マイクロソフト フライト シミュレータ 2002

Text by Murayama
31st Jan. 2002

最高峰のフライトシム!

都庁もちゃんと存在している。馴染みのある土地をフライトして,再現性を楽しもう

 フライトモノの定番として不動の地位を確立した「マイクロソフト フライト シミュレータ」シリーズは, 全世界で驚異的なセールスを誇るフライトシムである。2年に一度新作が登場し,そのたびに新機能や新機体データを盛り込んできた。その結果,圧倒的に美しいビジュアルを得て,より膨大なデータ量を収録し,世界一といっても過言ではないフライトシムへと成長したわけである。
 そうした理由から多くのユーザーを獲得してきた同シリーズだが,ついに2002年2月1日,満を持して最新作の「マイクロソフト フライトシミュレータ 2002」(以下FS2002)へと変化を遂げたのである。当サイトでも以前から数々のニュースやムービーを掲載してきただけに期待している人も多いはず。興味を持ったファンのためにも,実際に触れた感想を交えつつ,レビューをしてみよう。

 というわけでさっそく触れてみたFS2002だが,実によいデキだ。前作と比較して大幅なパワーアップや追加機能が施されており,好感触といえる。実は前作のFS2000がリリースされた当時,要求マシンスペックが非常に高かったにもかかわらず,それほど恩恵が得られなかったことからFS98で満足してしまったユーザーも多かったことだろう。だが今回はそうしたことはなく,要求されるだけの高スペックに値する,本格的なフライトが堪能できる仕上がりを見せている。要するにマシンにお金をつぎ込んだだけ,より大迫力のフライトが楽しめるというわけだ。一応参考までに同じシーンを使って,最高,標準,最低の3段階の画面を掲載するので,プレイ環境によるグラフィックスの違いを感じてもらいたい。
 ちなみにこの記事を書くにあたって使用した環境はCelron800Mhz,GeForce3,メモリは512MB。画質は全てのオプションを最高に設定し,解像度は800×600でプレイしている。では,さっそく各要素について感じたことを記してみよう。

左から順に画質は最高,標準,最低となっている。プレイするなら是非とも最高画質でフライトしたいものだ。

前作を大きく凌ぐスケールで各要素がパワーアップ!

■美しいビジュアルで大迫力のフライト!

グランドキャニオン上空でのフライト。地形のテクスチャも非常に美しく,ついつい見とれてしまうほどだ

 まずはビジュアル面。画面を見てもらえば一目瞭然だが,その景色の美しいこと! 飛行機のテクスチャなども現実のデザインをうまく再現しているし,波打つ水面,着陸時の砂埃,各ランドマークなど目を楽しませてくれる要素が盛りだくさん。また,自動生成機能による地表オブジェクトの表示などもあるため,実にリアルな景色を堪能できるのだ。
 さらに,前作では遠近に関係なくすべてのオブジェクトがシャープに表示されていたが,このあたりも改良されたようで,今回は遠くの景色は現実と同様に霞んで見えるようになっている。

■新機体で新たなフライトを体験しよう

 航空機に関しては,新機体として「ボーイング747-400」「セスナ172SP」「ビーチ クラフト バロン58」「セスナ208グランド キャラバン」「水陸両用フロート付セスナ208キャラバン」の5種が追加になっている。特に注目すべきは水陸両用のキャラバンで,シリーズ初の水上での離着陸が可能な機体。滑走路を使った離着陸と異なり,大自然の中でのそれは非常に新鮮でかなり楽しめた。川や海は滑走路と異なり広いので,着陸は非常に容易。初心者にとってもオススメの機体といえるだろう。

 また航空機関連で目立った点としては,新要素の仮想コクピットも面白い。これはコクピットを3Dで再現しているモードで,コクピット内を自由に見回せたり,飛行機の操作を行うと画面上の操縦桿が動くといったバーチャルコクピットのようなもの。人によっては通常のコクピット画面(前方の景色と計器類のみ)で十分だし,このモードはどうやって使うの? 単にアニメーションするコクピット? と疑問に思う人もいることだろう。だが熱烈な航空機ファンになると,このモードはたまらなく嬉しいのだ。
 というのは,仮想コクピットは現実に即して機体のフレームなどもちゃんと描かれているから。本物の飛行機乗りは,このフレームすらも計器の一種として考えるらしい。実際のフライトでは「フレームのこのあたりにあのビル景色が差しかかったら旋回!」といった操縦をするそうだが,仮想コクピットでは,それが体験できるというわけだ。うーむ,実に奥が深い。

新機体の水上機。水面を使った離着陸は,なかなかに楽しい。滑走せずに遊覧船気分を味わってもイイだろう 飛行機以外にヘリも収録,独特の操作感覚を存分に楽しもう。慣れればホバリングなどもできるようになる ボーナス機体として,コンバット フライト シミュレータからコルセアが友情出演(?)

■管制塔との通信が楽しい!

 また今回の新要素として大きく注目したいのが, ATC(航空交通管制)。プレイヤーは現実のパイロットと同様に無線を使って管制塔と連絡を取り,発着や空域の通過などの許可をとらなければならない。ゲームでは管制塔からの指示は音声で表現され,より臨場感のあるフライトが楽しめるようになっているのだ。さすがにプレイヤー側がしゃべるわけではなく選択肢一覧から選ぶだけなのだが,これだけでも雰囲気はあり,十分に楽しめると思う。しかもATC中のセリフは実際に使われているモノとほぼ同じなので,ある意味"本物"といっても過言ではないだろう。

存在感十分のジャンボジェット。画面は,新機体であるボーイング747。高々度をフライトする勇姿は圧巻だ 高々度を飛行していると飛行機雲が発生する。地表のテクスチャも本物と見間違うほどのデキだ 新機能の仮想コクピット。操作を行うと画面上の操縦桿も動く仕組みになっている

初心者にも優しい作り

夜のラスベガス。目の前の噴水はアニメーションする仕組みになっているので,一度は見てほしい

 設定のしやすさを追求したメニュー周りは好感触で,フライトの日時,気象,飛行機の種類,出発場所などをひと目で確認し,簡単に設定できるようになっている。初心者であっても深いメニュー構造に入っていくなどの面倒な操作なしに,嵐の中でのフライトや夜間飛行などをお手軽に楽しめるというわけだ。これは少々使い勝手が悪かった前作のメニューを改善した結果であり,見事にユーザーに優しいインタフェースとして仕上がっているといえよう。
 また初心者向けとして,ムービーによるフライトのレクチャーやゲーム内でのフライトレッスンなども収録されている。これらを繰り返してプレイすることで,離着陸や旋回といったフライト技術が身に付く仕組みになっているわけだ。ほかにも高速移動モードなども搭載されており,これを使えば機体を自在にコントロールできるので,いざというときには機体を空中で停止させて軌道修正することも可能だ。これが"シミュレータ"として適切なのかどうかに疑問は残るが,初心者にとって着陸という作業は非常に難関だったりするので,こうした機能を使って補正をするといいだろう。
 フライトモノはマニアだけのものと思われがちだが,こうした初心者を手助けする機能が充実しているので,練習次第では誰もが自由に空の散歩を楽しめるだろう。実にイイ!

FS2002の面白さとは?

 FS2002には,さまざまな楽しみ方がある。好きな飛行機を操縦することに喜びを覚える人もいるだろうし,シーナリー(景色)を中心に楽しみたい人もいるだろう。筆者はどちらかというと後者のタイプで,各地の風景を堪能することに主眼を置いてプレイしている。知っている土地を眺めて再現性を楽しむのもいいし,知らない土地をフライトして景色を心ゆくまで眺めるのもなかなかオツなものだ。ちなみに個人的に印象的だった景色は,ギザのピラミッド,エッフェル塔&凱旋門,ロスのビル群,グランドキャニオン,ラスベガス,都庁,アルプス山脈など。これらはなかなかに精度も高く,さすが最高峰のフライトシムと納得してしまうデキである。
 なお,こうした有名オブジェクト以外にも,三和銀行(今はないけど)の看板,アニメーションする花火や噴水,マイクロソフトの飛行船,クイーン マリー号といったように,隠れキャラのような存在もアチコチで見られるので,そうしたものを探して世界中の空を散歩してみるのも面白いだろう。
 ただし,デフォルトで楽しめる高精度の景色はアメリカと一部の有名地域だけとなっている。まあ,このあたりに関しては,今後追加シーナリーとして各社から続々とリリースされるはずなので,それを楽しみにしていたいと思う。ぜひとも馴染みのある日本各地のシーナリーを発売してもらいたいものだ。

シカゴ上空。前方にはビル群が,これだけオブジェクトを表示してもパフォーマンスの低下はほとんどない 夜間飛行もなかなかに楽しい。夜間は,視界に頼らずに計器飛行を心がけよう 大手空港だけではなく,プライベートレベルの空港すらも収録。ちなみに収録している空港数は2万1000にも及ぶ! 水のエフェクトも非常に美しい。ちなみに,地域によって水の色もことなるという凝りようだ
夏のロッキー山脈。雄大な大自然の中でのフライトは,心安らぐものだ 設定次第では豪雨の中などの過酷なフライトも楽しめる。普通のフライトに慣れたら,ぜひともチャレンジ 馴染みのある東京都上空。機体の左下に見えるのは東京タワー ニューヨーク上空をセスナで飛行中。セスナは滑空するだけだが,ほかの飛行機よりも風の流れを読む必要があるぞ

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■発売元:マイクロソフト
■価格:オープンプライス(実勢価格1万2800円)
■問い合わせ先:マイクロソフト TEL 03-5454-2300
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumII/400MHz以上,メモリ128MB以上,8MB以上の3Dビデオカード(Windows 98/ME),16MB以上の3Dビデオカード(Windows 2000/XP),空きHDD容量1.4GB以上
スクリーンショット集,ムービーWMV形式(12.8MB)MPEG形式 低解像度(41.0MB)/高解像度(155MB)E3ムービー(60.8MB)

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