),空きHDD容量700MB以上

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